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令和元年六月十八日提出
質問第二五五号

公的年金制度だけでは、老後に満足な水準での生活を送ることが困難となり、夫婦二人世帯では老後生活に二千万円の資金が必要になるという金融庁の見解は政府の政策スタンスとは異なるので、報告書に関する質問に政府は答えないという閣議決定に関する質問主意書

提出者  中谷一馬




公的年金制度だけでは、老後に満足な水準での生活を送ることが困難となり、夫婦二人世帯では老後生活に二千万円の資金が必要になるという金融庁の見解は政府の政策スタンスとは異なるので、報告書に関する質問に政府は答えないという閣議決定に関する質問主意書


 二〇一九年六月三日、金融庁は人生百年時代を見据えた資産形成を促す「高齢社会における資産形成・管理」という報告書を公表した。
 報告書では、夫が六十五歳以上、妻が六十歳以上の厚生年金を受け取っているモデル世帯の場合、退職後に公的年金だけでは毎月約五万円の赤字となり、これが三十年続くと夫婦で約二千万円のお金が必要になるとの試算を示した。
 また金融庁は、この報告書に採用された試算とは別に、金融庁が独自に「最大三千万円」必要とする試算を行い、平成三十一年四月十二日のワーキンググループに事務局説明資料として提示していたことが明らかとなった。
 そしてまた、このモデル世帯は、厚生年金を受け取っている世帯がモデルとされており、国民年金だけで老後を考える人は、二千万円、三千万円の資産が必要になるどころではなく、五千万円、六千万円の資産が必要になるという識者の見解がある。
 その一方で、「平成三十年(二〇一八年)家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」のデータによれば、金融資産を保有しない世帯を含む七十歳以上の分布として二千万円以上の貯蓄を持っている世帯は全体で二十七.九パーセントに過ぎない。その上、貯金がない世帯は二十八.六パーセントに上り、五十パーセント以上の世帯が一千万円以下の貯蓄状況である。
 こうした現状について政府に見解を確認すべく、令和元年六月六日に、「公的年金制度だけでは、老後に満足な水準での生活を送るのが困難となり、夫婦二人世帯では老後生活に二千万円の資金が必要になるという政府見解に関する質問主意書」を提出したが、「政府の政策スタンスとも異なることから、政府としては、正式な報告書としては、受け取らないということを決定し、今後の政策遂行の参考とはしないとしたところであり、当該報告書を前提にしたお尋ねについてはお答えをすることは差し控えたい。」という答弁書が送付されて参りましたので、本件について政府の見解を確認したく、以下質問する。

一 金融庁が税金を使って行った「金融審議会 市場ワーキンググループ」の事業における結果である「高齢社会における資産形成・管理」の報告書について、政府が受け取らなくてもよいとした根拠について政府の見解を詳細に伺いたい。
二 「金融審議会 市場ワーキンググループ」の事業における結果である「高齢社会における資産形成・管理」の報告書について、「当該報告書を前提にしたお尋ねについてお答えすることは差し控えたい。」と答弁をされているが、金融庁が税金を使って行った事業の報告書について、政府がその説明責任を果たさず、答弁をしなくてもよいという結論に至った根拠について、政府の見解を詳細に伺いたい。
三 麻生太郎副総理兼金融担当相は、報告書について「公的年金で老後生活をある程度まかなえるとする政府の政策スタンスと異なる」としたが、ある程度というのは具体的に公的年金でいくらまかなえると考えていて、いくら足りなくなると考えているのか、政府の具体的な見解が示されていない。
 1 金融庁の報告書では、夫が六十五歳以上、妻が六十歳以上の厚生年金を受け取っているモデル世帯の場合、退職後に公的年金などだけでは毎月約五万円の赤字となり、これが三十年続くと九十五歳まで生きるには夫婦で約二千万円のお金が必要になるとの試算を示したが、金融庁の試算が政府スタンスと異なるということであれば、政府の見解を示して頂きたい。
 2 政府としては、このモデル世帯ではいくらの生活費が必要で、いくらの資金を年金でまかなうことができて、いくらの資産が足りなくなると考えているのか、政府の見解を詳細に伺いたい。
四 金融庁は、この報告書に採用された試算とは別に、金融庁が独自に「最大三千万円」必要とする試算を行い、平成三十一年四月十二日のワーキンググループに事務局説明資料として提示していたことが明らかとなったが、この試算も政府スタンスとは異なるものであるのか、伺いたい。また、仮に異なるという見解であれば具体的にどの部分が異なっているのか政府の見解を明らかにされたい。
五 金融庁の人生百年時代を見据えた資産形成を促す「高齢社会における資産形成・管理」の報告書に示されたモデル世帯は、厚生年金を受け取っている世帯がモデルとされており、国民年金だけで老後を考える人は、二千万円、三千万円の資産が必要になるどころではなく、五千万円、六千万円の資産が必要になるという識者の見解がある。
 報告書を前提としたお尋ねについては答えられないということであれば、一般論の政府見解としてお答えを頂きたいが、夫が六十五歳以上、妻が六十歳以上の国民年金のみを受け取っている世帯の場合、退職後に三十年間生きるには夫婦でいくらの生活費が必要で、いくらの資金を年金でまかなうことができて、いくらの資産が足りなくなると考えているのか、政府の見解を伺いたい。
 質問の六、七、八について、報告書を前提とした尋ねについては答えられないということであれば、一般論の政府見解としてお答え頂きたいが、
六 二人以上の世帯で二千万円以上の貯蓄を持っている者が全体の二十七.九パーセントである現状があるが、政府は、二人以上の世帯で二千万円以上の貯蓄を持っている世帯が、今後どのような水準で変化していくと考えているのか、見解を伺いたい。
七 政府は、二人以上の世帯で二千万円以上の貯蓄を持っている世帯が二千二十年、二千三十年、二千四十年時には、どのように推移していくと想定しているのか、その展望についての見解を伺いたい。
八 二人以上の世帯で、貯金がない世帯は二十八.六パーセントに上る中、この貯金がない世帯の方々がどうすれば二千万円程度の貯蓄を作ることができると考えているのか、その方策について政府の見解を伺いたい。
九 政府は公的年金制度に関して、当時の厚生労働大臣、厚生労働副大臣が、
 「百年安心にしていくという案を作った」
 「百年後でも絶対大丈夫ということを申し上げます」
ということを述べられたという記録が残っているが、この答弁は今でも政府の公式見解として同様であり、百年安心で絶対に大丈夫な制度だと自信を持って国民に発信できると考えているのか、政府の所見を伺いたい。
十 報道によれば、報告書に対する国民からの意見として「いまごろになって、年金がこれから減るから生活できない、自分で資産運用しろとは、あまりに無責任だ」と批判が殺到しているとのことである。
 政府の答弁書においても、「ご指摘の報告書については、世間に著しい誤解や不安を与え…」と記載をされているが、どのような内容が、世間に著しい誤解や不安を与えたと考えているのか、政府の見解を伺いたい。
十一 政府見解の通り、政府機関である金融庁の報告書が世間に著しい誤解や不安を与えたという認識があり、公的年金制度の役割として、どれだけ長生きしても、また子供の同居や経済状況など私的な家族の状況にかかわらず、安心・自立して老後を暮らせるための社会的な仕組みであるという説明をしてきた事実がある以上、政府は、国民にまず謝罪するべきであると考えるが、如何か。政府の見解を伺いたい。

 右質問する。



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