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平成三十年六月八日提出
質問第三七三号

民泊新法に基づく届出数等に関する質問主意書

提出者  松平浩一




民泊新法に基づく届出数等に関する質問主意書


 政府は、「観光立国推進基本計画」等において、年間の訪日外国人旅行者数を二〇二〇年までに四千万人、二〇三〇年には六千万人とすることを目標に掲げている。政府の掲げる目標のとおり、外国人旅行者の数は増大しており、二〇二〇年には東京オリンピック・パラリンピックが開催されることから、多くの外国人旅行者が日本を訪れると予想される。
 そのような中、政府は、一般住宅に旅行者らを泊める「民泊」を、東京オリンピック・パラリンピックに向けての訪日外国人旅行者の宿泊施設確保策の一環と位置付けている。二〇一八年六月十五日に施行となる「住宅宿泊事業法」(以下、「民泊新法」という)は、民泊を行う者(住宅宿泊事業者)の届出制度等を創設し、国内外からの観光旅客の宿泊に対する需要に的確に対応することを目的として制定されたものである(同法第一条参照)。
 しかしながら、施行を目前にしつつも、民泊新法に基づく届出の数は伸び悩んでいると指摘されている。観光庁の田村明比古長官は、二〇一八年五月十八日の記者会見で、同法に基づく届出件数は同月十一日時点で七百二十四件だったと明らかにした。同時期に民泊仲介の世界最大手、米エアビーアンドビー社のサイトに六万件を超える民泊物件が掲載されていたことからすれば、この届出の数字は非常に小さいと評価せざるを得ない。
 他方、二〇一八年六月四日付けの日本経済新聞によると、エアビーアンドビー社は、同日、許認可などがない日本国内の施設の掲載を中止したとのことである。同社の今春時点での登録総数は約六万二千件であり、掲載の中止により現在検索できる施設は約一万三千八百件と、八割弱減っている。
 以上を前提に以下質問する。

一 民泊新法に基づく届出数が伸び悩んでいると言われる原因として、手続きが煩雑なうえ、条例でさらに厳しい規制を定める自治体も多いこと、これらを嫌って民泊の運営をやめる家主が増えていることが新聞等により指摘されている。
 1 現状の届出数についてどのように評価しているか政府の見解を示されたい。仮に届出数が伸び悩んでいると評価する場合、その理由について政府の見解を示されたい。
 2 今後どのように届出数を増やしていこうとしているのか、具体的な施策や数値目標を示されたい。
二 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック開催時においては、東京のホテル等宿泊施設の客室不足が懸念される。民泊は、宿泊施設不足への対策としての効果が期待されているところ、このまま届出数が伸び悩む場合、宿泊施設不足問題が再燃する可能性があるが、どのように試算・分析しているか政府の見解を示されたい。
三 観光庁など関係省庁は二〇一七年十二月二十六日、民泊新法の運用の指針となる施行要領(ガイドライン)を地方自治体などに発出した。同ガイドラインでは、都道府県などが生活環境の悪化防止のため、民泊の区域、期間を制限する条例を制定する際、民泊新法の目的や規定に反した過度な制限とならないよう十分な検証を求めている。同ガイドラインの記載のとおり、条例により過度の制限がなされると、民泊新法の本来の目的が達成されないことが懸念される。
 1 同ガイドラインには過度な制限かどうかについての判断基準等は示されていない。しかしながら、自治体で独自に適正な基準を設けるのは難しい場合もある。過度な制限とはどういった場合であるかについて、政府が早急に一定の判断基準を示すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
 2 ある条例が過度な制限であると判断した場合、自治体に対しどのように対応する予定であるか政府の見解を示されたい。
四 届出数が伸び悩む背景に、自治体における届出受理の際に、届出に必要とされる要件以外の要件を事実上要求し、それを満たさない限り受理しないという運用がなされているとの指摘もある。
 こうした自治体の運用レベルにおける制限が届出の障害になっている可能性について、政府の認識はどうか。また、こうした障害があるとすれば、適切な指導・助言を政府からすべきと思料するが、政府の見解を示されたい。
五 二〇一八年六月一日に観光庁観光産業課長通知(観観産一五三号)が発出された。同通知を受け、エアビーアンドビー社は、同月七日、「日本へのご旅行を予定されているゲストの皆様へのサポートについて」というプレスリリースを発表した。それによると、同社は、七日時点で届出番号や許認可等の記載がない物件における、同月十五日から十九日の間の確定済みの宿泊予約について、予約を取り消し宿泊代金を返金するなどの措置をとるとしている。当該対応が行われたことからもわかるように、同通知が施行日に近い時点での発出ということもあり、事業者及び多くの利用者に多大な影響が出たものと予想される。
 1 例えば経過措置を政令で定める(民泊新法附則第三条)など、同通知に代わるより影響の少ない他の取りうる手段・運用はなかったのか検討内容を示されたい。
 2 旅行者が行う宿泊施設の予約は実際の旅行の相当前から確保するのが通常であることに加え、住宅宿泊事業者や住宅宿泊仲介事業者の対応に要する期間も考慮すれば、同通知は民泊新法の施行日の前に十分な期間をおいて発出されるべきであったと考えられるが、政府の見解を示されたい。

 右質問する。



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