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令和五年六月十三日提出
質問第九六号

介護職員処遇改善加算に関する質問主意書

提出者  大石あきこ




介護職員処遇改善加算に関する質問主意書


 二〇二二年十月開始の介護職員等のベースアップ等加算は、二〇二二年二月から九月までの介護職員処遇改善支援補助金による賃上げ効果を継続する目的とされている。同支援補助金は、二〇二一年十一月十九日閣議決定の「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」において、「新しい資本主義」を起動し、公的部門における分配機能の強化するものと位置づけられ、「新型コロナウイルス感染症への対応と少子高齢化への対応が重なる最前線において働く介護職員の処遇の改善」を目的とし、月額九千円相当を引き上げるために措置された。
 しかし、この処遇改善のほとんどは、実質的には、最低額の引き上げ分に吸収されており、他産業と比べて介護職員の賃金水準の改善となっているとは言えない。
 一日八時間月二十日勤務の介護職員が、ベースアップ等加算により月九千円の賃上げが行われたケースで、加算条件として三分の二以上は基本給又は決まって毎月支払われる手当の引き上げに充てることとされており、少なくとも月六千円は基本給又は決まって支払われる手当の引き上げとなる。時給換算すると、三十七・五円となる。
 大阪府では、二〇二二年十月一日に、最低賃金額九百九十二円から三十一円引き上げ、千二十三円に引き上げられた。「最低賃金」とは「賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保障する」(最低賃金法第一条)性格のものであるが、その最低賃金の引き上げに、加算によるベースアップ分が使われることになる。
 「平成三十年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.6)(平成三十年八月六日)」問7で、「加算額が、臨時に支払われる賃金や賞与等として支払われておらず、予定し得る通常の賃金として、毎月労働者に支払われているような場合には、最低賃金額と比較する賃金に含めることとなるが、当該加算の目的等を踏まえ、最低賃金を満たした上で、賃金の引上げを行っていただくことが望ましい。」と示している。
 そこで、以下、大阪府内の事例を踏まえ質問する。

一 「平成三十年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.6)(平成三十年八月六日)」問7のとおり、最低賃金が引き上げられた場合、最低賃金を満たした上で、介護職員処遇改善加算等(介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算、介護職員等ベースアップ等支援加算)による賃金改善が行われることが望ましい(大阪府の場合は最低賃金千二十三円を満たした上で、この加算による賃金改善を行うことが望ましい)か。
二 大阪市内のA法人では、パート職員の時給は千七十円だが、もともとの基本給は八百六十円で、二百十円が介護職員処遇改善加算による賃金改善との説明がされている。最低賃金との差額は四十七円であり、加算による賃金改善がされていなければ、最低賃金を下回る状態であるが、この事例は「望ましくない」か。
三 「加算の目的等を踏まえ、最低賃金を満たした上で、賃金の引上げを行っていただくことが望ましい」のであれば、加算による賃金引上げとは別に、最低賃金を満たすための別の支援金など対策が必要ではないか。
四 大阪市内のB法人の二〇二三年度の処遇改善計画書では、二〇二二年の最低賃金の引き上げに対応する独自の賃金改善は行われる予定となっていない。正規職員はベースアップ等支援加算で六千円と、二〇二二年度と同額である。つまり、時給換算すれば、最低賃金の上昇分程度の三十七・五円しか賃金改善がされていない。この賃金改善で、介護職員等ベースアップ等支援加算等の目的(「新型コロナウイルス感染症への対応と少子高齢化への対応が重なる最前線において働く介護職員の処遇の改善」)を実現していると言えるのか。
五 介護従事者の不足が深刻な問題になっているが、介護分野の職員の賃金水準は、全産業平均と比べて低い水準にとどまっている(コロナ前の二〇一九年で約八・五万円、二〇二二年でも約六・八万円低い。出典:賃金構造基本統計調査)。政府として、介護分野の職員の賃金水準を全産業平均以上とすることは必要と考えるか。
六 短時間・有期雇用労働法第八条は、通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との間の不合理と認められる待遇の相違を設けることを禁止している。上記四のB法人では、正職員、有期契約職員(フルタイムの非正規職員)、パートタイム職員のうちパートタイム職員のみベースアップ等支援加算による毎月支払われる処遇改善手当が払われていないが、合理的な理由は示されていない。加算の目的を鑑みて、雇用形態にかかわらず、一定のベースアップ等が図られるべきではないか。介護職員処遇改善加算のキャリアパス要件Vの「経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み」については、非常勤を除外できないとされていることとも対比してどうか。

 右質問する。

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