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令和三年六月二日提出
質問第一五七号

東京オリンピック・パラリンピック競技大会実施における新型コロナウイルス感染症新変異株発生の懸念に関する再質問主意書

提出者  松原 仁




東京オリンピック・パラリンピック競技大会実施における新型コロナウイルス感染症新変異株発生の懸念に関する再質問主意書


 世界保健機関(WHO)が、新型コロナウイルス感染症(SARS−CoV−2)について、令和二年三月十一日にパンデミック(世界的大流行)に該当すると宣言してから一年を経過し、同感染症について、少しずつその特徴が明らかになってきた。その中で、最も懸念すべき特徴は、RNAウイルスに含まれる同感染症が、頻繁に変異を繰り返し、そのような変異株の中で、感染力が強いものが生存していく可能性が高いということである。それは、人間に脅威となりうる同感染症変異株ほど、感染が拡大する可能性があるということである。
 令和三年五月二十四日、アメリカ合衆国(以下「米国」という)国務省は、我が国に対する渡航に関し、四段階で設定した渡航レベルについて、最も厳しい「渡航の中止を求める勧告」へと引き上げた。東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催まで二か月を切る中で、米国のこの渡航レベルの最上限への引き上げは、同国が、いかに同感染症変異株に対して危機感を抱いているかを表している。
 同競技大会は、二百を超える国と地域から、合計約九万三千人の選手・大会関係者の来日を予定している。確かに、同感染症ワクチンの接種が進み、社会活動が正常化している国が数か国認められる。しかし、パンデミック状況が収束に向かう見込みが認められる状況にはまだなく、その他の多くの国は、まだ、同感染症に苦しめられている状況にある。このような国々では、日々、同感染症変異株が生まれているといえ、前記同感染症の特徴を考慮すれば、同競技大会開催により二百を超える国と地域から人を入国させることは、指数関数的に感染力がこれまで以上に高い「五輪変異株」と呼ぶべき同感染症変異株を発生させかねない危険性がある。米国は、このような「五輪変異株」が同感染症ワクチンに耐性を備えるものであった場合、米国に持ち込まれれば、それこそ、米国内の社会活動が正常化しつつある状況を一変させかねない危険があるため、我が国への渡航を中止するように米国民に指示したとも考えられる。日本にとって、最も重要な同盟国のこの決定に対して、本職は、政府として慎重に考慮すべきと考える。
 同競技大会でのメダル獲得を目指して日々厳しい鍛錬を重ねている選手のことを考え、できる限り開催すべきとの立場に変わりないが、冷静に現実を見つめた時、「五輪変異株」が発生した場合の国民の生命・健康に対する重大な危機及び同変異株の急激な感染拡大による経済への大打撃の可能性を考慮すれば、同競技大会の開催についても極めて慎重にならざるを得ない。このように、「五輪変異株」に対する危険は、具体的かつ現実的であり、予見可能といえる。このような危険に十分対応することなく、同競技大会を強行して、「五輪変異株」を世界中に広めれば、我が国と国民は国際社会から厳しい目を向けられ、回復不可能な損害を被りかねない。
 本職が令和三年四月十六日に提出した「東京オリンピック・パラリンピック競技大会実施における新型コロナウイルス感染症新変異株発生の懸念に関する質問主意書」に対する、令和三年四月二十七日「衆議院議員松原仁君提出東京オリンピック・パラリンピック競技大会実施における新型コロナウイルス感染症新変異株発生の懸念に関する質問に対する答弁書」(内閣衆質二〇四第一〇二号)における政府答弁には、残念ながら、同感染症変異株に対する具体的・現実的危険が認められる同競技大会を実施するにあたって、それに対する政府による具体策が全く見られなかった。
 そこで、次のとおり再質問する。

一 下野新聞社の報道によると、出国前の検査と空港検疫ではいずれも陰性だったネパールから帰国した男女三人が、新型コロナウイルス感染症(SARS−CoV−2)のインド型変異株(B.1.617系統)に感染していたと発表した。また、朝日新聞社の報道によると、外国からの入国者に求めている位置情報の報告などをめぐり、指示に従わない人が一日最大約三百人に上ることを、厚生労働省が明らかにしたという。さらに、時事通信社の報道によると、厚生労働省が新型コロナウイルスの感染状況が深刻なインドなどからの帰国者と、隔離期間中に連絡が取れなくなるケースが相次いでいたことを明らかにしたという。このような現状を踏まえて、同競技大会に関連して、入国する予定の合計約九万三千人の選手・大会関係者に対して、出入国を管理する政府として、具体的に同感染症感染者の入国にどのように対応していくか明らかにされたい。また、二百を超える国と地域からの入国者に対して、個々の国と地域の選手・大会関係者が相互に接触する機会を、どのように制限するかも明らかにされたい。
二 政府として、二百を超える国と地域から合計約九万三千人の選手・大会関係者が入国することによって、同感染症変異株が発生する確率をどのように試算しているか明らかにされたい。また、その前提条件も明らかにされたい。
三 同感染症インド型変異株に対する脅威が世界的に高まっている中で、同競技大会の実施がさらに脅威を高めかねない変異株を生み出す懸念が強く認められる中で、同競技大会を実施することによる経済効果など国家国民に対して見込まれる利益をどのように試算しているか明らかにされたい。

 右質問する。

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