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平成三十一年三月十三日提出
質問第九一号

横畠裕介内閣法制局長官の官僚としての資質に関する質問主意書

提出者  早稲田夕季




横畠裕介内閣法制局長官の官僚としての資質に関する質問主意書


 横畠裕介内閣法制局長官の二〇一九年三月六日の参議院予算委員会における「声を荒げて発言するようなことまで含むとは考えておりません」という発言について、同氏の日本語能力及び発言の中立性という観点からその補職に大いなる疑義を感じるものであり、以下、質問する。

一 横畠長官は答弁において「あらげる」と発言したが、正確な日本語表現を採用するのであれば、「あららげる」とするべきである。口語として「あらげる」という表現が使われるようになったということは理解するところである。しかしながら、文化庁が発表した二〇一〇年度の「国語に関する世論調査」で本来の表現である「あららげる」よりも、本来の言い方でない「あらげる」を使う人が多いと逆転した結果がでるほどに、その正しい表現方法が使われなくなりつつあることに警鐘が鳴らされる表現である。このような微妙な表現であるからこそ、内閣提出の法律案の文面審査を実施する官庁である内閣法制局を統べる長官にある者が正しい日本語表現を用いていないことは、内閣法制局の審査事務の信頼性を傷つけるに等しいことになる。内閣法制局にあっては、審査事務取扱において、憲法や他の現行の法制との関係、立法内容の法的妥当性、立案の意図が、法文の上に正確に表現されているか、条文の表現及び配列等の構成は適当であるか、用字・用語について誤りはないかというような点について、法律的、立法技術的にあらゆる角度から検討するとされる。となれば、内閣法制局の官吏の日本語能力は職務遂行において重要不可欠な能力と思われるが、内閣法制局職員に求める日本語能力の水準について、政府の考えを明らかにされたい。併せて、横畠長官の日本語能力が職務遂行に必要な水準であるのか、具体的な根拠を示しながら政府の見解を明らかにされたい。
二 我が国は、ドイツ、イタリアなどの欧州諸国とは異なり、法令等の抽象的違憲審査を独立して行う憲法裁判所のような違憲審査機関が設置されていない。我が国は、抽象的違憲審査を実質的に執り行う機関が設置されていない代わりに、内閣提出法案や行政府の発出する政省令の事前審査を内閣の下に置かれる内閣法制局に担わせ、実質的な抽象的違憲審査を行っていると考えられる。ただし、内閣法制局は内閣直下の組織であり、内閣の意思と憲法や他の法制との関係性においてその審査事務の中立性が保たれているのかどうかについての評価は懐疑的にならざるをえない構造的問題があることは否めない。そこで政府の見解を問うが、内閣法制局は、その審査事務及び意見事務において日本国憲法及び現行法制において厳正中立に判断ができる組織なのか。また、厳正中立に判断できるためにどのような措置をとるべきと考えているのか、政府の見解を明らかにされたい。
三 二〇一九年三月六日の参議院予算委員会における横畠裕介氏の内閣法制局長官としての「声を荒げて発言するようなことまで含むとは考えておりません」という発言は撤回されたとはいえ、官僚の政治的中立性に鑑みれば、その補職された職が「法の番人としての中立性」を高く求められる内閣法制局を統べる長官たる故に、厳に慎まなければならないものと考える。また、今回の横畠長官の発言は、言論の府としての国会における議論を冒とくしかねない発言も含んでおり、官僚の意識の中にそのような意識があるのだとすれば、それは国会議員を選出している国民への背徳行為と指摘せざるを得ない。具体的には、「国権の最高機関、立法機関としての作用はもちろんございます」とした上で、「声を荒げて発言するようなことまで含むとは考えておりません」とした横畠長官の発言であり、この発言を文字通り受け取るのであれば、言論の府において議論をするにあっては、国会議員は、内閣法制局長官が考える範囲の態度で発言をしなければ、国権の最高機関、立法機関として作用できないという見解を示したことになる。これは、憲法の定める「表現の自由」を国権の最高機関において認めないという趣旨の発言にも通じるものである。このような発言を撤回したとはいえ、軽々にできうる官僚に内閣法制局長官としての職を全うできるとは考えられない。よってこのような人物は内閣法制局長官としての職務に耐えられないと考えるがそれについて政府の見解を明らかにされたい。
 なお、蛇足ながら、言論の府の自律作用によって、各議院の議院運営委員会が各議院における所作等を細かに決めることがあったとしても、それは国民に選ばれた国会議員が合議によって決める自律的決定であり、それは、官僚たる内閣法制局長官が国会の自律作用とは別に勝手に決める判断とは異なるものであることを申し添える。

 右質問する。



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