衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成三十年十一月三十日提出
質問第九八号

羽田空港新飛行ルート案の変更に関する質問主意書

提出者  松原 仁




羽田空港新飛行ルート案の変更に関する質問主意書


 羽田空港の国際化は海外との間のヒトとモノの流れを活性化することによる経済効果が見込まれ、国際社会もこれを期待するものである。この要請に応えるため、政府は羽田空港への飛行経路の変更計画を策定している。この計画は、具体的には、国際線の需要が集中する午後三時から午後七時の間で、国際便の離着陸を新たに三十便程度増加することが技術的には可能であるという試算のもとで進められている。
 このため、従来の飛行経路を大きく変更し、例えば、渋谷上空を高度約六百五十メートル、品川上空を高度四百五十メートル、大井町の上空を高度三百メートルで着陸体制を取りつつ下降する経路(以降、「新飛行ルート」と呼ぶ)が計画されている。これらの街が日本でもトップクラスの人口密集地域である東京二十三区の主要な市街地であることは言うまでもない。すなわち、その上空を航空機が低空飛行するために起こる落下物や騒音による住民の被る生活リスク、企業や個人の所有する不動産価値の下落などを含む資産リスクは、他の地域における市街地上空を飛行する場合とは比較にならないほど大きいことは自明である。実際、新飛行ルート下に暮らす多くの住民から、強い懸念と反対の声が上がっている。わが国の発展は、当然国民の利益の側に立って考えられるべきである。そうした観点から、新飛行ルートの実施によって関係住民や生活者が抱える不利益はあまりにも大きいため、私はこの計画の抜本的見直しが必要だと考える。
 そこで代替案として、羽田空港と隣接し、実質的に東京の空港として機能している成田空港と連携することでこの問題を解消させることを提案したい。成田と羽田の立地を比較すると、それぞれJR山手線駅へのアクセスでは、成田空港から日暮里駅までの電車による移動に所要する時間は約三十六分、羽田空港から品川駅までは約十六分である。電車等に比べ天候等による遅延や欠航が発生しやすく、厳格な搭乗手続きを強いられる飛行機利用旅客にしてみれば、この約二十分の差は十分に許容できる範囲と考えられる。
 次に両空港の発着枠の現状を鑑みたい。羽田空港の離発着枠は既に飽和点に近い水準で推移している。ただし、その多くは国際便ではなく国内便である。また国際便は日本と諸外国の時差や飛行時間等の関係から、午後三時から午後七時の間に集中している。一方、成田空港は、午前十一時から午後二時の間など、朝夕のピーク時間以外の時間帯の離発着についてはゆとりがあることがわかっている。
 こうした現状を踏まえ、物理的には、羽田空港への飛行経路を現状のままにして、次のような運用の可能性があると考える。
 @羽田空港に行き来する国内便を、午後三時から午後七時の間について、一時間について十便ほど、合計三十便ほどを国際便に振り替えることにより、国際便を合計三十便程度増便することが可能である。
 A現在羽田に離発着している国内便のうち、三十便を超える相当数の航空機を成田空港発着便に変更する。特に、現在成田空港に余裕がある午前十一時から午後二時の発着枠の活用が想定される。
 この案の実施によるメリットを挙げたい。まず、羽田への飛行経路について東京二十三区上空での新飛行ルートを使わず、現行ルートを維持することができるため、新飛行ルート下の膨大な市民の生活や財産権への強烈なリスクを回避できる。また羽田空港への国際便の三十便増便を達成できる。加えて現在は、羽田空港に離発着する航空機が千葉市上空を旋回するため、千葉市民の方々から騒音についての強い批判があるが、成田空港発着に変更する国内線を増やすことで、千葉市上空の航空機を減らし、千葉市民の騒音負担を軽減することも可能になる。成田空港にとっては、ゆとりのある時間に離発着を増やすことが可能となる。
 以上の点を踏まえ、次の質問にお答えいただきたい。

一 現在政府が進めている羽田空港への東京都二十三区上空を通る新飛行ルート計画について。
 1 この新飛行ルートの実施は既に決定事項か。
 2 新飛行ルート案と同様に航空便需要の増加に対応し、住民の負担もより少ない別の案があれば、計画を変更することもありうるか。
 3 新飛行ルート計画に対して、ルート下の住民や団体から落下物や騒音、資産価値の減少などへの懸念から強い反対の声も示されている。こうした事実を認識しているか。
 4 これまで政府が行ってきた新飛行ルート計画に関する説明会や意見募集に寄せられた、賛成意見、反対意見、賛否は定かではないが危険や負担への懸念や心配を含む意見、それぞれの数を具体的に示されたい。また、政府は、新飛行ルート周辺下の住民における計画に対する賛否の割合はどの程度であると認識しているか。
二 高まる首都圏での航空便需要に対応する羽田空港と成田空港の一体的な運用について。
 1 羽田空港への新飛行ルートの作成にあたり、首都圏での航空便の需要を羽田空港と成田空港で一体的に満たす運用を検討した経緯はあるか。
 2 現在の成田空港で、午前十一時から午後七時の間に、新たに飛行機を受け入れることができる発着枠の余裕は残っているのか。余裕がある場合、この時間帯の中で、一時間ごとに何便の飛行機を受け入れることが可能か(午前十一時台、十二時台、午後一時台、といったように一時間ごとに示されたい。)。
 3 現在羽田空港に発着している国内便を成田空港発着に変更する場合、その弊害となる事柄や、懸念されるデメリットは何か。

 右質問する。



経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.