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令和元年十月四日提出
質問第一六号

カジノを含む特定複合観光施設区域整備のための基本方針案に関する質問主意書

提出者  阿部知子




カジノを含む特定複合観光施設区域整備のための基本方針案に関する質問主意書


 特定複合観光施設区域(以下、IR)整備法に基づく基本方針案を、観光庁が九月四日に公表し、国民からの意見募集、いわゆるパブコメを開始した。その内容は長文、複雑であり、一般国民にとっては難解である。ところが、パブコメ期間はたった一カ月である。
 IR整備法成立時の参議院附帯決議三十は、「政府は、本法に基づく政省令等を定めるに当たっては、国会における議論を踏まえて検討を行うとともに、国会及び国民に対し十分な説明を尽くすこと」としていたが、パブコメを募集中であることすら知らない国民がほとんどであった。また、パブコメの締め切りは臨時国会開会の前日であり、国会論戦を通じて期間延長などの是正を求める機会すらない。
 そこで、九月二十五日に「カジノを含むIR整備のための基本方針案への意見募集に関する国土交通大臣への要請」を提出し、是正を求めたが、改めて、IR整備推進本部長たる安倍晋三内閣総理大臣の見解を求める。

一 基本方針案のパブコメ期間の一カ月は、行政手続法第三十九条で「三十日以上でなければならない」と定めた最低限の期間である。この一カ月の間には、台風十五号の影響による停電や被災により、情報にアクセスができなかった国民が多数いたことを鑑みても、期間を延長すべきである。
 @ 基本方針案のパブコメを求める期限を決定する際、政府は、法律成立時の附帯決議三十「政府は、本法に基づく政省令等を定めるに当たっては、国会における議論を踏まえて検討を行うとともに、国会及び国民に対し十分な説明を尽くすこと」をどのように勘案したのか。
 A 勘案したとしたら、どのような理由から、誰が決定権者としてその締め切りを臨時国会開会日の前日までと決定したのか。
二 パブコメに付した基本方針案には、IR整備法「第五条第一項の規定に基づき、特定複合観光施設区域の整備のための基本的な方針を定める」とされ、同第五条第三項には「国土交通大臣は、基本方針を定めようとするときは、関係行政機関の長に協議する」としている。
 しかし、関係行政機関の一つである「カジノ管理委員会」は未設置であるため法定手続に反している。基本方針を定めようとして案を公表した段階で、当該関係行政機関が存在しないことは異常である。にもかかわらず、急いで国民の意見募集を締め切った理由はなぜか。
三 実施方針(第六条)の策定に際しては、都道府県等の同意の一形態として地方自治法第九十六条第二項の規定により、独自に条例を定めることができることを、基本方針でより明確に記述すべきではないか。
四 区域整備計画(第九条)の認定に際しては、市町村および特別区の「同意」の一形態として、地方自治法第九十六条第二項の規定により、独自に条例を定めることを、基本方針でより明確に記述すべきではないか。
五 基本方針案によれば、国土交通大臣が三つの区域整備計画を認定する際、法律にも政令にも定めがない「審査委員会」を設置し、非公開で開くとしている。
 @ 上限三つの地域を選び、カジノ利権を左右するこのような委員会を、法改正を行って位置づけないのはなぜか。
 A 審査委員会を非公開にして事後に議事録等を公開する理由を基本方針案では、「率直な意見の交換及び意思決定の中立性を確保するため」としている。非公開にすることによって国民が抱く不信感は事後の公開では解消されず、意思決定の恣意性が疑われる。公開であっても率直な意見交換ができる人材を選び、相当な理由がある場合だけ理由を明らかにして非公開とすることに不都合はあるのか。
 B 審査委員会の設置根拠は、平成三十年七月十二日参議院内閣委員会で、熊野正士・公明党議員が「国際的、全国的な見地から効果の高いものを国が認定する仕組みとすべき」である旨を質問し、石井啓一国土交通大臣(当時)が「例えば第三者による審査委員会を設置すること等により、公平かつ公正に審査を実施することが必要」と答弁したことであるとされるが、「例えば」の事例がどのようにして「方針案」として確定したのか。「等」というからには、他にも何が含まれているのか。
六 自治体と民間事業者が結ぶ「実施協定」については、法律にも基本方針案にも「概要」を公表するとあるが、九月三十日に私が衆議院第一議員会館で開催したヒアリングにおいて、自治体の条例で「実施協定」全文を公表できると基本方針で明示すべきではないか、と質問をしたところ、担当参事官が「できる」と回答したが、その旨を、基本方針に記述してはどうか。
七 カジノを含むIRが失敗して区域整備計画の認定が取り消しとなった場合の自治体が抱えるリスクや負担、その結果として起きうる自治体による住民サービスへの影響は、おそくとも基本方針の段階で、自治体および住民が明確に理解をすべきことであるから、より詳細な記述が必要ではないか。

 右質問する。

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