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令和二年九月十六日提出
質問第二一号

ダイヤモンド・プリンセス号乗客の搬送及び入院費用が半年以上も支払われていない問題に関する質問主意書

提出者  早稲田夕季




ダイヤモンド・プリンセス号乗客の搬送及び入院費用が半年以上も支払われていない問題に関する質問主意書


 二月に横浜港に接岸したクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号から新型コロナウイルスの陽性者等を命がけで搬送した民間救急事業者や、受け入れた医療機関に対し、その費用が半年以上も支払われていない問題について、早期の支払いを実現するとともに、長期未払の再発防止を提言する立場から、以下質問する。

一 民間救急事業者への未払額は、これまでの私の問合せにより九月三日現在で検疫分が七事業者千七百万円、いわゆる感染症法分が八事業者三千二百万円とあきらかになったが、小規模な個人事業主が多い個々の民間救急事業者にとっては大変大きな未収金額であり、コロナ禍で経営危機に瀕している医療機関にとっても同様である。搬送先の医療機関に対する国及び横浜市の未払額は総額でいくらに達しているのか。検疫や横浜市との協議はどこまで進んでいて、いつ全額支払いを終える予定か。国として承知しているところをあきらかにされたい。
二 九月中にダイヤモンド・プリンセス号に係るすべての民間救急事業者と医療機関に支払いを終えられるよう、国として最大限の努力をするべきではないか。また国や都道府県等の事情により、事業者の責によらず支払請求ができなかった以上、政府契約の支払遅延防止等に関する法律に基づく支払請求を受けた日ではなく、搬送等の給付を実際に行った日からカウントした遅延利息が支払われるべきではないか。
三 搬送と医療費以外に、ダイヤモンド・プリンセス号での新型コロナウイルスの陽性者発生対応に関し、国や都道府県等が発注した民間事業者に対する未払いは他にはないと理解してよいか。国として承知しているところをあきらかにされたい。
四 クルーズ船誘致は国策と承知しているが、今後新型コロナウイルスやそれ以外の感染症の大規模クラスターがクルーズ船で発生することは十分に考えられるが、その事態に対する寄港地の都道府県等の備えは不十分なのではないか。横浜市でさえ感染症法上の責務を果たすことができなかったのに、全国の寄港地のより小規模な都道府県等が対応できるとは思えない。今回ダイヤモンド・プリンセス号の感染者は横浜市内での発生数にカウントされていないが、全国の空港や港湾での入国時の検疫で陽性と判断された者についても、同様に自らの発生数とカウントされない都道府県等は、感染症法に基づく入院勧告と搬送の責務を担っているのか。
五 今回、国際保健規則第四十条に基づく超法規的措置として、持病を持つ高齢者など感染すると重症化リスクの高い乗客を、検疫が終わっていない段階で下船させ医療機関に搬送し、そのリスト作成が現場の混乱によりできず、感染症法に基づく入院勧告対象者との仕分けに時間がかかったことも長期未払いの一因と承知している。検疫途中での超法規的判断による搬送と、感染症法に基づく入院勧告による搬送を、国と都道府県等という異なる主体が判断し実行するためには、大混乱の緊急事態下に両者間で緻密な情報共有がリアルタイムで必要となってしまい現実的ではないのではないか。したがって、検疫途中で超法規的判断による搬送を必要とするような場合や、当該都道府県等が災害等で機能できない、あるいは事案が大規模すぎて当該都道府県等の能力を超えるような場合に限り、都道府県等に代わって国が入院勧告を行うことができる特例規定を感染症法に追加することなどの法制上の措置をあらかじめ検討すべきではないか。
六 私の指摘であかるみに出た神奈川県や東京都による今回の事案における代行の実態を国として把握し、その費用負担問題を主体的に解決するべきではないか。
七 今回のようにやむを得ず国と自治体の間で費用負担の調整に時間がかかるような場合は、いわゆる予決令や支出官事務規定の改定や現行の運用を変更するなどして、国が一括して民間に仮払いできるしくみを検討すべきではないか。
八 今回、混乱の極みにあっても、横浜市も神奈川県も、東京都も自らが発注した民間救急事業者に対しては、民間に迷惑をかけないよう、四月中にはその費用をとりあえず支払い済みであることがわかった。感染症法に基づく費用の分担は、後日に行政間、部局間で調整することとし、横浜市や神奈川県、東京都のように、厚生労働省として発注した分は、とりあえず厚生労働省がすみやかに民間に支払いを済ませる方策を検討すべきではないか。
九 大規模な水害が予見される際の避難行動要支援者の広域避難等においても、個別避難計画に基づく近隣住民の共助や消防庁、自治体さらには自衛隊による公的な搬送を補完するものとして、民間救急事業者の活躍が期待されるが、現状消防庁が「患者等搬送事業者」として認定し監査を行っているだけで、民間救急事業者の育成、支援策がいずれの府省庁にも存在しない。防災政策の一環として、内閣府防災担当や総務省、消防庁、国土交通省等が連携して、民間救急事業者の育成、支援にもっと積極的にとりくむべきではないか。

 右質問する。

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