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令和元年十二月四日提出
質問第一七八号

米空母艦載機陸上離着陸訓練(FCLP)実施候補地とされた馬毛島の土地買収に関する質問主意書

提出者  田村貴昭




米空母艦載機陸上離着陸訓練(FCLP)実施候補地とされた馬毛島の土地買収に関する質問主意書


 菅義偉官房長官は本年十二月二日の記者会見において、「防衛省は馬毛島の土地の大半を有する所有者との間で、土地の取得に向けて協議を進めてきましたが、十一月二十九日に一定の合意に達し、売買額は約百六十億円と報告を受けております」と述べた。
 この問題をめぐっては、二〇一一年の日米安全保障協議委員会(2プラス2)において、同島を米空母艦載機陸上離着陸訓練(FCLP)の候補地とすることが合意され、同島取得のために土地の大半を所有する地権者(以下、「地権者」とする)との交渉が断続的に行われてきた。しかし、多くの住民が暮らす種子島からわずか十二キロメートルに位置する同島へのFCLP移転計画に対しては、深刻な騒音被害への不安等から地元住民による根強い反対運動が続いている。西之表市長も本年十二月二日の同市議会で、「FCLP移転について地元の理解は得られていない」「FCLP以外のふさわしい活用策の実現に向けて取り組んでいる」と述べている。
 地元同意が得られているとは到底言えないにも関わらず、多様な生態系を育んできた馬毛島の自然環境や種子島の平穏な生活を破壊するFCLP移転を、地元住民や自治体の頭越しに進めていることは極めて重大である。強く抗議するとともに、以下質問する。

一 十一月二十九日に一定の合意に達したとされる内容について伺う。
 1 合意内容を明らかにされたい。
 2 「約百六十億円」としている買収額の正確な金額、積算根拠を示されたい。
 3 合意に達したのは、地権者の所有する土地の一部であると報道されているが事実か。また、合意に達した土地の具体的な面積、対象物件を示されたい。
 4 売買契約の文書は交わしたのか。
 5 馬毛島に設定された抵当権を地権者が抹消することを売買契約の条件としているというのは事実か。
二 地権者が抵当権を抹消するにあたって、債権者への債務返済のために、国が信用保証に関与するなどして地権者の資金確保に協力することを検討していると報じられているが事実か。土地取得のために国が民間企業の債務を肩代わりすることなどあってはならない。国が信用保証に関与するなどということは当然ないものと考えるが、政府の見解を明確に示されたい。
三 土地取得にあたって不動産価格を把握することを目的とした不動産鑑定評価を行っているが、評価額について明らかにされたい。
四 公害等調整委員会は、「鹿児島県馬毛島における開発工事による漁業被害原因裁定申請事件及び同責任裁定申請事件」の裁定において、「平成十七年頃までは、本件における林地開発事業及び立木伐採事業は、おおむね許可申請又は届出に沿った開発が行われていたことがうかがわれるものの、その後、許可申請及び届出の範囲を超える開発及び伐採が行われてきたことがうかがわれる。そして、平成二十年頃までには、林地開発事業及び立木伐採事業は、許可申請及び届出の範囲を超える開発及び伐採をしていたものと推認される」との事実認定を行っている。
 1 森林法において、一ヘクタール以上の開発行為を行う場合、伐採届を提出するだけでは樹根の採掘等の開発行為を行うことはできないと考えるが、間違いないか。
 2 私は二〇一九年二月二十七日の衆議院予算委員会第二分科会において、森林法に違反して馬毛島の開発が行われてきたことを指摘したが、地権者や鹿児島県に対して事実確認を行ったのか。
 3 森林法違反の開発が行われているおそれがあることを承知のうえで土地を取得するのか。
 4 国が森林法違反の開発等の瑕疵ある土地を取得するなどということはすべきでないと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
 5 地権者は売買にあたって森林法に違反して開発した土地の原状回復を行うことを明確にしているのか。
五 防衛省は、空母艦載機離発着訓練施設に関する事業として、契約ベースで、二〇一八年度に二億四千五百万円、二〇一九年度に五億九千六百万円の予算を確保し、一月下旬から物件調査や環境調査等の現地調査を実施している。二月二十七日衆議院予算委員会第二分科会において、当時の原田憲治防衛副大臣は「FCLPももちろんでありますけれども、自衛隊の基地として買収するにふさわしいかどうかということも含めて調査をいたしたい」と答弁している。
 1 どのような調査を行い、どのような結果が得られたのかを明らかにされたい。
 2 調査によって「買収するにふさわしい」と判断したのか。そのように判断したとすれば、判断の根拠を明確に示されたい。
六 米軍の訓練施設に供するため、多額の国費によって土地を取得しようとしている。国費の支出にあたっては、国会の監視と議論を前提に行われなければならない。売買契約締結前に、支出額や契約内容等を国民と国会に情報開示する必要があると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
七 馬毛島へのFCLP移転には、種子島をはじめとする多数の住民が反対している。西之表市は宇宙関連事業の展開、馬毛島自然保護区及び自然・文化総合学術調査施設の設置等の活用計画を検討しており、西之表市長は右記の通り「地元の理解は得られていない」と述べている。
 1 菅義偉官房長官は十二月二日の記者会見において、「地元の理解と協力、ここが極めて大事だ」と述べているが、「地元の理解」が得られていると考えているのか。政府の見解を示されたい。
 2 また菅義偉官房長官は同日の記者会見において、「政府としては、これは正式に買収することができましたら、丁寧に進めさせていただきたい」とも述べているが、土地を取得する前に地元の同意が必要だとは考えないのか。また、地元同意がない限りFCLP移転を進めないということか。政府の見解を明確に示されたい。
 3 西之表市は、宇宙関連事業の展開、馬毛島自然保護区及び自然・文化総合学術調査施設の設置等の活用計画を策定し、馬毛島の自然を活かした体験活動などに取り組んでいるが、こうした地元自治体の取り組みを踏みにじるのか。政府の見解を示されたい。
 4 FCLPによって深刻な騒音被害がもたらされ、平穏な生活が破壊されるとして地元住民が反対していることについて、政府の見解を示されたい。
 5 地元住民や自治体に対し、十一月二十九日の合意内容や交渉経過等について、いつどのような説明を行ったのか。

 右質問する。

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