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令和五年十一月九日提出
質問第二三号

有明海及び八代海等を再生するための特別措置に関する法律第二十二条第一項の発動等に関する質問主意書

提出者  原口一博




有明海及び八代海等を再生するための特別措置に関する法律第二十二条第一項の発動等に関する質問主意書


 令和五年四月六日に提出した第二百十一回国会の質問主意書第四九号において、有明海等の再生対策における海域環境の調査に関連して、「有明海の再生を願う皆様へ」(令和五年三月二日農林水産大臣談話。以下「農林水産大臣談話」という。)の中で有明海の水産資源の回復の兆しが見られる旨の発言に至った根拠等について質問を行った。また、同月十日の衆議院決算行政監視委員会において、有明海でのノリ養殖の不作について、「有明海及び八代海等を再生するための特別措置に関する法律」(平成十四年法律第百二十号。以下「有明特措法」という。)第二十二条第一項に基づく損失の補填を行う必要性等について質疑を行った。
 これらに対する政府の答弁等を踏まえ、以下、質問する。

一 佐賀県議会が令和五年三月十日付けで内閣総理大臣、農林水産大臣等に提出した「有明海再生に係る諸問題について解決を図るよう求める意見書」(以下「佐賀県議会意見書」という。)においては、「タイラギについても十一年目の休漁となり、他の二枚貝も採れない状況が続いており、有明海再生に至っていない」とされている。
 一方、農林水産大臣談話において有明海の水産資源の回復の兆しが見られる旨の発言に至った根拠等について、政府は、令和四年十二月七日付けの有明海再生会議から農林水産大臣宛ての「有明海・八代海の再生事業にかかる要望書」における有明海の一部の漁場ではアサリ、タイラギ等の二枚貝類に回復の兆しが見られる旨の漁業者からの声を踏まえたものと答弁している。また、具体的に、アサリについては、農林水産省が有明海沿岸各県に委託して実施した調査の結果において令和四年度秋季の浮遊幼生は対前年度比で二倍以上となり、タイラギについては、九州農政局が公表している「有明海再生の取組(令和四年六月)」において令和三年度は前年度の約二・六倍の着底稚貝を生産したと答弁している。
 アサリ、タイラギ等で漁業者の経営が成り立つためには、幼生や稚貝が成貝に育ち、一定の漁獲、販売ができるようになる必要がある。このような二枚貝類の成長等に係る今後の見通しについて、具体的な根拠を基に明らかにされたい。
二 有明特措法は、国民的資産である有明海及び八代海等を豊かな海として再生することを目的として、平成十四年十一月、議員立法により制定されたものである。また、同法第二十二条は「赤潮等による漁業被害者の救済」について規定しており、制定当時は「漁業者の救済について必要な措置を講ずるよう配慮する」と規定されていた。その後、平成二十二年度の大規模な赤潮被害等が地域経済に大きな打撃を与えたこと等を踏まえて、有明海及び八代海等の再生対策の一層の充実強化を図るため、平成二十三年八月、議員立法により有明特措法改正法が成立し、第二十二条についても規定の充実が図られた。このような経緯を経て、現行法第二十二条第一項は、「国は、有明海及び八代海等の海域において赤潮等により著しい漁業被害が発生した場合においては、当該漁業被害を受けた漁業者の救済について、当該漁業被害に係る損失の補填その他必要な措置を講ずるよう努めなければならない」と規定している。
 また、佐賀県議会意見書においては、「近年、有明海佐賀県海域では赤潮の発生が相次ぎ、海苔の色落ち被害や生産枚数の減少などにより漁業者の経営状況は逼迫している」とされている。
 このような状況等を踏まえて、令和五年四月十日の衆議院決算行政監視委員会において、有明特措法第二十二条に係る政府の認識等について質疑を行ったところ、当時の野中農林水産副大臣は、同条に規定する「著しい漁業被害」について、「被害が複数県に及ぶなど広域的かつ被害額が甚大であるものと認識」しており、今季の有明海のノリ被害に対しては「有明特措法二十二条を発動する状況には至らなかった」と答弁している。
 1 このように、政府が有明特措法第二十二条を発動する前提として「被害が複数県に及ぶなど広域的かつ被害額が甚大である」場合という条件付けをしている理由及び経緯について、運用細則等の有無も含めて明らかにされたい。
 2 これに関連して、今季の佐賀県産ノリの記録的な大不作に対して有明特措法に基づく国による救済がないことについて、佐賀県知事は、令和五年四月二十一日の定例記者会見において、「国のほうにしてみると、このノリの生産金額が全体として、四県で考えると過去五年平均と比べると八割を超えているということで特措法の適用を見送ったと聞いております。特措法というのは、国は広域的かつ被害額が甚大なものという条件ということでありますので、そういった意味からすると、ここはハードルが高かった」と述べている。この発言について、国から佐賀県に伝えた具体的な内容を明らかにされたい。また、佐賀県知事の発言では「四県で五年平均の八割超」という数字が示されているが、政府として「被害が複数県に及ぶなど広域的かつ被害額が甚大である」と判断する際の基準となっている具体的な数字、金額及び根拠等についても明らかにされたい。
 3 現在の政府による同条の運用方針は、議員立法により成立・改正されてきた有明特措法の立法者意思に沿ったものとなっているか疑問である。また、農林水産大臣談話では、「国民的資産である有明海を豊かな海として再生させるとともに、未来の成長へとつなげるため、全力を挙げてまいります」と述べている。この発言を実現するためには、有明特措法第二十二条の運用方針を見直し、赤潮被害等に苦しむ漁業者の損失の補填等のため積極的に発動していく必要があり、それをしないのは同条で課された努力義務に違反するものであると考えるが、政府の見解を示されたい。

 右質問する。

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