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令和二年二月二十日提出
質問第七一号

保釈中に国外逃亡した被告人への対応に関する質問主意書

提出者  松原 仁




保釈中に国外逃亡した被告人への対応に関する質問主意書


 保釈中の令和元年十二月、違法な手段でカルロス・ゴーン・ビシャラ被告人は出国して逃亡した。
 このような違法な国外逃亡が許されることがあってはならないのは当然のことである。国民の中には、起訴状によればゴーン被告人は日産自動車から取得した資金を自己の利益を図る目的で実質的に保有する銀行口座に還流させているというのであるから、ゴーン被告人の資産の一部が犯罪収益を構成する疑いが濃厚であり、資金洗浄防止の観点から、政府は国際送金の中継地点となっているコルレス銀行やゴーン被告人が使用するクレジットカードの発行会社に、ゴーン被告人およびゴーン被告人が実質的に支配する法人に関する情報を提供して取引拒絶あるいは取引停止を要請すべきとする意見もある。また、スイス連邦の『インサイド・パラデプラッツ』によるとゴーン被告人が同国のジュリアス・ベア銀行と取引しているとのことであるから、同行に対してゴーン被告人が実質的に支配する銀行口座の凍結を要請すべきという意見もある。さらに、『ウォール・ストリート・ジャーナル』等によれば、ゴーン被告人が日産自動車の資金を還流させた銀行口座からゴーン被告人がアメリカ合衆国(米国)で運営する投資会社ショーグン・インベストメンツ(米国デラウェア州登記)に巨額の資金を送金しているとされ、資金洗浄の疑いが濃厚であるから、世界百ヶ国以上と犯罪人引渡条約を締結する米国に情報を提供して、米国司法当局による訴追を通して正義を実現すべきという意見もある。
 このように、今回の法を無視したゴーン被告人の国外逃亡は、広く国民の関心事であるばかりか、国際社会からも日本政府の対応が注目されているおり、早急な対処が求められている。
 そこで、次のとおり質問する。

一 報道されているゴーン被告人の起訴事実によると、政府としても、ゴーン被告人の所得が本来申告されていたものよりかなり多額であったと認めていると思料する。その場合、政府が不申告分と考える所得に関しては、租税条約に関する届出などの源泉徴収不徴収のための手続が適切に行われていなかったとして、当該不申告分相当の源泉徴収税額を課税事業者に納付させ、ゴーン被告人からの還付請求があっても、ゴーン被告人の刑事司法手続が終結するまで、当該請求に応じないということも検討すべきと考えるが、政府として如何。
二 前項のとおり、政府としても、ゴーン被告人の所得が本来申告されていたものよりかなり多額であったと認めていると思料することから、租税条約等に基づく情報交換などを通じてゴーン被告人の財産状況の把握に努めるべきと考えるが、政府として如何。
三 ゴーン被告人は、偽証の容疑で国際手配されている妻のキャロル・ナハス容疑者との面会を裁判所に制限されたことが不当な人権侵害であると強く非難している。そこでお尋ねするが、我が国が締結した条約または確立した国際法規で、罪証隠滅または逃亡のおそれがあっても配偶者との面会を無制限に認めるよう定めるものはあるか。また、罪証隠滅または逃亡のおそれがあっても配偶者との面会を無制限に認めることは国際社会の趨勢か。
四 ゴーン被告人は日本の有罪率が九十九パーセント以上であることをもって公正な裁判が行われていないとし、日本の司法制度は「北朝鮮並だ」などと誹謗中傷している。森まさこ法務大臣が述べたように「我が国の検察においては、無実の人が訴訟負担の不利益を被ることなどを避けるため、的確な証拠によって有罪判決が得られる高度の見込みのある場合に初めて起訴するという運用が定着している」ので有罪率が高いのは当然であり、ゴーン被告人の非難は当たらない。もっとも、平成三十年の検察統計統計表によると刑事事件の起訴率は三十二・八パーセントで、刑法犯に限ると、十九・五パーセントとされている。この起訴率には、起訴されるべき人物が起訴されていないという懸念もあるかと考えるが、政府として如何。

 右質問する。

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