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令和五年十二月八日提出
質問第一二〇号

令和五年の猛暑による熱中症に関する質問主意書

提出者  井坂信彦




令和五年の猛暑による熱中症に関する質問主意書


 令和五年の夏は非常に暑くなり、日本の平均気温の平年差はプラス一・七六℃で、一八九八年の統計開始以降で最も高かった平成二十二年の平年差プラス一・〇八℃を大きく上回った。また各地で最高気温三十℃以上の真夏日、最高気温三十五℃以上の猛暑日が連日観測され、東京では七月六日〜九月七日の六十四日間真夏日が続き、平成十六年の四十日を超えて過去最長を記録し、猛暑日も二十二日と過去最多を記録した。
 消防庁によると、令和五年の九月までに熱中症で搬送された人は九万千四百六十七人で、年齢の割合は約半数が六十五歳以上の高齢者であった。帝京大学医学部を中心とした研究チームの報告によると、七十歳以上では、七十歳未満と比べると、熱中症による死亡リスクは十倍程度高まるというデータもある。
 また、国立成育医療研究センターによると、子どもは体温調整機能が未発達で、大人と比べると暑さを感じてから汗をかくまで時間がかかり、体に熱がこもりやすく体温が上昇しやすいとされる。また、子どもは大人よりも全身に占める水分の割合が高く、体重に比べて体表面積が広いため外気温の影響を受けやすいなどの理由で、大人に比べて暑さに弱く熱中症になりやすいと言われている。
 こうしたことから、高齢者と子どもをターゲットとした熱中症対策と啓発が必要であるが、令和五年の熱中症による救急搬送人員は、平成三十年の九万五千百三十七人に次いで過去二番目に多い結果となってしまった。この反省を活かして来年以降に向け、適切な熱中症対策と効果的な広報・啓発を求めて、以下、政府の見解を質問する。

一 気象庁は今年の猛暑をどの程度予測できていたのか。気温の長期予測は人の命を守るだけでなく、農業や災害、エネルギー政策など、広範に大きな影響を及ぼす。予測精度を上げる取組について、政府の見解を伺う。
二 熱中症の搬送者数が歴代二位となってしまった。政府は、各省庁が実施してきた熱中症対策について、効果があったと考えているか。特に搬送者の約半数が重症化しやすい高齢者だったことから、高齢者に向けた熱中症対策で被害者数を減らすことができると考えられる。施策の効果について検証が行われているのであれば、その結果を示されたい。
三 政府は各省庁において啓発活動などを行っているが、連携した取組になっていない。環境省を司令塔にするのであれば、その方針に従った施策を展開するべきである。例えば、第二百十一回国会の質問主意書第八十一号において、児童生徒の登下校時における日傘使用について、文部科学省は日傘の使用を指示したこともなければ、リスクやデメリットについて把握すらしていないことが判明した。環境省作成のリーフレット「熱中症〜ご存じですか?予防・対処法〜」においては日傘の使用を推奨しており、また環境省が発行している「熱中症予防対策ガイダンス」では、ルールの見直しによる効果的な取組を求めている。このように司令塔の方針に従った施策を展開できていない省庁に対して、どのように取組を改善するのか、政府の見解を伺う。
四 各省庁は、リーフレットやウェブサイトにおいて、熱中症予防の啓発を行っている。しかしプッシュ型の啓発とは言えず、国民に届いていない可能性がある。例えば、高齢者に向けてはテレビ番組内での周知やテレビCMの活用、子ども・若者に向けてはYoutube広告の活用など、ターゲットに向けた積極的な広報が求められる。現在の広報について効果測定しているならばその結果の提示を求めるとともに、今後の積極的な広報について、政府の見解を伺う。
五 環境省では「地域における熱中症対策の先進的な取組事例集」を発行し、情報提供とともに自治体ごとに必要な施策の実施を求めている。しかし現実には、自治体の独自予算や交付金の中から予算を捻出するため、熱中症対策は後回しにされていることも多い。例えば、保育園等の送迎バスの安全装置等については国で予算付けしている。このように、命に係わる熱中症対策については、国の制度や国の実施事業として各自治体に必要な対策を取らせる必要があるのではないか。熱中症を受け入れる救急病院に対する支援や、公園・スポーツ施設に東屋を設置するといったハード面の予算措置など、国として具体的な予算付けを増やす必要があると考えるが、政府の見解を伺う。

 右質問する。

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