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平成三十年三月六日提出
質問第一二二号

ヘイトスピーチに関する質問主意書

提出者  中谷一馬




ヘイトスピーチに関する質問主意書


 近年、我が国においては、本邦の域外にある国又は地域の出身であることを理由として、適法に居住するその出身者又はその子孫を、我が国の地域社会から排除することを煽動する不当な差別的言動が行われ、その出身者又はその子孫が多大な苦痛を強いられるとともに、当該地域社会に深刻な亀裂を生じさせており、このような事態をこのまま看過することは、国際社会において我が国の占める地位に照らしてもふさわしいものではないという認識に基づき、平成二十八年五月二十四日第百九十回国会において、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」(以下「法」という)が成立した。以下、法の施行状況について質問する。

一 法第四条は、国の責務として、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組に関する施策を実施するとともに、地方公共団体が実施する本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組に関する施策を推進するために必要な助言その他の措置を講ずる」ことと定めるが、国が法施行以降に実施した、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組に関する施策」及び「地方公共団体が実施する本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組に関する施策を推進するために必要な助言その他の措置」を、それぞれ具体的に明らかにされたい。また、現時点でその措置は十分なものであると考えているか、十分ではない場合、今後いかなる措置をとることを考えているか、政府の見解を示されたい。
 あわせて地方公共団体がその地域の実情に合わせて国の施策より効果的な規制を設けることは法の趣旨に反しないと考えるが、その点についても見解を示されたい。
二 法第五条は、国の責務として「本邦外出身者に対する不当な差別的言動に関する相談に的確に応ずるとともに、これに関する紛争の防止又は解決を図ることができるよう、必要な体制を整備するものとする」と定めるが、国が法施行以降に整備した、「相談体制」及び「紛争防止・解決体制」をそれぞれ具体的に明らかにされたい。また、現時点でその措置は十分なものであると考えているか、十分ではない場合、今後いかなる措置をとることを考えているか、政府の見解を示されたい。
三 法第六条は、国の責務として、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動を解消するための教育活動を実施するとともに、そのために必要な取組を行うものとする」と定めるが、国が法施行以降に実施した、「不当な差別的言動を解消するための教育活動」と「そのために必要な取組」を具体的に明らかにされたい。また、現時点でその措置は十分なものであると考えているか、十分ではない場合、今後いかなる措置をとることを考えているか、政府の見解を示されたい。
四 法第七条は、国の責務として、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消の必要性について、国民に周知し、その理解を深めることを目的とする広報その他の啓発活動を実施するとともに、そのために必要な取組を行う」と定めるが、国が法施行以降に実施した、「不当な差別的言動の解消の必要性について、国民に周知し、その理解を深めることを目的とする広報その他の啓発活動」及び「そのために必要な取組」をそれぞれ具体的に明らかにされたい。また、現時点でその措置は十分なものであると考えているか、十分ではない場合、今後いかなる措置をとることを考えているか、政府の見解を示されたい。
五 平成二十九年において、全国で発生した不当な差別的言動を伴うデモや街頭宣伝は何件か。同法施行前と比較した増減を示されたい。また、件数を把握していない場合は調査すべきと考えるが政府の見解を示されたい。
六 日本政府は、人種差別撤廃条約第四条(a)及び(b)の留保を撤回すべきとの人種差別撤廃委員会の最終見解に対し、平成二十五年一月の政府報告において、「右留保を撤回し、人種差別思想の流布等に対し、正当な言論までも不当に萎縮させる危険を冒してまで処罰立法措置をとることを検討しなければならないほど、現在の日本が人種差別思想の流布や人種差別の煽動が行われている状況にあるとは考えていない」との立場を取っているが、法制定前後に行われた政府の調査(平成二十七年度法務省委託調査研究事業「ヘイトスピーチに関する実態調査報告書」)等からも、現在の日本において過激な人種差別思想の流布や人種差別の煽動が行われている状況がうかがえるのであって、法施行後も不当な差別的言動が根絶されたとはいえない状況である。これに対して人種差別撤廃条約第四条(a)及び(b)の留保を撤回して処罰立法措置をとるなど実効性のある施策を再検討すべきとの考え方があるが、政府としてどのように考えているのか見解を示されたい。
七 いくつかの地方公共団体で、不当な差別的言動がなされるおそれがある場合に、公園などの公的施設の利用を事前に規制できるガイドラインが公表されている。国は、同様の取組を全国的なものにする施策についてどのように考えるか、政府の見解を示されたい。
八 不当な差別的言動はとりわけインターネットを通じて過激化し巧妙化する傾向が見られるため、インターネットにおける不当な差別的言動を規制する声が高まっている。
 地方公共団体のインターネットパトロール支援など、インターネットにおける差別的言動規制についてどのように考えるか、政府の見解を示されたい。

 右質問する。



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