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令和元年十一月六日提出
質問第六八号

日本型修正現代貨幣理論に基づく景気刺激策の実現に関する質問主意書

提出者  松原 仁




日本型修正現代貨幣理論に基づく景気刺激策の実現に関する質問主意書


 アメリカ合衆国(以下「米国」という)バード大教授のランダル・レイ教授などが提唱している現代貨幣理論(Modern Monetary Theory、以下「MMT」という)が、内外で論争を巻き起こしている。
 私は、MMTとは分かり易く言うなら、自国通貨を持つ日本のような国では、中央銀行を政府と一体と考え、一万円札を無限に印刷することで資産を産み出すことが可能である以上、政府が債務超過になることはないとして、インフレ率が目標に達成するまで、国債を発行しても破綻しないという理論であると考えている。そして、米国をはじめ、世界で論争が繰り広げられているMMTには、端的に大きく二つの問題点があると考えている。一つは、紙幣は刷れば刷るほどその価値は下がるので、物価が高騰し、悪性インフレが家計を直撃しかねないという点である。もう一つは、このような財政規律を無視した紙幣の増刷は、貨幣への信頼を喪失させ、ひいては通貨政策及び財政政策への信任を喪失させ、結局、ヒト、モノ、カネについての国境の壁が低くなっている今日の世界で、マネーの逃避を促すことになるのではないかという点である。
 したがって、「政府が破綻することはない」というMMTの考え方は経済理論としては成り立ちうるものの結果的には、国内外からの通貨に対する信頼を喪失させることになることが予想される。
 しかしながら、日本の場合、日本国債保有者に占める海外比率が十二%程度にとどまるということから、国外における信頼低下を他国ほどは気にする必要がないという特異な状況がある。また、主流派経済学に基づく金融政策に基づいた景気刺激策により、マネーサプライ(M2)が膨張している中で、マイナス金利が継続しているという、極めて異常な状況にもある。このようなマイナス金利が継続している状況においては、今も尚、財政政策及び通貨政策に十分なバッファが見込めると考えられる。
 私は、こうした日本経済の特異な状況から、日本に限れば、「資金使途を明確化して、支出金額以上の経済効果が将来に見込めることを国民が納得できる形で、必要かつ効率的な財政支出を行う」という条件の下で、日本型修正現代貨幣理論(Japan Modern Monetary Theory、以下「JMMT」という)は、日本では、一定期間成り立つと考える。
 日本経済は、アベノミクスの経済効果により、深刻な不況になることなく、土俵際に辛うじて踏みとどまっている状況にある。しかし、それでも、日本の経済成長率が長期にわたり低迷していることから、国際社会における経済的影響力は相対的に低下を続けている。早期にデフレ脱却を行い、経済を再度成長軌道に乗せなければ、日本経済が、国際社会において埋没する危険性がある。マイナス金利が継続しているという現状は、主流派経済学に基づく金融政策に基づいた景気刺激策が、現状有効に機能していない証左と捉えることもできる。そこで、財政政策への信任を毀損しない範囲で、財政均衡(プライマリーバランス)にも配慮したJMMTをデフレ脱却の駄目押し的政策として導入することで、アベノミクスの集大成としては如何か。
 そこで、「資金使途を明確化して、支出金額以上の経済効果が将来に見込めることを国民が納得できる形で、必要かつ効率的な財政支出を行う」という条件の下で、次のとおり質問する。

一 令和の時代をデフレ脱却の時代とするための日本型修正現代貨幣理論(JMMT)に基づく景気刺激策について
 1 過去に納めた法人税納税額の総額に一定割合を乗じた額を上限に、希望する法人に対して、@Beyond 5G、A量子コンピューター、BAI(人工知能)など特定の投資対象への投資資金に充当し、自発的将来投資を促すための無議決権無配当型優先株による出資を行う景気刺激策を行うことを政府として検討するか。
 2 前項の景気刺激策の実施のために、前項優先株の償還資金を返済原資とする満期五十年の超長期国債を発行するとともに、JMMT特別会計ともいうべき特別会計による管理を行うことを政府として検討するか。
 3 デフレからの完全脱却のための日本型修正現代貨幣理論に基づく景気刺激策については、前項の特別会計による管理を行い、一般会計については、財政再建を進めることで、早期の一般会計におけるプライマリーバランスの健全化を行うことを政府として検討するか。

 右質問する。

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