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令和五年十二月七日提出
質問第一一五号

法務省法制審議会家族法制部会の審議の進め方等に関する質問主意書

提出者  吉田はるみ




法務省法制審議会家族法制部会の審議の進め方等に関する質問主意書


 法務省法制審議会家族法制部会(以下同部会)の審議の進め方については拙速であるとの指摘があり、当事者を巡る状況や意見の反映に関しても疑問が呈されている。
 よって、以下質問する。

一 同部会には、子と別居する親の意見を代表する者及び子と同居する親の意見を代表する者は委員として参画しているが、DV(ドメスティック・バイオレンス)及び児童虐待の被害当事者を代表する委員が参画していない。これらの被害当事者は同居親と一致する存在ではなく、又、仮に離婚後の共同親権制を導入するならばDVや虐待の継続を防止するための制度整備が肝要であるところ、被害当事者不在の部会とした理由は何であるのか。又、今後委員を追加任命等する予定はないか。
二 例えば同審議会刑事法(性犯罪関係)部会に比して、家族法制部会は既に一・七倍の開催日数となっている。二回開催された月もあり、議事録の公開が追いつかない中で審議が進んでいる。民法改正という国民生活に非常に大きな変化をもたらす審議としては拙速に過ぎるという意見が多く聞こえてくる。二〇二四年通常国会での民法改正案提出という報道もあるが、このようなペースが法制審議会の部会運営の基本となるのか、或いは同部会のみの例外であるのか、その理由と併せて答弁されたい。
三 現在同部会では議事録が公開されないままに「家族法制の見直しに関する要綱案の取りまとめに向けたたたき台」の検討が進んでいる。議事録が公開されるまでは次回の会議を開催しないこととすべきと考えるが政府の見解を問う。
四 本年二月まで実施された同部会に係るパブリックコメントの結果の最終的なまとめは九ケ月たった今も未だに公開されていない。公開予定はいつであり、公開が遅れている理由は何か。明確な説明を求める。
五 「『家族法制の見直しに関する中間試案』に対して寄せられた意見の概要」は個人の意見八十五件に比して団体の意見千二百二十五件と著しく偏って掲載しており、それが審議に用いられているのであれば民意を十分に汲み取ったことにはならないと懸念されるが、政府の見解を問う。
六 同部会資料三〇−二によると「個人から寄せられた意見においては、【乙案】に賛成する意見が多数(【甲案】賛成と【乙案】賛成の割合は概ね一対二程度)であった」とされ、三分の二が現行の単独親権制の維持に賛成であった。もとより結論は部会の多数決で決められるものではなく、パブリックコメントでの意見の多寡のみが基準となるものでもないが、そうであるのであれば寄せられた意見の全容を委員に提示し審議に反映することが民意の尊重となるのではないか。政府の見解を問う。
七 本年十一月にオーストラリアで共同親権に係る法改正がなされた。DVや虐待について裁判所が厳しくチェックすることが求められ、別居親と同居親の「平等な親権分担の推定」も廃止となった。同部会で検討中の「たたき台」と真っ向から異なる結論を「共同親権導入先進国」である同国は膨大な調査等を踏まえて導き出したものである。同部会ではこの改正について把握し検討すべきと考えるが、政府の見解を問う。
八 「海外が共同親権だから」とよく唱えられるところであるが、海外と日本とでは親権の概念が異なり、離婚制度や家族観の違いも大きい。また、教育費用や離婚給付を含む社会保障制度の状況も異なる。同部会の審議ではこのような事情が全く反映されていない。同時に、前問のオーストラリアを含め諸外国では子どもの安全を優先とした法制度に変更されてきているところである。海外との総合的な比較、諸外国の法制度を巡る最新情報、共同親権制から生じた問題等を同部会でも検討しているか。もししていないのであれば、積極的に取り扱わない理由は何であるのか。
九 養育費の先取特権は実務では全く活用されていない制度であり当事者が自助努力を求められるのが実態である。子育て中の親には申立自体の負担が大きく、他方でDV加害者である元配偶者に請求することも報復が案じられる。このような障害を解消するためには公的機関による立替払が有効であり、同時に養育費支払義務者から徴収する仕組みが必要であると考える。同部会でも委員より繰り返し提案があるが、検討事項とされないのは何故であるのか。

 右質問する。

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