答弁本文情報
平成十二年七月二十八日受領答弁第八号
内閣衆質一四八第八号
平成十二年七月二十八日
衆議院議長 綿貫民輔 殿
衆議院議員保坂展人君提出新内閣にあらためて死刑の是非を問う質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員保坂展人君提出新内閣にあらためて死刑の是非を問う質問に対する答弁書
一の(一)及び(三)について
御指摘の総理府世論調査において、「場合によっては死刑もやむを得ない」と回答した者のうち、五十六・五パーセントの者が「将来も死刑を廃止しない」と答えているほか、三十七・八パーセントの者についても、状況が変われば、将来的には死刑を廃止してもよいが、現在の状況では、死刑制度の存置はやむを得ないと考えているものと理解でき、国民世論の多数は死刑制度の存置をやむを得ないと考えているものと解される。
今後も、死刑制度の存廃を考える上での参考に資するため、必要に応じて、死刑制度に関する世論調査を実施するなどして、国民意識の動向の把握に努めたいと考えている。
死刑制度について様々な意見があることは承知しているが、確定した裁判の執行は厳正に行われなければならないものと考えている。
死刑制度について様々な意見があることは承知しているが、国民世論の多数が死刑制度の存置はやむを得ないと考えており、多数の者に対する殺人、誘拐殺人等の凶悪犯罪がいまだ後を絶たない状況等にかんがみると、その罪責が著しく重大な凶悪事犯を犯した者に対しては、死刑を科することもやむを得ず、死刑を全面的に廃止することは、適当でないと考えている。
死刑制度などに関する質問に対する答弁書(平成十年八月二十一日内閣衆質一四二第六四号。以下「先の答弁書」という。)一の(2)についてでお答えするに当たっては、我が国の刑罰等に関する文献について可能な範囲で調査を行ったものである。
調査した限りでは、御指摘のような事実はない。
死刑執行に当たる職員の心情について、アンケートや面接等による調査を組織的に実施したことはないが、当該職員らは、その職務執行に当たって、多大な苦労があるものの、その職責を果たすべく困難な職務に取り組んでいるものと理解している。
死刑執行に当たった職員の心情等については、先の答弁書五の(3)についてでお答えしたとおり、折に触れて職員からその心情が述べられることがあり、このような機会をとらえて、職員の心情等を把握するよう努めているところである。
先の答弁書六の(4)についてでお答えしたとおり、有罪を認定することについては、適正な判断がなされているものと考えている。
法務省においては、通常は、複数の担当者によって、判決書及び確定記録等の関係資料につき十分に検討し、刑の執行停止、再審又は非常上告の事由の有無、恩赦を相当とする情状の有無等について慎重に審査を行うこととしているが、必要に応じ、法務大臣やその命を受けた法務総括政務次官が自ら記録を精査することもあり得る。
法務大臣は、死刑執行命令を発するに当たり、法の定めるところに従って、慎重かつ厳正に対処することとしている。