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令和三年六月十一日提出
質問第二二五号

コロナ禍における入国管理に関する質問主意書

提出者  丸山穂高




コロナ禍における入国管理に関する質問主意書


 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、我が国への入国又は帰国に際して、検疫所への「出国前七十二時間以内の検査証明書」の提示、検疫所が確保する宿泊施設での待機・誓約書の提出、スマートフォンの携行、必要なアプリの登録・利用等が求められている。新型コロナウイルス感染拡大に対応するための水際対策としての入国者又は帰国者に対して講ずる措置の在り方について、以下質問する。

一 厚生労働省のウェブサイトには、「誓約書の誓約事項を実施するため、位置情報を提示するために必要なアプリ等を利用できるスマートフォンの所持が必要となります。検疫手続の際に、必要なアプリを利用できるスマートフォンの所持を確認できない方は、入国前に、空港内でスマートフォンをレンタルしていただくよう、お願いすることになります。」とある。
 1 これらの要請に応じない場合には、入国を拒否することが可能なのか。可能である場合には、その法的根拠及び実際に入国を拒否された者の人数及び入国者に占める入国を拒否された者の割合を示されたい。
 2 入国者又は帰国者のうち位置情報を提示するために必要なアプリ等を利用できるスマートフォンを所持していないため、スマートフォンをレンタルした者の人数又は入国者若しくは帰国者に占めるスマートフォンをレンタルした者の割合を政府は把握しているか。把握している場合には、その人数又は割合を示されたい。
 3 スマートフォンを所持することが検疫手続の際に確認できない者は、日本国籍を有している者であっても帰国することができないのか。帰国できない場合、これまでにスマートフォンを所持していなかったことを理由に帰国することができなかった者の人数及び帰国者に占める割合を示されたい。
二 厚生労働省のウェブサイトに掲載されている「日本へ入国・帰国した皆さまへ「十四日間の待機期間中」のルール」によれば、@位置情報確認アプリ(OEL)による位置情報の報告、Aメール・ウェブサイトによる健康状態の報告、Bビデオ通話アプリMySOS等による居所確認、Cスマートフォンの位置情報記録の保存設定、DCOCOA(接触確認アプリ)の利用が求められている。また、「正当な理由なく、健康状態や位置情報の報告を怠った場合など、誓約に違反した場合は、氏名(外国人の場合は氏名および国籍)や感染拡大の防止に資する情報が公表されることがあります。外国人の場合は出入国管理法に基づく在留資格取消手続きおよび退去強制手続きの対象となることがあります。」とされている。
 1 これらのアプリのインストール等を要請する法的根拠について、条文を含めて示されたい。
 2 前記@及びAの報告並びにBの健康状態の確認をしていない入国者及び帰国者の数を政府は把握しているか。把握している場合には、アプリの運用開始からこれまでの人数及び入国者又は帰国者の合計に占める当該報告や確認をしていない者の割合を示されたい。
 3 これまでに、誓約に違反したとして、氏名を公表された者は何人いるのか。また、在留資格取消手続及び退去強制手続の対象となった外国人は何人いるのか。
 4 東京オリンピック・パラリンピック競技大会における入国者については「オリンピック・パラリンピック観客等向けアプリ(仮称)」が開発・運用されると承知しているが、前記@からDまでのアプリ利用・設定等は、東京オリンピック・パラリンピック競技大会における入国者も行わなければならないのか。
三 厚生労働省ウェブサイト掲載の「過去十四日以内に、インド、スリランカ、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、モルディブ、アフガニスタンに滞在歴のある入国者の皆様へ」には、これらの国からの入国者に対して検疫所が確保する宿泊施設において十日間待機してもらう旨が記載されている。この措置は、インドにおいて変異した新型コロナウイルス、いわゆる「デルタ株」の対策として講じられたものと考えるがいわゆる「デルタ株」は既にこれらの国以外にも広がっている。
 1 「デルタ株」の感染者が確認された国からの入国者又は帰国者についても検疫所が確保する宿泊施設において十日間待機を求めるべきと考えるが、政府の見解を伺う。
 2 「アルファ」、「ベータ」、「ガンマ」、「デルタ」の各変異株の他にもベトナムにおいて確認された「アルファ株」と「デルタ株」両方の変異をもつ変異株などの警戒すべき変異株が広がっている国についてもいわゆる「デルタ株」対策と同様に十日間待機の措置を早急に講ずるべきではないか。
四 厚生労働省のウェブサイト「令和三年度厚生労働省所管予算案関係 令和三年度厚生労働省予算案の主要事項」に掲載されている「V 主要事項」には、令和二年度第三次補正予算に「検疫所及び国立感染症研究所の機能強化」として五百八十四億円が計上されており、「検疫における検査体制及び人員体制の確保など、水際対策の強化を進める。」ことが記されている。また、検疫体制強化として定員を百七十七人増加して千三百四十九人としたとの報道もある。これらの人員強化は、新型コロナウイルス感染症対策としての水際対策のためのものか。定員増は、期間が限定されているのか。
五 本年四月下旬、南アフリカの空港から日本に帰国しようとした会社員男性が「政府指定の書式ではない」ことを理由に検査証明書が無効であるとして航空会社職員から搭乗を拒否されたと読売新聞が報じている。また、こうした搭乗拒否の事例は少なくとも米国、中国、英国、イタリア、タイ、イスラエルで確認され、日本政府関係者が航空会社に搭乗を拒否された事例もあったと報じられている。
 1 検査証明書の書式について政府指定の書式でなくても記載すべき内容が示されていれば差し支えないことは事実か。現時点までに、日本国籍を有する者が帰国の際に提出した検査証明書が政府指定の書式とは異なることを理由に航空会社に搭乗拒否された事例を政府は承知しているか。承知している場合には、件数及び具体的な拒否の態様を示されたい。
 2 「日本のように証明書の書式まで指定されるのは世界的に珍しい」、「厚生労働省は書式を指定する理由について、「政府が求める検査方法の実施を確実にするため」と説明する。だが、例外も認めるとする日本側の複雑な対応は、各国の航空会社へ十分には周知されていない模様だ。」と報じられているが、政府は、検査証明書の書式を指定していること及び検査証明書に記載すべき内容が満たされていれば任意の書式でも差し支えないことを各国の航空会社へどのように周知しているのか。
六 関西空港で本年四月十九日にオランダから到着した日本人男性が複数の検体を混ぜて検査を受けていたことから書類や検査方法などに不備があるとしてオランダに送還されたことをNHKが報じている。また、成田空港でも本年四月十九日、アメリカから到着した女性が検体の採取から出国までに七十二時間以上が経っていたためにアメリカに送還されたことが報じられている。
 1 全国の空港で検査証明書の書式又は内容の不備を理由に帰国を許されなかった日本国籍を有する者の人数を明らかにされたい。
 2 NHKは「これまでは、書類や検査方法などに不備がある場合、検疫所が管理する宿泊施設で待機してもらうなどしていましたが、十九日から原則として入国を拒否しています。」と報じているが、本年四月十九日から日本国籍を有する者であっても検査証明書に不備がある場合には送還することとされているのか。日本国籍を有する者を送還する場合、その法律上の根拠はどのようなものか。
 3 市民的及び政治的権利に関する国際規約第十二条4は「何人も、自国に戻る権利を恣意的に奪われない。」としている。また、日本国憲法第二十二条は、居住、移転及び職業選択の自由を保障している。検査証明書の書式や内容に不備があるとしても帰国の際、検査を実施し、検疫所が管理する宿泊施設で待機してもらう等の方法により検疫法の目的を達成することは可能ではないか。検査証明書に不備があることを理由とする送還は、日本国籍を有する者の自国に戻る権利を過度に制約し、「公共の福祉」による制限としては重すぎるものではないかと考える。こうした措置が憲法第二十二条に反しないと考える解釈の根拠について、政府の見解を伺う。

 右質問する。

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