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令和元年六月十一日提出
質問第二一五号

空港における保安業務の国の責任等に関する質問主意書

提出者  松平浩一




空港における保安業務の国の責任等に関する質問主意書


 政府は、二〇一七年に閣議決定した「観光立国推進基本計画」において、訪日外国人旅行者数を四千万人とする目標を掲げている。日本政府観光局の発表によれば、二〇一八年の訪日外国人旅行者数は前年比八.七%増の三千百十九万人であり、過去最高値となっている。このため、空港における保安業務の必要性とその業務量は急速に増大している。
 米国含め多くの先進国では、かつては民間航空事業者が空港における保安業務の責任主体であったが、米国同時多発テロ事件以降、各国において保安警備に関する考え方の見直しが行われ、国(または空港会社)が責任主体となる体制への転換が図られている。
 一方、我が国では、空港における保安業務の責任主体は依然として民間の航空事業者とされている。そのため、保安に要する費用についても航空事業者が負担するほか、保安検査場に配置される保安検査員も、航空事業者から委託を受けた警備会社から派遣されている警備員であることが一般的である。
 以上を踏まえ、以下質問する。

一 国が航空事業者に対し保安検査機器の導入費用などにつき一定の費用負担をする等の支援を行っていることは承知しているが、航空事業者の負担が残る限り、経営状況によって保安費用の削減がなされる可能性は否定できない。二〇一七年には成田空港の保安検査員の大量離職問題が報じられ大きな話題を呼んだが、この背景としても、航空事業者と警備会社の間の契約料が低く抑えられ、不規則なシフトで拘束時間が長いにも拘わらず、保安検査員の給料が低く抑えられていたこと等が原因として指摘されている。
 政府が観光立国を推し進め、訪日外国人旅行者数の増加を目指すのであれば、政府の責任として、危機管理の水準を維持向上させるため、空港における保安に関する費用の国の負担割合についてもより高める必要があると思料するが、政府の見解と取組みを示されたい。
二 警備業法第十五条においては、「警備業者及び警備員は、警備業務を行うに当たつては、この法律により特別に権限を与えられているものでないことに留意するとともに、他人の権利及び自由を侵害し、又は個人若しくは団体の正当な活動に干渉してはならない」と定められている。つまり、保安検査員は航空運行の安全に関し重責を負っているものの、その業務は警備業法に基づく警備業務の一つとして、旅客の任意の協力を得て行う検査しかなしえず、警察のような特別な権限での検査を実施することはできないこととなっている。また、諸外国では空港の警備員は銃器を所持しているのが一般的であるが、我が国では、護身具の所持に関しても警備業法およびそれに従い定められる公安委員会規則による厳しい制限が課せられている。
 このように空港の保安検査員の権限が限定され、護身具の所持制限がなされている現状では、テロ行為等の重大犯罪を未然に防止することも、起きてしまった事件に迅速適切に対応することも困難であると思料するが、この点、現状のままで保安体制として問題はないと考えているのか政府の見解を示されたい。
三 空港や航空機を標的としたテロ行為は国家を標的としているものであり、国家安全保障上の問題である。それにもかかわらず、航空保安は第一次的に航空事業者の責任としている現在の制度には根本的な問題がある。
 航空保安は国家安全保障の問題という認識のもと、航空保安の責任は第一次的に国にあることを明示し、全国一体的な保安体制の整備、保安検査員の待遇改善、人材育成等に努める等、法制度の改正を早急に検討すべきと思料するが政府の見解を示されたい。

 右質問する。



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