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平成三十年六月十一日提出
質問第三七四号

国際法上の交戦者の権利・義務に関する質問主意書

提出者  長島昭久




国際法上の交戦者の権利・義務に関する質問主意書


 日本国憲法第九条第二項を考えるに当たって、関係する国際法上の根拠等について、質問する。
 日本国憲法第九条第二項は「国の交戦権は、これを認めない」と定める。その意味について、歴代、内閣法制局が、「戦いを交える権利ではなく、交戦国が国際法上有する種々の権利の総称」である旨の説明をしていることは承知している。その上で、現行憲法第九条第二項に関する憲法解釈ではなく、国際法上の考え方について、外務省に対し、以下、質問する。

一 国際法上、交戦権という概念はあるのか。
二 交戦状態の権利(rights of belligerency)、交戦者の権利(belligerent's right)とは、国際法上、いかなる権利のことか。また、その権利の主体(交戦者)は国家なのか、それとも軍事組織なのか、それとも個々の戦闘員なのか。
三 国際法上、交戦国が有する諸権利の総称というが、諸権利の中身を示した文献は数十年前のものである。現在、政府が、国際法上、認められていると考える諸権利とはどういうものか。また、政府が列挙する諸権利のうち、わが国が国連憲章第五十一条の下で、行使できると思われる権利は何か。また、それらは、どのような形態で行使することになるのか。
四 捕虜に関する権利・義務も交戦者の権利に該当すると考えるが、
 1 交戦者には、国際法上、捕虜としての権利保障があると考える。自衛隊は、日本国憲法第九条第二項前段により、軍隊ではないという位置づけになっていると承知しているが、PKO(国連平和維持活動)で派遣された自衛官が受入国で「国又は国に準ずる者」に捕獲された場合、国際法上、軍人として当然に享受すべき捕虜としての待遇を要求しないのか。捕虜としての待遇は要求しないが、捕虜に類する者として、捕獲した者に対し、人道的な待遇を求めるということか。
 2 わが国は捕虜取扱い条約を批准し、捕虜取扱い法を制定しているが、他国の軍人を、人道的見地から、国際標準に基づいて、捕虜として取り扱うことは重要な意義を有するものと理解する。他方、日本国憲法第九条第二項で交戦権を保有しないわが国は、どのような根拠に基づいて、捕虜の取扱いを定めているのか。他国から、交戦権がないことを理由に、捕虜を適正に待遇していないと見られる恐れはないのか。
五 東京裁判では、合法的交戦者の権利(right of lawful belligerent)が認められず、多くの被告人が戦争犯罪人として有罪宣告を受け、処断されたが、アメリカ主導の裁判で用いられた交戦者に対するこうした考え方と日本国憲法第九条第二項の交戦権は、同様のものと理解していいのか。
六 外務省は、国際社会に対して、わが国の憲法上の交戦権規定を紹介し、かつ、この規定を尊重するよう働きかけたことはあるのか。
七 交戦者と戦闘員は、国際法上、同様の概念とみなしていいのか。
八 交戦者が有する国際法上の中立義務は、わが国が憲法上、交戦権を放棄したことで、影響を受けるのか。
九 わが国が交戦権の制約で、たとえ武力攻撃事態にあっても、船舶検査はできても、臨検ができないというのが法の建前と理解している。わが国のこのような解釈に拘束されない他国は、同じ国連憲章第五十一条の下で自衛権を行使する際に、臨検を行うことはできるのか。政府の見解を答えられたい。

 右質問する。



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