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平成三十年六月七日提出
質問第三六八号

幼児教育の無償化の予算と効果等に関する質問主意書

提出者  山井和則




幼児教育の無償化の予算と効果等に関する質問主意書


 平成二十九年十二月八日に閣議決定された「新しい経済政策パッケージ」では、広く国民が利用している三歳から五歳までの全ての子供たちの幼稚園、保育所、認定こども園の費用を無償化することとし、幼稚園、保育所、認定こども園以外の無償化措置の対象範囲等については、専門家の声も反映する検討の場を設け、現場及び関係者の声に丁寧に耳を傾けつつ、保育の必要性及び公平性の観点から、翌年夏までに結論を出すことが決定されました。そして、こうした検討の場として設置された「幼稚園、保育所、認定こども園以外の無償化措置の対象範囲等に関する検討会」は、平成三十年五月にその報告書を取りまとめました。
 そこで、以下の通り質問します。

一 特定教育・保育施設等の利用者負担について、地方公共団体の単独補助事業により、日本全体として、すでに何割が減免されていますか。
二 平成二十八年度子ども・子育て支援推進調査研究事業「保育に係る地方単独事業の実施状況及び各種申請様式に関する調査」によれば、地方単独補助による保育料の減免割合は、全国で何パーセントですか。また、地域ブロックごとには、それぞれ何パーセントですか。
三 六月六日の衆議院厚生労働委員会での加藤厚生労働大臣の答弁にもあった通り、特定教育・保育施設等の利用者負担について、地方公共団体の単独補助事業により、すでに全体の四割が減免されているなら、政府が新たに取り組む幼児教育の無償化では、実質六割しか、新たな無償化にならないのではありませんか。投じた公費の六割しか実質的な効果がないのであれば、効率の悪い政策ではありませんか。
四 「幼稚園、保育所、認定こども園以外の無償化措置の対象範囲等に関する検討会」では、特定教育・保育施設等の利用者負担について、地方公共団体の単独補助事業により、すでに全体の四割が減免されているという事実を認識をしたうえで議論していましたか。
五 加藤厚生労働大臣は、「その四割負担をどういうふうに使っていくのか、それを例えば低所得者層に使えば、それは結果として低所得者層にその恩恵は回っていく」と答弁しましたが、この地方公共団体が支出することのなくなった独自の財源を、子育て支援に活用することに限定することはできますか。
六 六月六日の衆議院厚生労働委員会にて、山井は、幼児教育の無償化に係る予算額の試算を提示したが、この結果の傾向は、妥当なものと認識していますか。
七 「幼稚園、保育所、認定こども園以外の無償化措置の対象範囲等に関する検討会 報告書」には、「地方自治体によっては、既に独自の取り組みにより無償化や負担軽減を行っているところがある。今回の無償化措置が、こうした自治体独自の取り組みと相まって子育て支援の充実につながるようにすべきである。このため、今般の無償化により自治体の予算に余剰が生じる場合は、その財源を他の分野に回すことなく、地域における子育て支援の更なる充実や次世代へのつけ回し軽減に活用することを求める」とありますが、地方公共団体の予算に生じた余剰を、地方公共団体の債務の解消に活用してもよいのか。また、子育て充実に強制力を持って、地方公共団体に活用させることはできますか。
八 幼児教育の無償化が実現した場合には、地方公共団体の単独補助による特定教育・保育施設等の利用者負担の減免が不要となるが、これに伴い、地方交付税交付金が減額される可能性はありますか。
九 地方公共団体の単独補助による特定教育・保育施設等の利用者負担の減免により、すでに主に低所得世帯で、幼児教育の無償化が実現している地方公共団体が多数ありますが、今回の政府の幼児教育の無償化により、そのような地方公共団体に住む〇歳児から五歳児を持つ低所得世帯には、どのような恩恵がありますか。全く恩恵がないのではないですか。
十 ジェームズ・J・ヘックマン教授は、「恵まれない家庭に育ってきた子どもたちの経済状態や生活の質を高めるには、幼少期の教育が重要」「幼少期の教育の質の向上が重要」という主張をしているが、政府が新たに取り組む今回の幼児教育の無償化は、この主張に反するものではありませんか。
十一 政府が新たに取り組む幼児教育の無償化に必要な予算額と、年収階層別の給付額の試算は、いつまでに公表しますか。
十二 高所得者に厚く、低所得者に薄く給付するような政策は、社会保障の理念に反するのではないですか。消費税は、社会保障目的と規定されているにもかかわらず、その財源を社会保障の趣旨に反して、高所得者に手厚く、低所得者に薄く配分する政府の幼児教育無償化の案は、消費税の社会保障目的という理念に反するのではないですか。また、子ども貧困対策法違反ではないですか。
十三 生活保護受給世帯の〇から二歳児の児童養育加算、月額五千円の引き下げや、生活保護受給世帯の小学生の学習支援を年額一万五千円の引き下げを行う一方で、高所得者を優遇する幼児教育の無償化を行うことは、格差拡大を助長することになりませんか。
十四 二〇一九年四月からの保育士の処遇改善のための予算は二百億円にとどまる一方、八千億円とも指摘されている幼児教育の無償化を進めることは、アンバランスではないですか。
十五 かつて、民主党、自民党、公明党の三党で合意した、三千億円で行う保育の質の改善は、いつ実施するのですか。〇歳から一歳、四歳から五歳の配置基準の引き上げはいつ行うのですか。

 右質問する。



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