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平成三十一年二月一日提出
質問第一五号

東京電力福島第一原発で働くすべての収束業務従事者に健康管理手帳を交付できるようにする筋道に関する質問主意書

提出者  阿部知子




東京電力福島第一原発で働くすべての収束業務従事者に健康管理手帳を交付できるようにする筋道に関する質問主意書


 東京電力福島第一原発事故(以後、事故)に関する収束業務に従事した者(以後、収束業務従事者)に対して、労働安全衛生法第六十七条に基づく健康管理制度(以後、健康管理制度)を適用すべきではないかとの要請が、二〇一八年十二月十八日に全国労働安全衛生センター連絡会議らから行われた。その要請については、「一定の要件があるので困難である」との回答が、厚生労働省からあった。
 そこで、「一定の要件」について、以下、質問する。

一 健康管理制度とは、がんその他の重度の健康障害を発生させるおそれがある業務に就いた者が、一定の要件を満たせば、離職の際に事業場の所在地の都道府県労働局長に、離職の後には住所地の都道府県労働局長に申請することにより、健康管理手帳が交付され、年一〜二回、無料で健康診断を受けられる制度である。
 健康管理制度には、重度の健康障害を発生させるおそれがある業務に就く者にとってどのような利点があると考えるか、見解を明らかにされたい。
二 健康管理制度を収束業務従事者に事故発災直後に遡って適用することにより、収束業務従事者が収束業務現場から退いた後も、生涯、安心して健康管理ができるようにする責任が、原発推進政策を進めてきた国にはあるのではないか。
三 現在までに健康管理制度の対象は十三業務に拡大してきている。拡大してきた意義と背景を政府はどのように考えているか。
四 厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課によれば、健康管理制度の適用対象を検討する道筋は、一九九五年十二月に労働省(当時)の検討会が労働安全衛生の観点からとりまとめた「健康管理手帳交付の基本的考え方について」で定められており、以下の@〜Bのいずれの要件も満たす業務について厚生労働大臣が労働政策審議会(安全衛生分科会)に諮問し、答申を受け、省令改正を行うというものである。
  @ 当該物質等について重度の健康障害を引き起こすおそれがあるとして安全衛生の立場から法令上の規制が加えられていること
  イ 製造等禁止物質
  ロ 製造許可物質
  ハ その他の規制物質等
  A 当該物質等の取扱い等による疾病(がんその他の重度の健康障害)が業務に起因する疾病として認められていること
  イ 労働基準法施行規則別表第一の二第七号「がん原性物質若しくはがん原性因子又はがん原性工程における疾病」等
  ロ 中央労働基準審議会(現、労働政策審議会(安全衛生分科会))の議を経て労働大臣(現、厚生労働大臣)の指定する疾病として、告示により指定された疾病(同別表第一の二第八号)
  B 当該物質等の取扱い等による疾病(がんその他の重度の健康障害)の発生リスクが高く、今後も当該疾病の発生が予想されること
  @については、安全衛生の立場からの法令上の規制について、放射線は労働安全衛生法に基づく電離放射線障害防止規則などにより規制が加えられており、「ハ」に該当していると考えられるがどうか。
  Aについては、労働基準法施行規則別表第一の二第七号13に業務に起因する疾病として「電離放射線にさらされる業務による白血病、肺がん、皮膚がん、骨肉腫、甲状腺がん、多発性骨髄腫又は非ホジキンリンパ腫」が認められている。従って「イ」に該当していると考えられるがどうか。
  Bについては、収束業務従事者のうち、労働災害を申請し認定されただけでも昨年までの七年で五件(白血病三件、甲状腺がん一件、肺がん一件)が判明しており、今後も当該疾病の発生が予想されると考えられるがどうか。これら以外に他に必要な要件があれば、明らかにされたい。
五 電離放射線障害防止規則は事業者に対する放射線管理の義務を定めたものだが、労働者が離職後に抱える健康障害リスクや健康不安については、国はこれまでどのような施策を試みてきたか。
六 四で示したように、収束業務従事者からは、これまでに、白血病、甲状腺がん、肺がんが発生し、労災認定を受けている。しかし、現在、厚生労働省は、収束業務従事者に対して二つの対応を取っている。
 一つは、すべての収束業務従事者のうち、事故発災直後に引き上げられた被ばく上限の下、緊急作業に従事した者だけを対象に行っている「長期的健康管理」である。これは放射線の実効線量が年五十ミリシーベルトを超えた者には年一回白内障の検査を、百ミリシーベルトを超えた者には胃がん、肺がん、大腸がん、甲状腺の検査を受けることを厚生労働省が勧奨する通知を送るものだが、二〇一六年度末時点で住所を把握できている対象者が九十三・八%に下がっている。
 もう一つは、放射線影響研究所に「労災疾病臨床研究事業補助金」五億四千三百万円で委託し、二〇一四年から五年間の研究への参加勧奨の案内をすべての収束業務従事者約二万人に郵送し、応じた収束業務従事者だけを、「放射線被ばくによる長期にわたる健康影響をあきらかにする」ことを目的とした研究の被験者として位置付けて行っているものである。この研究への参加者は約七千人にとどまっている。
 しかし、国は、収束業務従事者すべてを生涯責任を持って健康管理を行うべき対象として考えるべきではないか。また、受診の勧奨の通知ではなく、本人がどこへ転居しようとも活用できるよう、労働安全衛生法第六十七条に基づく健康管理制度を適用し、本人の申請に応じて健康管理手帳を交付する制度に改めるべきではないか。適用を検討することにどのようなハードルが残されているか、見解を明らかにされたい。

 右質問する。



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