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平成三十年三月二日提出
質問第一〇八号

牧原秀樹厚生労働副大臣の「全面テレビ公開で、公開リンチのようにやる」との発言に関する質問主意書

提出者  逢坂誠二




牧原秀樹厚生労働副大臣の「全面テレビ公開で、公開リンチのようにやる」との発言に関する質問主意書


 平成三十年三月一日、牧原秀樹厚生労働副大臣は働き方改革関連法案(「本法案」という。)の事前審査をする自由民主党厚生労働部会(「本会合」という。)に出席し、本法案をめぐる不適切データ問題で、立憲民主党をはじめとする野党各党の合同ヒアリングについて、「全面テレビ公開で、公開リンチのようにやる」と発言した。本会合では、本法案の与党による事前審査が行われていたと承知している。
 本会合では、安倍総理が裁量労働制の対象拡大を本法案から削除する方針を決めたことについての議論が行われていたのであり、牧原秀樹氏は自民党所属の衆議院議員として、自民党の厚生労働部会に一議員として出席していたのではなく、厚生労働副大臣として、政府を代表し、自民党に本法案の説明に行っていたものである。
 牧原副大臣は、厚生労働省の担当職員が野党議員からの追及を受け、職員がその場で資料を出せないと、「「そうやって隠すのか」と一部の人が大騒ぎをして大変なことになる」とも発言した。
 牧原副大臣は、本会合後、発言を撤回し、「野党の皆さんが議論するのは正当な権利。こちら(厚労省)に落ち度があったことは事実で、大変申し訳なく思っている。適切ではなかった」と述べたと仄聞する。
 大辞泉によれば、リンチとは、米国バージニア州の治安判事の名に由来し、「法的手続きを経ないで暴力的制裁を加えること。私刑」であると示されている。また「法律に基づかないで、特定集団(およびそれ自身が定める独自の規則)により決され、執行される私的な制裁」であるとされる。
 国会議員が個々の政策課題について、関係省庁に説明を求めることは、日本国憲法第六十三条でいう「内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院の一に議席を有すると有しないとにかかはらず、何時でも議案について発言するため議院に出席することができる。又、答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない」との規定に由来し、国会法第百四条の「各議院又は各議院の委員会から審査又は調査のため、内閣、官公署その他に対し、必要な報告又は記録の提出を求めたときは、その求めに応じなければならない」等の規定で具体的に保障されているところの、国政調査権の作用であり、リンチという言葉の持つ「法的手続きを経ない」というものとは全く異なる。
 このような事実を踏まえ、以下質問する。

一 本会合では、安倍総理が裁量労働制の対象拡大を本法案から削除する方針を決めたことについての議論が行われていたのであり、牧原秀樹氏は自民党所属の衆議院議員として、本会合に一議員として出席していたのではなく、厚生労働副大臣として、政府を代表し、自民党に本法案の説明に行っていたものである。本会合では、牧原秀樹氏は、厚生労働副大臣として出席したという理解でよいか。
二 一に関連して、本会合に出席した牧原秀樹厚生労働副大臣は本法案について、政府の考えを説明するため、政府を代表して出席したという理解でよいか。
三 牧原秀樹厚生労働副大臣のいう「全面テレビ公開で、公開リンチのようにやる」との発言は、立憲民主党をはじめとする野党各党の合同ヒアリングは「法的手続きを経ないで暴力的制裁を加える」ものであると判断し、それを公開のリンチであると評したという理解でよいか。
四 牧原秀樹厚生労働副大臣のいう「一部の人が大騒ぎをして大変なことになる」との発言の「一部の人」とは具体的に誰を指すのか。
五 四に関連して、「一部の人」には、立憲民主党所属の衆議院議員は含まれているのか。政府の見解如何。
六 国会議員が個々の提出予定法案に関する課題について、国会連絡室経由で要請し、国会内の会議室で関係省庁に事前に説明を求めることは、「法的手続きを経ない」ものであると考えているのか。政府の見解如何。
七 リンチという言葉には、私的な特定集団による行為という意味が含まれていると思料する。日本国憲法に明示されていないものの、国会議員の所属する政党は、政党助成法第一条で「この法律は、議会制民主政治における政党の機能の重要性にかんがみ、国が政党に対し政党交付金による助成を行うこととし、このために必要な政党の要件、政党の届出その他政党交付金の交付に関する手続を定めるとともに、その使途の報告その他必要な措置を講ずることにより、政党の政治活動の健全な発達の促進及びその公明と公正の確保を図り、もって民主政治の健全な発展に寄与することを目的とする」と示されるように、法令で規定され、「議会制民主政治における政党の機能の重要性」は肯定されている。野党各党が提出予定法案に関する課題について、関係省庁に事前に説明を求めることは、私的な特定集団による要求であると考えているのか。政府の見解如何。
八 牧原秀樹厚生労働副大臣は、批判が生じたため、一連の発言を撤回したと仄聞するものの、当初の発言の意味するところは、日本国憲法第六十三条ないし国会法第百四条に反するもので、日本国憲法第九十九条の「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」に反する。憲法尊重擁護義務に反している牧原秀樹氏は、厚生労働副大臣を辞任すべきである。政府の見解如何。
九 八に関して、牧原秀樹氏を安倍内閣の厚生労働副大臣に任じた安倍総理の任命責任は重い。かかる任命責任について、安倍総理はどう考えているのか。安倍総理の見解如何。
十 本法案は、不適切なデータとともに、不適切な厚生労働副大臣の関与でつくられようとしている。政府は本法案の提出を断念し、労働政策審議会で議論しなおすべきではないか。政府の見解如何。

 右質問する。



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