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令和二年六月十二日提出
質問第二五九号

公職選挙法第二百五十九条の二で地方公共団体の長に任期の起算の特例を規定した立法趣旨を逸脱する事例に関する質問主意書

提出者  櫻井 周




公職選挙法第二百五十九条の二で地方公共団体の長に任期の起算の特例を規定した立法趣旨を逸脱する事例に関する質問主意書


 公職選挙法第二百五十九条の二では「地方公共団体の長の職の退職を申し出た者が当該退職の申立てがあつたことにより告示された地方公共団体の長の選挙において当選人となつたときは、その者の任期については、当該退職の申立て及び当該退職の申立てがあつたことにより告示された選挙がなかつたものとみなして前条の規定を適用する」と規定している。
 これは、昭和二十六年四月の第二回統一地方選挙から昭和三十年四月の第三回統一地方選挙までの間に全国四十六都道府県の知事のうち実に十七人の知事が任期途中で辞職し、その直後の知事選挙に立候補した。このほとんどが任期満了を前倒しで選挙をやれば自分に有利との判断で辞職と選挙を行った。これについて、総務省の前身である自治庁は、昭和二十九年十月十九日の朝日新聞で「知事という有利な立場を更に有利にするため、抜き打ち的な選挙を行えば、それは選挙の公正を害することとなり、ひいては住民の真の意思が選挙の結果にあらわれてこないことにならないか」と述べて痛烈に批判した。
 こうした状況を受けて、昭和三十一年の法改正で、途中辞職後の選挙の立候補は禁止となった。しかし、これでは被選挙権の制限が厳し過ぎるとの意見があり、昭和三十七年にさらに法改正され、辞職した首長が立候補することは可能としたものの当選しても任期は自らの残存任期とするよう緩和されて現在の規定となった。
 ところが、昨年三月、大阪府知事と大阪市長が申し合わせて辞職し、前大阪府知事が大阪市長選挙に立候補し、前大阪市長が大阪府知事選挙に立候補するといういわゆる「大阪ダブルクロス選挙」を行った。これは、抜き打ち的な選挙を行うことで、知事及び政令市長という有利な立場を更に有利にすることができることとなる。すなわち、それは選挙の公正を害することとなり、ひいては住民の真の意思が選挙の結果にあらわれてこないことになりかねない。
 この問題については、平成三十一年四月二十三日の衆議院本会議と令和二年六月一日の政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会において谷田川議員が質問として取り上げているが、十分な答弁が得られていないので、改めて、以下質問する。

一 「首長という有利な立場を更に有利にするため、抜き打ち的な選挙を行えば、それは選挙の公正を害することとなり、ひいては住民の真の意思が選挙の結果にあらわれてこない」との昭和二十六年の自治庁の見解を政府は踏襲しているか。
二 二つの地方公共団体の長が共謀して辞職し、入れ替わってそれぞれ選挙に立候補すれば、対立候補の準備が整う前に選挙を迎えることができ、有利に選挙戦を進めることができる。このことは、公職選挙法第二百五十九条の二を設けた立法趣旨に反すると考えるが、政府の見解如何。
三 地方公共団体の長は、予算の編成権及び施行権(地方自治法第百四十九条)や職員の人事権など強大な権限を有することから、選挙に公正を期すことは極めて重要と考えるところ、抜き打ち的な選挙で地方公共団体の長が自らまたは自らの後継者を有利にするために辞職することについて歯止めを設けるべきと考えるが、政府の見解如何。

 右質問する。

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