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令和五年十二月八日提出
質問第一一七号

日本原子力発電所東海第二発電所設置変更許可申請における経理的基礎の審査と認可に関する質問主意書

提出者  山崎 誠




日本原子力発電所東海第二発電所設置変更許可申請における経理的基礎の審査と認可に関する質問主意書


 二〇一八年九月二十六日付で認可された日本原子力発電株式会社(以下、「原電」という。)の東海第二発電所設置変更許可申請(以下、「変更許可申請」という。)における「経理的基礎」の適合性の審査及び認可等については、平成三十年十二月五日に「質問第一二二号日本原子力発電株式会社東海第二発電所再稼働に関わる経理的基礎に関する質問主意書」が提出され「内閣衆質一九七第一二二号平成三十年十二月十八日答弁書」(以下、「答弁書」という。)が出されている。
 「変更許可申請」に伴い添付された資料には、「経理的基礎」に関して、平成三十年四月付原電「東海第二発電所の電用原子炉設置変更(発電用原子炉施設の変更)に係る原子炉等規制法第四十三条の三の六第一項第二号(経理的基礎に係る部分に限る)基準への適合について」(以下、「基準への適合について」という。)があり、審査対象工事として「重大事故等対処施設他設置工事」(以下、「千七百四十億円工事」という。)の工事計画と工事金額及び資金調達の適合性の審査と確認がされている。
 二〇二一年七月付原電資料一−五「東海第二発電用原子炉設置変更(発電用原子炉施設の変更)に係る原子炉等規制法第四十三条の三の六第一項第二号(経理的基礎に係る部分に限る)基準への適合について 補足説明資料」(以下、「補足説明資料」という。)があり、審査対象工事として「特定重大事故等対処施設及び所内常設直流電源設備(三系統目)の設備並びに重大事故等対処施設他の変更に伴う工事」(以下、「六百十億円工事」という。)の工事計画と工事金額及び資金調達の適合性の審査と確認がされている。
 これらの資料に基づいて考察した上で、原電「変更許可申請」における「経理的基礎」の適合性の審査及び認可について質問する。

一 原電設置変更申請の工事金額は、二〇一八年五月申請当初の四百三十億円から千七百四十億円に補正されて変更申請の許可を得ている。原電の申請工事金額千七百四十億円は、申請時から自己資金では足らず外部からの借入金を前提にしていた。そこで原子力規制委員会は、申請許可要件である「経理的基礎」の適合性の審査を、東京電力ホールディングス株式会社(以下、「東電」という。)及び東北電力株式会社(以下、「東北電力」という。)からの借入金及び電気料金前払での資金調達を確認した上で許可した。
 1 政府の認識も以上の通りか。
 2 二〇一八年四月「基準への適合について」の工事計画では、二〇二〇年度に工事は終了することになっていた。また二〇二一年七月「補足説明資料」の工事計画では二〇二三年十月に終了することになっていた。しかし、原電の工事は、防潮堤の基礎部分のコンクリートに隙間などがみつかり、工事が中断しており、やり直しになる可能性もあるとの報道もある。これにより、どれだけの工事期間の延長と工事金額の増額が見込まれるか。政府の把握するところを明らかにされたい。
 3 この工事期間の延長と工事金額の増額に伴う原電の「変更の工事に要する資金の額並びに資金調達実績及び計画」の変更申請は必要か。
 4 この変更申請がなされれば、経理的基礎の審査も再び行われることになるのか。
 5 二〇二一年七月原電「補足説明資料」では、「六百十億円工事」は、二〇二一年度に開始し二〇二三年度には終了する計画である。この計画は二〇一八年四月の「千七百四十億円工事」にはなかった。この「六百十億円工事」の変更あるいは追加について設置許可変更申請の補正あるいは修正等の届出はあったのか。
 6 届出があった場合は、適合審査をやり直したのか。仮に適合審査をやり直さなかったとすれば、その理由を示されたい。
二 原電「基準への適合について」資料五「東海第二発電所の電力料収入実績と計画」では、「電力料収入に係る受電会社との契約については、原則として事業年度ごとに締結し、料金その他の供給条件を定めている。料金は電気の供給量にかかわらず支払いを受ける基本料金と電気の供給量に応じて支払いを受ける電力量料金から成っている。」とある。
 1 東北電力は基本料金を支払っている上に「債務保証」をしている。東北電力の場合、年度精算で基本料金を支払っても「債務保証」した借入金は資金として残る。しかし、東電の「電気料金前払」は、費用で相殺され残らない。東北電力の「債務保証」とは違い「調達資金」にはならないのではないか。何故、東電の「電気料金前払」は「調達資金」となりうるのか。政府の見解を示されたい。
 2 原電の二〇二一年及び二〇二二年度の会社概況書によれば、原電の諸前受金は二〇二二年度の前受金が前年度より五百四十一億円増えていて、累計千二十七億円となっている。「補足説明資料」による資金の確保計画金額より少ない。資金が確保できていないのではないかと考えるが見解を問う。
三 原電「補足説明資料」の「設備資金を前払により調達する場合(イメージ図)」によれば、基本料金の減価償却費分で、前払を返済するとある。
 1 原電と東京電力エナジーパートナー株式会社との電力料金契約上、基本料金の減価償却費用分を借入金の返済として電力量料金を値引きできるのか。政府の見解を示されたい。
 2 このことは電気事業法の電力料金規定に反しないのか。
 3 このことは電力自由化における自由競争の公正取引に反しないのか。
 4 東電は二〇二二年度の営業キャッシュフローは初めてマイナスになった。しかも、財務状況の悪化を理由に原子力損害賠償支援・廃炉等支援機構への特別負担金もゼロだった。原子力損害賠償を優先すべきところを、何故、原電への前払を約五百四十一億円支払っているのか。政府としての受けとめを示されたい。
四 答弁書によれば、東電が申請者に対し資金支援を行うことについて、経済産業大臣に意見聴取をしたところ「資金的協力を含め、東京電力の経営判断のあり方は、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の趣旨及び新々・総合特別事業計画の内容に照らして問題はないものと考えている。」との回答がある。
 「これらのことから、原子力規制委員会としては、・・・経理的基礎に係る許可の基準に適合していると判断した。」としている。
 また答弁書では「御指摘の点を含めて、東京電力による個別の経営判断については、・・・経産大臣の認定した「新々・総合特別事業計画」に示された廃炉や賠償の費用の捻出に向けて・・・大きな支障を及ぼすようなおそれがある場合を除いて、東京電力の経営陣の責任において行われるべきものと考える。」と答弁している。
 回答の中で経済産業大臣は、「新々総合特別事業計画」に支障がない限りとしているが、特別負担金ゼロというのは支障が出たということではないか。「新々総合特別事業計画」では、毎年損害賠償費用二千億円、廃炉等積立金三千億円、利益四千五百億円としており、二〇二二年度は損害賠償特別負担金ゼロ、廃炉等積立金、利益マイナスとなっている。原電への前払は、結果として東電のキャッシュフローをマイナスにし、特別負担金をゼロにしているのではないか。見解を問う。

 右質問する。

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