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令和二年六月五日提出
質問第二三四号

国立大学の授業料に関する質問主意書

提出者  櫻井 周




国立大学の授業料に関する質問主意書


 大学等における修学の支援に関する法律が、本年令和二年四月一日より施行されている。
 政府はこれにより、「真に支援が必要な低所得者世帯の者に対し、社会で自立し、及び活躍することができる豊かな人間性を備えた創造的な人材を育成するために必要な質の高い教育を実施する大学等における修学の支援を行い、その就学に係る経済的負担を軽減することにより、子どもを安心して生み、育てることができる環境の整備を図り、もって我が国における急速な少子化の進展への対処に寄与する。」としている。
 しかしながら、今般の法改正により、これまでは授業料減免を受けることのできた中間所得層の一部の世帯が対象から外れることとなった。高等教育の無償化は、世帯の所得を制限せずに進められることが理想と考え、以下、質問する。

一 国立大学の授業料は、平成二年度には三十三万九千六百円であったものが、令和二年度には、年間標準額が五十三万五千八百円となった。加えて、値上げは二割増まで認められており、六十四万二千九百六十円とする大学もある。この約三十年間で大学の授業料は約一・六倍〜一・九倍になっている。一方で、児童のいる世帯の所得の平均はほぼ横ばい、全世帯の平均所得は約一割減である。世帯の所得の推移をみても、中間層の所得が減っている中で、大学の授業料の負担が重くのしかかっていると考えられる。今後、中間所得世帯に対する修学支援も拡大すべきと考えるが、政府の見解如何。
二 平成十六年に、国立大学が法人化され、その後、運営費交付金等の予算額は年ごとに削減されている。
 また、平成二十七年六月の財務省の財政制度等審議会による「財政健全化計画等に関する建議」では、「国からの財源措置は厳しい財政事情の中で十分に手厚く行われていると見るべきである。大学間・大学内における大胆な再編・統合や、収入源の多様化、具体的には、研究収入の積極的獲得、授業料引上げの積極的検討」などが求められた。大学の法人化により運営の自由度が高まることは歓迎すべきことではあるが、国立大学の基盤的な教育経費は安定的な運営費交付金で保証されるべきであり、運営費交付金の「評価に基づく配分」の仕組みが大学経営を不安定化させ、減額になった場合、その部分を授業料の値上げにかえていては、ますます中間層の教育費負担は増え、進学をあきらめざるを得ない層が出てくるのではないかと考えられる。
 国立大学の授業料などの標準額については、平成十七年の国立大学法人法改正案に対する参議院文教科学委員会での附帯決議で、「授業料等の標準額については、経済状況によって学生の進学機会を奪うことにならないよう、適正な金額・水準とするとともに、標準額の決定に際しては、各国立大学法人の意見にも配慮するよう努めること」などを求めている。本附帯決議の趣旨は守られるべきであり、授業料の値上げの方向性は、大学での学びへのアクセスの機会均等に反することになると考えるが、政府の見解如何。
三 我が国は、「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」で、高等教育の無償化を漸進的に進める義務を負っており、すべての学生が希望する大学を選べる機会を提供し、所得制限のない高等教育の無償化を実現すべきと考えるが、政府の見解如何。

 右質問する。

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