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令和四年六月十日提出
質問第一二八号

東京外かく環状道路大泉JCT発進シールドマシンの損傷並びに掘進停止に関する質問主意書

提出者  宮本 徹




東京外かく環状道路大泉JCT発進シールドマシンの損傷並びに掘進停止に関する質問主意書


 東京外かく環状道路(以下、外環道と呼ぶ)事業では大泉JCT(ジャンクション/東京都練馬区)から発進した本線トンネル(南行)のシールドマシンが止水を目的に設置していた仮設用の地中壁に接触し、カッタービットや攪拌翼が損傷する事故が起きた。損傷は本年四月七日に判明したとされ、現在、掘進は停止している。損傷の補修は、半年程度が見込まれるとする。
 この事故は、一昨年十月に東京都調布市内で外環道工事により地表の陥没事故等が発生したことを受け、国土交通省や東日本高速道路株式会社(以下、NEXCO東日本と呼ぶ)が「再発防止対策」や「地域の安全・安心を高める取り組み」を行うなどし、停止していたシールドマシンによる掘進を再開した直後に発生したものであり、事態は極めて重大である。
 そこで以下、政府の認識及び政府の把握するところについて質問する。

一 調布市内での陥没並びに空洞事故と、今般の大泉発進本線トンネル(南行)シールドマシンの損傷事故について、
 1 これらは想定外の事故であったとの認識か。
 2 外環道工事(関越自動車道〜東名高速間)において、想定外の事故及び諸事象は今後起きないと断言できるか。
二 地中の支障物にシールドマシンが接触し、トラブル並びに事故が発生した国内、国外での過去の事例について関係各省で把握している事例を全て列挙されたい。その際、事故発生年月日、事業並びに工事名称、発生場所、事例の概要を示されたい。
 また、これらの事例を踏まえ、地中の支障物に対して安全な施工を行う上で、重視するべき諸点の説明を求める。
三 外環道(関越自動車道〜東名高速間)のシールドトンネル工事の今後の掘進ルートに支障物はないと言えるか。仮に言えるならば、根拠を明示されたい。
四 今般のシールドマシンの損傷では、地上から開削して補修にあたるとする。仮に、住宅地で同様な事故が生じた場合は、いかなる対応をするのか。地上から開削するのか。
五 掘進ルートに支障物がある場合、シールドマシンが通過する際に支障物を未然に察知し、掘進を停止する等の技術について、
 1 このような技術が仮に確立しているとするならば、いかなる技術か。また仮に、このような技術が確立していないのであれば、支障物があった場合どのように察知するのか、又は察知が不可能であるのか。
 2 仮に察知ができない場合、シールドマシンが支障物と接触した直後に異常を感知する技術は確立しているのか。仮に、確立しているとすれば、いかなる技術なのか詳細に説明されたい。また、そのような技術は大泉発進本線トンネル(南行)シールドマシンに搭載していたのか。仮に搭載していなかったならば、その理由は何か。
六 大泉発進本線トンネル(南行)シールドマシンの損傷は仮設用の地中壁の図面を作成する過程で、CAD(コンピューター上での製図)操作上のミスが原因で図面の中心が下方に約九十センチメートル並びに水平方向に約十センチメートルずれていたこと、作成した図面について確認が不足し間違いに気付くことができなかったこと、そして、ずれが発見されないまま掘進が行われたこと等が原因とされている。図面の作成業務である「H26外環大泉JCT地区構造物設計業務」は国土交通省東京外かく環状国道事務所が発注し、パシフィックコンサルタンツ(株)が受注したものである。このことに関して、
 1 作成された図面が指示並びに発注どおりのものであるか否か、発注者(国土交通省東京外かく環状国道事務所)は、精確に確認したのか。仮に精確に確認しなかったならば、理由を詳細に明らかにされたい。
 2 CADとはいかなる技術か。その概要と技術内容並びにアプリケーションの名称を示されたい。また、この技術並びにアプリケーションは、設計上のトンネルの中心位置と作成した図面の中心がずれていた場合、警告が発せられるような仕様ではなかったのか。念のため訊くが、このような仕様はそもそも困難なことなのか。
 3 図面の作成は、受注者であるパシフィックコンサルタンツが行ったものか、又は下請事業者等が行ったものか。
七 土木学会の「トンネル標準示方書[シールド工法編]・同解説」は、「4・11地中支障物対策」の項で「施工段階においても」「状況に応じた事前調査を行うことが望ましい」としている。今般のシールドマシンの損傷事故では施工段階で有効な事前調査が行われていたと考えているのか。
 なお、土木学会の「トンネル標準示方書[シールド工法編]・同解説」は国土交通省の「シールドトンネル施工技術検討会」が昨年十二月に公表した「シールドトンネル工事の安全・安心な施工に関するガイドライン」において、「ガイドラインに記載のない事項は「土木学会トンネル標準示方書[シールド工法編]・同解説」(以下、示方書という)等の技術図書を参照されたい。」としている文献である。
八 損傷が起きた大泉発進本線トンネル(南行)シールドマシンの掘進の際の施工データの計測並びに監視について、
 1 計測並びに監視している施工データの種類や名称、項目を全て示されたい。
 2 損傷が起きた際に各種施工データに異常はなかったのか。仮に有る場合は、詳細を明らかにされたい。
九 国土交通省東京外かく環状国道事務所並びにNEXCO東日本関東支社東京外環工事事務所等による住民説明会(本年一月二十三日〜二月一日実施)の資料「大泉側シールドトンネル工事の『再発防止対策』および『今後の対応』などに関するご説明」によると、「シールド工事の掘進状況、モニタリング情報の提供」として「施工データについて、東京外環トンネル施工等検討委員会において確認後適切に公表していく」としている。さる六月三日、「『再発防止対策及び地域の安全・安心を高める取り組み』を踏まえた工事の状況等」を「議事」として「第24回東京外環トンネル施工等検討委員会」が開催されたが、今般のシールドマシンの損傷並びに掘進停止を主題とするものではなく、資料内で公開された施工データも今般の損傷について国民が検証等を行う上できわめて不十分なものである。これに関して、
 1 シールドマシンが損傷する直前から損傷後までの各種施工データを示し、説明されたい。
 2 シールドマシンが損傷する直前から損傷後までの施工データは、ホームページへの掲載など国民が簡易に見ることができる方法により、すみやかに公表すべきではないか。
十 シールドマシンが地中壁を切削したのは本年三月三十日及び三十一日であり、損傷が判明したのは四月七日、そのことを国土交通省並びにNEXCO東日本が公表したのは同月十二日である。同月二十八日には「原因と補修の状況等について」新たな公表が行われた。これに関して、
 1 三月三十日から四月二十八日までの国土交通省並びにNEXCO東日本の損傷事故に関する対応の経過を詳しく説明されたい。
 2 損傷の判明から公表まで五日を要した理由を詳細に説明されたい。また、損傷が生じたことをすみやかに公表し、周辺住民にも知らせるべきではないか、見解を求める。
十一 シールドマシンの損傷並びに掘進停止により追加的経費の発生が見込まれる。現時点における概ねの金額を明らかにされたい。また、この追加的費用を負担する者を明らかにされたい。
十二 今般のシールドマシンの損傷並びに掘進停止は、一昨年の調布市内での陥没並びに空洞事故の後停止していたシールドトンネル工事を、「再発防止対策」や「地域の安全・安心を高める取り組み」を実行する等として、計画地沿線で住民説明会を開催した上で、工事を再開した直後に発生したものである。損傷個所の補修のために事業用地内とはいえ地上からの開削工事が行われる。私は、沿線住民にとり看過できない問題であると率直に指摘する。今般のシールドマシンの損傷並びに掘進停止について、沿線住民への説明会をすみやかに開催すべきではないか、見解を求める。
十三 外環道のBバイCは、一以下が確実になるのではないか、説明を求める。外環道建設は中止を念頭に、根本的に見直すべきであるが、見解はいかがか。

 右質問する。

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