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令和五年十一月十日提出
質問第三七号

インボイス制度開始後の消費者が負担するより大きい消費税の徴収額に関する質問主意書

提出者  吉田はるみ




インボイス制度開始後の消費者が負担するより大きい消費税の徴収額に関する質問主意書


 本年十月一日より、消費税につき適格請求書等保存方式(以下、インボイス制度という)が開始されたが、このインボイス制度開始後について、次の例を踏まえ、二点を質問する。
 国税庁発行の「消費税のあらまし(令和五年六月)」の一ページに記載されている「消費税の負担と納付の流れ」の図の設例に基づいて、消費税と地方消費税を合わせた税率(十%)で計算する。免税業者に関する経過措置終了後の二〇二九年(令和十一年)十月一日以後は、A、B、C、Dの四事業者よりなるサプライチェーンを通して、消費者が税率十%対象の商品を税込金額十一万円で購入した場合、消費者が負担する消費税額は十一万円×一/十一=一万円であるが、インボイスを登録していない免税業者Bを除く、A、C、Dの三事業者が、それぞれ納付する消費税額の合計は一万二千円となって、消費者が負担する消費税額一万円より二千円だけ大きくなるため、国等の過大徴収が発生する。
 @ インボイス登録業者A(原材料製造業者)は、自らの原材料を本体価格二万円と消費税二千円の合計税込二千二百円で、インボイスを登録しない免税業者B(完成品製造業者)に売り上げるが、課税仕入れがないため、売上の消費税二千円を国等に納税する。
 A インボイスを登録しない免税業者B(完成品製造業者)は、インボイス登録業者A(原材料製造業者)から仕入れた原材料を加工して製品を完成させて、インボイス登録業者C(卸売業者)に、本体価格五万円と消費税五千円の合計税込五万五千円で売り上げる。この場合、Bの売上の消費税五千円からインボイス登録業者A(原材料製造業者)からの仕入の消費税二千円を差し引いた三千円が、本来、国等に納税すべき金額であるが、Bが免税業者であるため納税額は〇円となる。
 B インボイス登録業者C(卸売業者)は、Bから仕入れた製品をインボイス登録業者D(小売業者)に、本体価格七万円と消費税七千円の合計税込七万七千円で売り上げる。この場合、Bがインボイス登録のない免税業者であるため、Cの売上の消費税七千円からBからの仕入の消費税五千円を差し引くことができず、七千円の全額をCは国等に納税する。
 C インボイス登録業者D(小売業者)は製品を消費者に本体価格十万円と消費税一万円の合計税込十一万円で売り上げる。この場合、Dの売上の消費税一万円からCからの仕入の消費税七千円を差し引いた三千円をDは国等に納税する。
 このように国等の過大徴収が発生する理由は、登録業者Cの納税において、直前の仕入先である免税業者Bにおいて納税を免除されている税額三千円を、登録業者Cの売上の消費税から控除できないだけではなく、免税業者Bの仕入先である登録業者Aにおいて納税済みの二千円の税額も控除できない仕組みになるためである。

一 インボイス制度開始後、適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れに係る税額控除に関する経過措置(平成二十八年改正法(平成二十八年法律第十五号)改正附則第五十二条、第五十三条)(以下、免税業者に関する経過措置という)が終了した後においては、上記の例のように、消費者が消費税分として負担する金額よりも大きい金額を、納税義務者である事業者が納付する場合(以下、国等の過大徴収という)が発生する、と考えられるが、この点につき間違いはないか。
二 柴愼一議員は、令和五年三月十七日の第二百十一回国会参議院財政金融委員会において、免税業者に関する経過措置が終了すると、消費税の国等の過大徴収が発生することを指摘し、「政府の益税になってしまうんじゃないか」として、免税業者に関する経過措置の期間の延長の必要性の検討について質問している。これに対して、住澤政府参考人(財務省主税局長)は、「この経過措置期間を延長ないし恒久化することに関しては慎重な検討が必要ではないかというふうに考えている」という回答を行っているが、指摘のあった消費税の国等の過大徴収については、そうした事実の発生の可能性を含めて一切触れていない。しかし、消費税の国等の過大徴収は、「消費税を負担する者=消費者 消費税を申告、納付する者=事業者」、「消費税は、事業者に負担を求めるものではありません」(国税庁発行「消費税のあらまし(令和五年六月)」一ページの記載)という政府の消費税についての説明に反する事実である。政府が国会の本会議や委員会等で、この国等の過大徴収の発生について説明を行ったことがあるのであれば、その議事録を示されたい。説明を行ったことがないのであれば、この国等の過大徴収の発生に関する政府の見解を回答されたい。

 右質問する。

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