衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
令和三年十二月九日提出
質問第一一号

「SBS理論」に基づく「子ども虐待対応の手引き」の見直しを求めることに関する質問主意書

提出者  阿部知子




「SBS理論」に基づく「子ども虐待対応の手引き」の見直しを求めることに関する質問主意書


 乳幼児揺さぶられ症候群(SBS)が疑われた乳幼児に対する傷害事件の無罪判決が相次ぐ中、本年六月十一日に「『SBS理論』に基づく『子ども虐待対応の手引き』の見直しを求めることに関する質問主意書」を提出した。その答弁内容について、以下質問を行う。

一 答弁一について
 答弁書の第一節の「支援にあたっては子どもの治療を最優先する。さらに、子どもの状態が安定し、受傷にいたる経過の解明の中でSBSの疑いが強ければ、子どもの安全確保のために職権による保護を行う。」については、異議はない。
 しかし、長期にわたる親子分離は、政府も認知する「乳幼児の親子分離が親子関係の形成を阻害し、二次的な虐待の素地を作るというマイナス面」があり、国際連合や英米におけるこのような親子分離は、「短期間に、必要最小限に」という動きにも逆行している。
 「受傷の原因が特定できず虐待の可能性がある限りは、安全を第一に分離の判断をせざるを得ない」については、受傷原因が分からない医学的な現象は多々あり、「受傷の原因が特定できない」ことと、「虐待の可能性」はイコールではない。「安全」を代償に失われるものへの配慮が必要である。政府の見解を問う。
 また、第二節「医学的判定がきわめて重要な根拠」と政府は繰り返し発言しており、法医学の専門家や虐待に詳しい医師との連携強化を挙げているが、乳幼児頭部外傷(AHT)の専門家である脳神経外科医の医学的判定への参画も必要ではないか。政府の見解を問う。
二 答弁二について
 一時保護の期間について「子どもの安全の確保が図られ、かつ一時保護の目的が達成できる範囲で必要最小限とする」ことが強調されているが、国連や欧米では判定に要する期間は一週間前後とされている。前回の質問主意書で取りあげた「児童相談所における虐待による乳幼児頭部外傷(AHT)事案への対応に関する調査研究」報告書(以下報告書)では、乳幼児の半数以上が二カ月以上の一時保護であり、早い時期に措置入所された例も報告されているが、その実態は「一時」保護ではなく長期保護である。そもそも乳幼児にとって親との二カ月の分離は長すぎ、子どもの権利擁護の観点からも許されないと考えるが政府の見解を問う。
三 答弁三について
 一時保護の司法審査が議論され、来年の法改正が予定されていると聞く。前回答弁書では、「児童相談所における一時保護の手続等の在り方に関する検討会とりまとめ」において、「児童相談所から独立した第三者機関が、保護者、子ども、児童相談所からの申立てに基づき、これらの者の意見も聴取した上で、一時保護の手続に関与する仕組みを設けることも検討すべきとの指摘もあった」とのことであった。
 現段階では児童相談所長が家庭裁判所に保護状を請求するとされているが、保護者の意向はもちろん、子どもの意見表明権を保障する「子どもアドボカシー(権利擁護)」の仕組みや、当該親子の生活環境へのアセスメントを改めて行う等の制度設計がなければ、司法の判断が児童相談所の追認になりかねない。こうした点について政府の見解を問う。
四 答弁四、五について
 セカンドオピニオンについては、単独の科の医師の意見ではなく多面的な見方が必要であることから、複数の科の医師集団によるセカンドオピニオンによる回答が望ましいと考えるが、政府の見解を問う。
五 答弁六、七について
 報告書は、脳神経外科医の間では広く知られている中村一型の存在については触れられていない。
 「中村一型」が、AHTと間違えられやすいことに着目し、脳神経外科学会、日本法医学会、日本救急医学会、日本小児科学会等の協力を仰ぎ、改めて症例の見直しと検証作業を行うべきではないか。政府の見解を問う。

 右質問する。

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.