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令和二年六月一日提出
質問第二一九号

国民生活基礎調査の中止決定に関する質問主意書

提出者  阿部知子




国民生活基礎調査の中止決定に関する質問主意書


 厚生労働省は三月三十日に「二〇二〇(令和二)年国民生活基礎調査の中止について」をホームページで公表した。
 中止の理由として、「国民生活基礎調査は保健所職員が統計調査員の指揮監督や対象世帯からの問い合わせ対応等を実施」しているが、「保健所では、新型コロナウイルス感染症対策が最優先」であり、また、「統計調査員と対象世帯の方との長時間の接触は好ましくない」、かつ、「結果精度の確保等の観点から、郵送調査への変更や時期の延期は困難な状況であること」とされている。
 また、同調査は三年ごとに大規模調査があり、二〇二〇年は簡易調査の年であることも理由とされている。しかし、「国民生活基礎調査」の目的は、「保健、医療、福祉、年金、所得等国民生活の基礎的事項を調査し、厚生労働行政の企画及び運営に必要な基礎資料を得るとともに、各種調査の調査客体を抽出するための親標本を設定すること」とされている。
 関連して以下質問する。

一 国民生活基礎調査は前述したように「厚生労働行政の基礎資料」と位置付けられている。そもそも基礎的な統計資料の重大性をどのように認識しているのか。
二 折しも全世代型社会保障検討会議など、社会保障全般の議論のさなか、今国会でも年金制度関連法や介護保険関連法改正案を上程し、介護保険事業計画も本年度中に策定という状況にある。こうした中で、議論の根拠資料を得るための基本調査を「中止」するという判断に至った経過を示されたい。
三 中止の理由として、「保健所では、新型コロナウイルス感染症対策が最優先」とされている。しかし、社会保障統計年報によれば、全国の保健所設置数は一九九二年の八百五十二か所から二〇一九年には四百七十二か所へと半数以下に減っている。職員数も同様に一九九二年の三万四千四百六十三人から二〇一七年には二万七千九百二人に減らされ、公衆衛生の専門医師の不在、保健師の欠員や兼務の多さなど、その著しい機能低下が諸方面から指摘されている。
 保健所業務のひっ迫を招いた原因の一つは、この数十年、「行政の効率化」の中でその数と機能を大幅に削減してきたことにあるのではないか。政府としてどのように受け止め、改善を図るのか。
四 公衆衛生を担う保健所の機能低下という実態を招きながら、緊急事態が発生したことを理由として、平常業務としての国民生活基礎調査を中止することは、行政側の一方的な都合であり、国民の理解を得られないのではないか。
五 今後想定される第二波、第三波による緊急時に、保健所の機能を十分に果たすためには、日常からの人的・物的体制整備が不可欠である。地域の公衆衛生を支える公的機関として、新生児指導や高齢者の健康増進などの保健活動を担う医師や保健師の確保を急ぎ、保健所機能の強化を図るべきと考えるがどうか。
六 消費者物価指数のもとになる、総務省「小売物価統計調査」は調査員による対面調査から一部を電話調査に変更して実施される。また、同省「労働力調査」「家計調査」では、郵送を可とした。
 現在、厚生労働省が科研費補助金事業や委託調査事業等で調査・研究を委託している機関は相当数あると認識している。基礎的な統計資料に空白を作ってはならない。初めから中止ありきではなく、保健所に替わる調査機関を選定することは十分可能と考えるがどうか。

 右質問する。

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