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平成三十年六月一日提出
質問第三四一号

政府がフランスとともに進める高速炉アストリッドの将来性に関する質問主意書

提出者  逢坂誠二




政府がフランスとともに進める高速炉アストリッドの将来性に関する質問主意書


 平成三十年六月一日、朝日新聞は、日本がフランスとともに共同研究を進めようとしている高速炉「アストリッド(ASTRID)」計画について、開発主体のフランス政府が建設コスト増を理由に規模縮小を検討していることを報じた。この報道が事実であるとすれば、政府が進める核燃料サイクルはさらに不透明になり、この計画へ投じられている国費による巨額の投資は意味を失いかねず、政府がこれまで一兆円以上を投じつつも失敗し廃炉決定に至った高速増殖炉「もんじゅ」(福井県)の経緯を再び繰り返さざるを得ない。
 アストリッドはフランス国内に二〇二三年以降に着工し、二〇三〇年代の運転開始をめざしていた。「原型炉」のもんじゅより一つ進んだ「実証炉」を想定し、実用化(商業炉)の一歩手前と位置づけられていたと承知している。このアストリッドについて、フランス政府は当初は出力規模を六十万キロワットと想定していたが、「建設コスト高のため、十万〜二十万キロワットに縮小する」と日本政府に伝えたと報じられ、数千億から一兆円規模とみられている建設費も日本とフランスで折半するように打診されたとも報じられている。アストリッドがこのように当初想定していた出力規模よりも縮小される場合、もんじゅ(二十八万キロワット)の代わりにアストリッドを核燃料サイクルの当面の柱にしようとしていた政府の目論見は外れ、アストリッドの炉が小規模だと当初想定していた研究成果が得られない可能性が高い。
 平成二十八年十二月二十一日に原子力関係閣僚会議で決定された「高速炉開発の方針」では、「今後の我が国の高速炉開発は、世界最高レベルの技術基盤の維持・発展を図りつつ、高い安全性と経済性を同時に達成する高速炉を開発し、将来的な実用化を図り、もって国際標準化に向けたリーダーシップを最大限に発揮することを目標に掲げる。その実現のため、開発目標等の具体化を図っていく」、「当面のアクションとして、今後十年程度の開発作業を特定する「戦略ロードマップ」(仮称)を策定する。その検討のために高速炉開発会議の下に実務レベルの「戦略ワーキンググループ」を設置し、二〇一七年初頭から検討を開始し、二〇一八年を目途に策定することを目指す」と示された。
 平成二十九年三月に経済産業省の策定した「「戦略ロードマップ」の策定に向けた今後の検討事項」では、アストリッドの仕様として、電気出力が六十万キロワット、タンク型ナトリウム冷却高速炉と示され、「二〇一七年三月の日仏大臣意図表明文書により、協力深化に向けた議論を開始すること、二〇一八年末までに当該議論を終える努力をすること、が合意された」と明示されている。
 これらを踏まえ、以下質問する。

一 フランス政府は当初はアストリッドの出力規模を六十万キロワットと想定していたが、「建設コスト高のため、十万〜二十万キロワットに縮小する」と日本政府に伝えたことは事実か。
二 アストリッドの数千億から一兆円規模とみられている建設費について、日本とフランスで折半するようにフランスから求められたとの報道は事実か。
三 アストリッドの出力規模を「建設コスト高のため、十万〜二十万キロワットに縮小する」のであれば、もんじゅ(二十八万キロワット)の出力規模よりも小さくなり、核燃料サイクルの当面の柱にしようとしていた政府の目論見は外れ、アストリッドの炉が小規模だと当初想定していた研究成果が得られないのではないか。政府の見解如何。
四 出力規模が「十万〜二十万キロワット」の高速炉は、「高速炉開発の方針」でいう「今後の我が国の高速炉開発は、世界最高レベルの技術基盤の維持・発展を図りつつ、高い安全性と経済性を同時に達成する高速炉」に該当しないのではないか。政府の見解如何。
五 現時点は、「二〇一七年三月の日仏大臣意図表明文書」でいうところの、「協力深化に向けた議論」を終え、「二〇一八年末までに当該議論を終える努力をする」時期にさしかかろうとしている。政府はアストリッドが当初の計画を実現し得ないと自覚し、アストリッドの「議論を終え」、当該計画を断念すべきではないか。断念しないとすれば、今後、成算を得ることができる根拠を明示されたい。
六 一から五を踏まえると、政府が進める核燃料サイクルはさらに不透明になり、この計画へ投じられている国費による巨額の投資は意味を失いかねず、政府がこれまで一兆円以上を投じつつも失敗し廃炉決定に至った高速増殖炉「もんじゅ」の経緯を再び繰り返さざるを得ない。政府は核燃料サイクルを断念すべきではないか。断念しないのであれば、今後、実現に向けた着実な歩みを得ることができる根拠を明示されたい。

 右質問する。



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