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令和元年六月十三日提出
質問第二二六号

社会保険労務士の懲戒制度に関する再質問主意書

提出者  阿部知子




社会保険労務士の懲戒制度に関する再質問主意書


 六月七日付で受領した答弁書について、なお不明な点があるので以下、質問する。

一 聴聞の被害者参加について(一の(二))
 「社会保険労務士の懲戒処分等に係る事務手続マニュアル」(以下「マニュアル」という。)に、懲戒請求を行った者に対して「懲戒処分を行う場合は、公開で聴聞を行うことから傍聴が可能であること、また、処分結果は官報及び厚生労働省ホームページに公表することから結果の確認が可能であることを説明する。」などと示されていることは承知している。個別の事案に応じ、聴聞に係る個々の事務実施時期は異なるものの、懲戒請求を行った者に対して、マニュアルに示された説明は、確実にされているとの理解でよろしいか。
二 量定における情状酌量について(一の(三)のイ)
 量定における情状酌量について、前回答弁書では、「社会保険労務士の懲戒処分に係る量定の基準」別表を基準として、情状を総合的に考慮し、懲戒処分の量定を決定しているものであること、ならびに「仮定の質問であり、お答えすることは差し控えたい」と回答されている。しかし、一の(三)のイで示した事案は、実際の処分内容の比較であり、政府には質問の認識に齟齬があるため、改めて質問の趣旨を咀嚼して再質問する。
 前記マニュアル、別添一「社会保険労務士の懲戒処分事例」において、「平成二十三年十一月 福島社労士が知人の顔面を殴る暴行事件により、罰金十万円の刑が確定した。(当該知人からの懲戒請求による) 業務停止三か月 社会保険労務士たるにふさわしくない重大な非行があったときに該当」とした事案が示されている。
 他方、平成三十一年二月九日に、同じく罰金刑を受けたとして、三か月の業務停止処分がされた事案がある。これは、岡山県社会保険労務士会所属の社会保険労務士が、自己のブログに個人Aの名誉を毀損したとする名誉毀損事件について、岡山地方裁判所において、罰金五十万円の判決を受け、同判決が確定したことをして、社会保険労務士たるにふさわしくない重大な非行があったときに該当し、処分されたものである。
 こうした二つの事案を前提として、「社会保険労務士の懲戒処分に係る量定の基準」別表を基準として、情状を総合的に考慮し懲戒処分の量定を決定するとした場合、双方ともに「社会保険労務士法第二十五条の三違反」であり、「社会保険労務士にふさわしくない重大な非行があったとき」に該当し、かつ「※(注)罰金以下の刑に処せられた場合」に当たるものである。こうした非違行為をした者に対し、同基準は「一年の業務停止」を原則として、「ただし情状酌量により、一か月の業務停止又は戒告まで減量する。」と定めている。
 社会通念上、罰金刑の金額の多寡は、その犯罪の悪質性を測る指標となるところ、上記二件の事案を単純に比較した場合、罪状は異なるにしても、五十万円と十万円の罰金額の差に比例し、五十万円の罰金を科せられた者の方が、社会保険労務士たるにふさわしくない重大な非行の悪質性は高いものと思料される。しかしながら、前記厚生労働大臣が判断した両者の懲戒処分の量定は、「三か月の業務停止」、と同じである。
 そうすると、社会通念上、前述した後者の岡山の被懲戒処分者には、前者の福島の被懲戒処分者より、特段に情状が酌量されるべき要素が存在しなければならないことになる。しかし、岡山の被懲戒処分者は、処分庁に対して提出した陳述書において、懲戒処分をしたならば提訴することを明言しており、かつ、処分庁の事情聴取手続の再三の要請に応じておらず、くわえて、現在も懲戒処分の原因となった名誉毀損罪における被害者と、複数の民事事件で、名誉毀損等に係る訴訟が係属しているなど、「社会保険労務士にふさわしくない重大な非行」に対し、反省とは正反対の立ち位置に身を置くものである。
 こうした状況に鑑み、行政庁における処分の取扱いは、先の「社会保険労務士の懲戒処分に係る量定の基準」から照らし、社会通念上、著しく妥当性を欠いて裁量権の範囲を逸脱しているものと解されるが、この点につき合理的かつ明確な説明を求める。
三 量定における情状酌量について(一の(四)のア)
 懲戒処分の公表の基準について、「平成三十一年四月一日以降の懲戒処分より適用」された懲戒処分の公表事項の一部の見直しについて、見直し前の「懲戒処分の公表の基準」を明らかにするとともに、見直しによって変更(追加、削除も含む)された点の摘示、及び当該変更の理由をお示しいただきたい。
四 懲戒処分の公表の期間について(一の(四)のウの(ア)及びエ)
 前回答弁書では、懲戒処分の公表の期間につき、「業務の停止の日から期間終了の翌日より二年」と定められた基準と、取扱いを異にすることを明らかにすることが、今後の対応に支障をきたすおそれがあるため、公表の取り扱いにつき回答を差し控えたい旨述べられている。
 同答弁書では、厚生労働省では社会保険労務士の業務の公益性に鑑み、懲戒処分及びその対象となった行為などを一定期間公表している旨述べていることから、懲戒処分の公表の期間につき、懲戒対象者によって基準と大きく外れた扱いをすることにつき、合理的な理由が存在しなければならない。その理由を公表することに、今後の対応につき、どの様な支障をきたすのか明確にご説明いただきたい。
五 懲戒処分の公表事案が、HP上から突然削除されることについて(一の(四)のウの(ア)及びエ、ならびに、二の(二))
 前回答弁書では、社会保険労務士の業務の公益性に鑑み、公表された懲戒処分の事案が、公表基準と異なり、本来、公表期間であるとされる期間に、裁判所による執行停止の決定が出された場合は、当該処分の公表を差し控える場合があることを回答されている。しかし、HP上にそのような表記が一切なく、突然公表事案が削除された場合、国民は何が起きたのか知るすべもない。
 さらに同答弁書では、「一般論として、処分の取消し等を求める訴訟が提起された懲戒処分については、当該訴訟において示されることとなる裁判所の判断を尊重しつつ、当該懲戒処分の公表等の対応について検討していくこととなる。」と示されているが、行政事件訴訟法第二十五条の執行停止は、処分の取消しの訴えの提起があつた場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止をすることができると定めている。すなわち執行停止は、執行取消しの訴訟提起により、裁判所の決定をして、その訴訟係属中の期間につき暫定的に行われるものである。よって、前記政府答弁のとおり、執行取消しにおける裁判所の判断を尊重するとしたならば、執行停止により、懲戒処分の公表を差し控えてから、当該取消訴訟における裁判が確定するまでの間(一般論として、一年ないし二年といった期間)、当該事実につき、国民に対しては何らの情報が与えられないことを意味する。
 よって、公表の趣旨と、国民の知る権利に鑑み、政府は懲戒事案が削除されたことに関する説明責任を果たすべきだが、その見解を示されたいとした前回質問に対し、何ら回答がされていないものと思料する。この点につき、再度質問する。
六 公表が遅れることの弊害について(一の(四)のウの(イ))
 前回答弁書では、仮定の質問であり答弁できない旨を示している。しかし実際問題として、前述の平成三十一年二月九日に、「自己のブログに個人Aの名誉を毀損したとする名誉毀損事件について、岡山地方裁判所において、罰金五十万円の判決を受け、同判決が確定したことをして、社会保険労務士たるにふさわしくない重大な非行があったときに該当したとして、三か月の業務停止処分」をされた者は、同年四月三日に公表が始まったものであり、その間五十三日間を有するものである。また、現在、HP上に処分事案として掲載されている戒告処分にしても、処分の日から三十二日後に公表されているものである。こうした前提があるにもかかわらず、政府は、個別の懲戒処分の公表に係る取り扱いについて明らかにすることは、今後の対応に支障をきたすおそれがあるため、回答できない旨を示す。
 そうすると、業務停止処分が一か月の場合の被懲戒処分者のケースでは、処分期間中に公表されない場合があることは可能性として否定されるものではなく、これが社会保険労務士の業務の公益性に鑑み、一定期間を公表している現行の取り扱いの趣旨に逸脱しないか否かを再度質問する。
七 執行停止になった者の、厚労省HPの掲載期間について(二の(一))
 前回答弁書において、質問の趣旨が明確ではないため、回答が困難な旨を、示されている。本質問の趣旨は、本来の公表期間の間、被懲戒処分者から処分取消しの提起がされ、かつ、執行停止の決定がされた場合、HP上での当該懲戒処分につき公表が控えられるものだが、最終的に裁判で、当該懲戒処分が妥当であると確定した場合、HP公表につき、執行が停止されていた期間の、その後の扱いを尋ねているものである。すなわち、このような場合に、従前の公表すべきとされていた終期を超え、執行停止処分により停止されていた期間分については、公開の期間が延長されるとの認識でよろしいのか質問する。
八 業務停止処分を受けた社労士が、その期間中に業務を行った場合について
 (1) 業務停止処分に係る規定について(一の(三)の(ア)及び一の(五)のア)
  基準をあらかじめ定めて、これに照らして処分の有無を判断するということは、手続の公正性、透明性を担保し、適切な裁量権行使を導くという意味において有効であると解される。罪刑法定主義の立場からも、その扱いが評価される。
  しかし、社会保険労務士の懲戒処分において、量定を含め、最初の懲戒処分についてはマニュアルが存在するが、業務停止処分を受けたにもかかわらず、業務を行った場合の懲戒処分については、マニュアルが存在しないことを、政府は前回答弁書で述べている。前者は、罪刑法定主義の観点から妥当であるが、後者にマニュアルがないということは、手続の公正性、透明性を担保しえないということになると思料されるが、罪刑法定主義の観点から整合性を欠く、両者の扱いにつき、合理的な説明を求める。
 (2) 「業務停止」とする懲戒処分の、実効性の担保について(一の(五)のア及び一の(五)のウの(イ))
  ア 業務停止の調査における基準の定めがないこと等
  前回答弁書「一の(四)のウの(イ)について」の回答として、政府は業務停止処分を受けた社会保険労務士が、業務停止期間中に業務を行っていた場合、それは懲戒処分等の対象となることを、明示している。
  しかしながら、同答弁書では、どのような場合が「業務停止」に該当するのか、その判断基準となる要件が、具体的に定められておらず、「業務停止」にかかる調査の作為義務はなく、必要に応じて対応すると回答されている。
  そうすると、懲戒処分を受けた社労士の業務停止につき、その期間中に業務を行った場合に懲戒処分等を科すことは、全くもって懲戒権者の自由裁量ということになるが、そうした対応により、最初に行われた「業務停止」とする懲戒処分の実効性が担保されるのか、社会保険労務士の業務の公益性に鑑み、明確にお答えいただきたい。
  イ 現認した違反行為を調査する義務
  業務停止処分を受けた社労士が、その期間中に業務を行った場合、懲戒処分等の対象になり得ることを前提として、業務停止処分を受けた同被懲戒処分者が、業務停止期間中に業務を行っていたことを現認した第三者が、これを労働基準局など、懲戒請求の相談窓口とされる部署に通報し、現認の同道を求めた場合、同部署には、社労士法違反の現認調査をする調査義務はないのか質問する。
 (3) 業務停止処分を受けた期間中に、業務を行っていた社労士を通報した、新たな懲戒請求者に対しての対応について(一の(五)のイ及びウの(ウ))
  懲戒請求者に対しては、前記マニュアルの懲戒事案に対しては、「懲戒処分を行う場合は、公開で聴聞を行うことから傍聴が可能であること、また、処分結果は官報及び厚生労働省ホームページに公表することから結果の確認が可能であることを説明する。」こと、また、被懲戒事案に対しては「社会保険労務士法上、懲戒請求に係る応答義務が課されていないことから、公益通報に該当する場合を除き、基本的に結果の報告を行わないこととする。ただし、懲戒請求者から調査結果について照会があった場合は、懲戒に該当しないという結果のみ、口頭で説明することは差し支えない。(中略)また、調査結果の詳細については第三者に係る情報を含むため口頭では回答しないが、上記による対応を行ってもなお、懲戒請求者が納得しない場合は、情報公開法に基づく開示請求が行えることを教示する。」が示されているが、業務停止処分を受けた期間中に、業務を行っていた社労士を通報した、新たな懲戒請求者に対しても、前記マニュアルの定めが適用されることになると思料されるが、その理解が正しいのかをお尋ねする。

 右質問する。



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