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令和三年三月三日提出
質問第六四号

新型コロナウイルス感染症治療薬の承認に関する質問主意書

提出者  松原 仁




新型コロナウイルス感染症治療薬の承認に関する質問主意書


 我が国の同盟国であるアメリカ合衆国(以下「米国」という)には、食品医薬品局(FDA)が、緊急時に未承認薬などの使用を許可したり、既承認薬の適応を拡大したりする緊急使用許可(Emergency Use Authorization:EUA)という迅速に承認を行う制度が設けられ、実際に実施されている。
 日本にも、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下、「同法」という)第十四条第五項、第二十三条の二の五第五項に基づく条件付き承認制度や同法第十四条の三に基づく特例承認制度など通常の承認制度と異なる承認制度がある。
 もっとも、米国では、新型コロナウイルス感染症関連でEUAを受けた医薬品が十を超えているところ、日本では、特例承認が二件だけである。
 薬事行政において、国民の健康安全を最優先で考えるべきことは当然である。しかし、薬事行政における国民の健康安全は、薬の安全性だけではなく、薬の有効性・有用性による病気の予防治療による生命健康の確保による安全がある。平時に行われる製薬承認の場合であれば、これらの安全性及び有効性・有用性がともに十分に検証されるべきであることは当然である。
 しかし、パンデミック宣言が終了宣言されることなく長期化している新型コロナウイルス感染症のようなまさに緊急事態の場合には、安全性及び有効性・有用性について、検証の精度を犠牲にしてでも、新薬を流通させるべき事態も想起せざるを得ない。
 そこで、次のとおり質問する。

一 条件付き承認制度について
 1 新型コロナウイルス感染症治療薬に関しては、同法第十四条第五項、第二十三条の二の五第五項に基づく条件付き承認制度の対象となっているが、現状、条件付き承認制度に基づく新型コロナウイルス感染症治療薬の申請は何件あるか。
 2 条件付き承認制度に基づく申請から承認までの平均期間は一般にどの程度か。
 3 条件付き承認制度に基づいて承認される場合、製造販売後に当該医薬品の有効性、安全性の再確認等のために必要な調査等の実施が条件とされるが、当該調査等により承認が取消若しくは撤回された例はあるか。
二 特例承認について
 1 同法第十四条の三に基づく特例承認を受けた医薬品は、ファイザー株式会社によるコロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS−CoV−2)で四例目であるが、新型コロナウイルス感染症に関するものは二件に過ぎず、同感染症パンデミックのような非常事態に適応できる制度となっていないのではないかと考えるが政府として如何。
 2 特例承認の要件としては、@「国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病のまん延その他の健康被害の拡大を防止するため緊急に使用されることが必要な医薬品であり、かつ、当該医薬品の使用以外に適当な方法がないこと」とA「その用途に関し、外国において、販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列することが認められている医薬品であること」が規定されている。要件@については、求められるべきは当然だが、Aについては、今回の同感染症パンデミックのような世界で同時進行的に感染拡大が進んでいる場合、日本は他国に遅れるのみで、有用な治療薬を治療の現場で使いにくいという状況を生じさせることになり妥当ではない。政府は、Aの要件を、特例承認が申請されている未承認薬を使用することによる国民の生命身体を保護する利点が、当該未承認薬の潜在的な危険を上回ると判断できる場合というような要件への変更を検討すべきと考えるが如何。
三 薬事行政の透明化について
 「薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会」の審議内容は、企業の知的財産等が開示され、特定の者に不当な利益もしくは不利益を与えるおそれがあるとして非公開とされる場合があるが、開示が不適当とされる箇所は理由を付して黒塗りとし、原則公開すべきと考えるが、政府として如何。

 右質問する。

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