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令和五年十二月一日提出
質問第八〇号

東京電力福島第一原発から海洋排出される「ALPS処理水」の核種測定のあり方と外交課題に関する質問主意書

提出者  阿部知子




東京電力福島第一原発から海洋排出される「ALPS処理水」の核種測定のあり方と外交課題に関する質問主意書


 本年八月二十四日の正午から、東京電力福島第一原発から発生し続けている汚染水を濾過した「ALPS処理水」の海洋放出が開始され三ケ月が経過。東京電力(以後、東電)によれば、今年度の放出計画は、汚染水を処理した後に貯蔵するタンク約三十基分にあたる計約三万千二百トンを四回に分けて放出するとしている。十一月二十日には、三回目の放出が完了し、四回目は年明け以降とのことであるが、海洋放出をめぐっては国内外からの懸念が継続して指摘されている。
 超党派議員連盟「原発ゼロ・再エネ一〇〇の会」では、放出前から国内外有識者と共に、東電や経済産業省等とヒアリングを重ね、トリチウム以外の核種測定やモニタリングのあり方、「モルタル固化」等の代替案を提言し、環境・海洋生態系への懸念を指摘したところであるが、改めて、以下質問する。

一 「ALPS処理水」の海洋モニタリングは、海洋放出後九地点でトリチウムが測定されているが、海水で希釈後の処理水の海洋放出口周辺では、トリチウム以外の二十九核種の核種測定がなされていない。
 1 希釈に用いる海水に含まれる放射性物質の影響もあり得ることから、まずは希釈後放出時点での測定がなされるべきではないか。
 2 また放出口付近の海底土にも沈澱等により、汚染が生じるのではないかと危惧する。海洋放出口周辺の海底土を経年的に測るべきではないか。
二 令和五年六月十六日提出「ALPS処理水の海洋放出の科学的評価等に関する質問主意書」(阿部知子提出)でも質問したが、太平洋諸島フォーラム(以後、PIF)の専門家パネルからは、かねてより「海洋放出」によって、トリチウムはもちろんのこと、他の核種も含めて海洋生態系への汚染が拡大すること等が指摘されてきたが、いまだに払拭されていない。
 政府は、昨年六月からPIFと六度の科学的対話≠し、本年七月三十一日には、PIFとの報告書「Report on the dialogues between the Government of Japan and the PIF regarding Advanced Liquid Processing System(ALPS) Treated Water at TEPCO's Fukushima Daiichi Nuclear Power Station」を公表、「日本政府として、太平洋島嶼国・地域に対し、高い透明性をもって科学的根拠に基づく丁寧な説明を引き続き行っていく」としている。他方、PIFは九月十五日にフィジーでの外相会合を開催し、この時に議長国等から、日本政府とIAEA(国際原子力機関)に引き続いて影響説明をするように求められたと認識する。
 1 政府は放出後、PIFや加盟諸国に対して、どのような説明や働きかけをしたのか。
 2 また、十一月十一日のPIF会合(於:クック諸島)でも一部の首脳らが海洋汚染へ強い懸念を示し、発表された総会コミュニケでも「太平洋における核汚染の潜在的脅威」について言及されている。政府は指摘される核汚染の潜在的脅威についてどう認識しているのか。
 3 汚染水を根絶しない限り、海洋放出は続き、こうした外交上課題も解消されないと認識するが、同コミュニケの評価を受け、政府は今後どのような国際協力に基づく科学的検証、取組をしていくか。
  また、PIFと現在進行している対話・会議体などがあれば併せてお示しいただきたい。
三 海洋放出を開始してから、中国は日本産水産物の全面禁輸を発表した。中国と香港は毎年合わせて十一億ドル(約千六百億円)相当の水産物を日本から輸入していることを鑑みると、我が国の水産物市場に甚大な影響が及んでいる。
 十一月十六日、岸田首相は中国の習近平国家主席と会談し、日本産水産物の輸入停止措置の即時撤廃を要求した。会談では、対話を通じた解決が中国側から示されたものの、海洋放出への懸念がここでも指摘された。
 1 本来であれば、放出前に説明がなされ、このような事態になることがないようにすべきではなかったか。どのような会議体・部署(省庁)が中国と意見交換をしたのか、また放出後はどのような説明を中国にしたのか。
 2 今後、どのような形で中国政府と本件にかかる検証と対話の場に臨むのか。また会議体などを設置する予定があるのか。

 右質問する。

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