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令和元年六月十二日提出
質問第二二二号

ただし書きで除染を「差し支えない」としたことに関する質問主意書

提出者  阿部知子




ただし書きで除染を「差し支えない」としたことに関する質問主意書


 国土交通省と法務省が二〇一九年三月につくった「特定分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領−建設分野の基準について−」の「特定技能外国人が従事する業務」に関する留意事項(以後、留意事項)として、除染については、「建設業への従事を目的とした受入れに該当しないことから(略)建設分野においては受入れ対象外」とした。しかし、「ただし」書きで「同じ特定技能所属機関に雇用され、特定技能外国人と同様の業務に従事する他の技能者が従事している場合、特定技能外国人に同程度の範囲内で従事させることは差し支えありません」とした。
 「差し支えない」かどうかは国土交通省と法務省が判断すべきことではないため、以下質問する。

一 建設分野として受け入れ、ただし書きで、除染に従事させられる可能性が特定技能外国人にはあることを、送り出し国に伝えているか。また、「差し支えない」との回答を得ているのか。
二 受け入れ側の現場の判断で、説明も合意も教育もないままに、特定技能外国人が除染をさせられることがあってはならない。四月二十四日の衆議院厚生労働委員会でこの問題を取りあげた際、「付随して除染などをやる場合に、お手元に国土交通省の特定技能受入計画というものをお示しいたしましたが、副大臣に伺いますが、ここでもし建設業以外に、例えば左官とか型枠とかいろいろありますね、それ以外に除染も何割かやっている場合、それはここのどこに記載されるんでしょう」との質問に対し、大塚高司国土交通副大臣が、「それの三番の部分、補足事項があれば記載をしますという部分の記入のところに当たるというふうに思います。それ以外、外国人に対しまして、事前に所定の様式により、業務内容、処遇等を、先ほどお話がございましたように、母国語等で説明することになっております。それプラス、国土交通大臣への受入計画の認定申請の際に、当該様式の写しもあわせて提出することを受入れ企業に義務づけているところでございます」と答弁を行った。
 1 特定技能外国人を受け入れる企業は、除染を付随して行わせる可能性がある場合、国土交通大臣への特定技能受入計画の認定申請の際に、三番の部分に補足事項として書き、それを母国語で説明することが義務であると考えて間違いはないか。
 2 その義務に反して、説明も合意も教育もないままに特定技能外国人が、除染業務を付随的に従事させられることがないことを、誰がどのように確認を行うのか。明文化した規定はあるか。
 3 義務に違反した受入れ企業にはどのような処分があるか。
三 留意事項には、「労働安全衛生法に基づく特別教育又は技能講習等が必要とされている業務について、特定技能所属機関は、特定技能外国人に対し、当該教育又は講習等を修了させなければなりません」との記述がある。
 1 除染が必要になる、放射線量の高い区域で仕事をする場合、必ず、労働安全衛生法に基づく特別教育又は技能講習等が必要となるという理解で間違いはないか。
 2 除染従事者のための「除染等業務特別教育テキスト」は、日本語で二百三十一ページあり、日本人が読んでも難しい内容である。一方、特定技能外国人に求められる日本語のN4レベルとは、「読む能力」は「基本的語彙漢字を使って書かれた日常生活の中でも身近な話題の文章を、読んで理解することができる」、「聞く能力」は「日常的な場面で、ややゆっくりと話される会話であれば、内容がほぼ理解できる」程度であるとされている。「除染等業務特別教育テキスト」は、「日常生活の中でも身近な話題の文章」とはかけ離れているが、「読んで理解することが」できなくても、差し支えないのか。
 3 除染現場では、被ばく防護のためにマスクなどを装着し、日本人でもコミュニケーションは困難であるとの指摘がある。N4の聞く能力で被ばく防護に支障をきたさずに除染業務を行えるかどうか、誰がどのように確認するのか。
 4 建設分野で受け入れる特定技能一号外国人は、実際には日本語能力試験を受けずに技能実習生から移行してくる方々がほぼ百パーセントと見込まれている。そのため、労働安全衛生法に基づいて自らを被ばくから守るために十分な日本語が身についていないとの声が寄せられている。被ばく防護に必要な日本語能力や現場での危険回避に必要な日本語能力を誰がどのように確認するのか。
四 特定技能外国人が除染等業務や東京電力の福島第一原発の放射線管理区域で被ばく労働に従事した場合、被ばく線量の記録や放射線管理手帳が容易に理解できる言語で提供されることを政府はどう確認するのか。
五 放射線被ばくによってどのような病気にかかるおそれがあるかを被ばく労働者に周知しておくことが、予防にも、万が一の場合の労災認定申請にも重要であるが、日本人なら読むことができる「放射線被ばくによる疾病についての労災保険制度のお知らせ」の多言語化については、厚生労働省は「検討する」としている。早急に多言語化をする必要があるのではないか。
六 特定技能外国人が日本で被ばく労働に従事し、被ばくを原因とした病気を帰国後に発症した場合を想定し、あらかじめ送り出し国に対して日本における労働安全衛生法体系を説明し、医療機関による診断から労災認定まで特定技能外国人が日本に戻らずに必要な手続が可能となるようシームレスな体制を整えておくべきではないか。
七 二〇一九年五月二十三日の朝日新聞記事「福島原発『特定技能』就労見送り 東電、国通達翌日に転換」によれば、ベトナムでは、自国の労働者が外国で働くことを禁じる地域として、東京電力第一原発を含め放射能汚染地域が明示されているという。このことについて、除染業務が付随する可能性のある建設分野で特定技能外国人を受け入れようとする建設業界に対して、どのように周知徹底していくか。

 右質問する。



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