衆議院

メインへスキップ



答弁本文情報

経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成十三年六月五日受領
答弁第六七号

  内閣衆質一五一第六七号
  平成十三年六月五日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員北川れん子君提出「個人情報の保護に関する法律案」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員北川れん子君提出「個人情報の保護に関する法律案」に関する質問に対する答弁書



一について

 個人情報の保護に関する法律案(以下「法案」という。)第五十五条第一項第一号に規定する「報道」とは、「不特定かつ多数の者に対して客観的事実を事実として知らせること又は客観的事実を知らせるとともにこれに基づいて意見若しくは見解を述べること」をいうが、ドラマ、バラエティー番組、アニメーション、小説、評論、コラム、文芸作品、史実に基づいた番組・小説、放送大学等教育・教養番組、マンガ、投書・投稿又は映画の掲載、放送又は配信が報道に該当する場合は、その編集、制作又は執筆に当たっての個人情報の取扱いは報道の用に供する目的で行われる個人情報の取扱いに該当し、報道機関が行うこのような行為については、法案第五十五条第一項により法案第五章の規定は適用されない。

二について

 新聞、週刊・月刊雑誌、書籍、テレビ・ラジオ、インターネット等において行う週刊誌の広告や企業の広告の掲載、放送又は配信が報道に該当する場合は、その編集又は制作に当たっての個人情報の取扱いは報道の用に供する目的で行われる個人情報の取扱いに該当し、報道機関が行うこのような行為については、法案第五十五条第一項により法案第五章の規定は適用されない。

三について

 報道の用に供する目的で取り扱った個人情報が報道されなかった場合において、報道されないこととなるまでの間における当該個人情報の取扱いについて法案第五十五条第一項により法案第五章の規定が適用されないことはもとより、当該個人情報を将来にわたり報道の用に供する目的で蓄積し、又は保存する行為は報道の用に供する目的で行われる個人情報の取扱いに該当し、報道機関が行う当該行為についても、法案第五十五条第一項により法案第五章の規定は適用されない。

四について

 過去に報道した記事をデータベースとして提供する行為や、新聞、雑誌又は書籍の発行前にインターネット等を利用して速報する行為が、報道に該当する場合は、当該行為を行うに当たっての個人情報の取扱いは報道の用に供する目的で行われる個人情報の取扱いに該当し、報道機関が行う当該行為については、法案第五十五条第一項により法案第五章の規定は適用されない。

五について

 スポーツ競技中継、音楽番組、劇場用映画等の放送、配信等が報道に該当する場合は、当該放送、配信等を行うに当たっての個人情報の取扱いは報道の用に供する目的で行われる個人情報の取扱いに該当し、報道機関が行う当該取扱いについては、法案第五十五条第一項により法案第五章の規定は適用されない。

六について

 法案第五十五条第一項第一号に規定する「報道機関」とは、報道を業として行う者をいうが、スポーツ競技中継、音楽番組、劇場用映画等を専門に制作し、放送し、配信し又は公開する者がこれに該当する場合は、報道機関に該当することとなる。
 スポーツ競技中継、音楽番組、劇場用映画等の放送、配信等が報道に該当する場合は、当該放送、配信等を行うに当たっての個人情報の取扱いは報道の用に供する目的で行われる個人情報の取扱いに該当し、報道機関が行う当該取扱いについては、法案第五十五条第一項により法案第五章の規定は適用されない。

七について

 フリージャーナリストとして活動を開始しようとする者が法案第二条第三項に規定する「個人情報取扱事業者」に該当する場合であって報道の用に供する目的で個人情報を取り扱うときは、初めて行う個人情報の取扱いであっても、報道機関による報道の用に供する目的で行われる個人情報の取扱いに該当する。

八について

 法案第五十五条第一項第二号に規定する「大学その他の学術研究を目的とする機関若しくは団体」には、法人格を持たない組織や任意団体を含む。
 大学その他の学術研究を目的とする機関又は団体に属さない個人は、同号に規定する「大学その他の学術研究を目的とする機関若しくは団体又はそれらに属する者」には該当しない。

九について

 政治団体が発行する機関紙に掲載する目的で行われる個人情報の取扱いは、政治活動の用に供する目的で行われる個人情報の取扱いに該当し、法案第五十五条第一項により法案第五章の規定は適用されない。この場合において、その購読者リストが政治活動の用に供する目的で取り扱われるときは、法案第五十五条第一項により法案第五章の規定は適用されない。
 なお、当該個人情報の取扱いが、報道の用に供する目的をも有する場合は、報道の用に供する目的で行われる個人情報の取扱いにも該当することとなる。
 新聞社又は出版社が所有する購読者リストは、当該購読者リストから得られた情報に基づき報道を行うことが予定されているものであるような場合には、報道の用に供する目的で取り扱われるものとして、法案第五十五条第一項により法案第五章の規定は適用されないが、専ら販売等の報道以外の目的で取り扱われる場合は、報道の用に供する目的で行われる取扱いに該当せず、当該取扱いについては法案第五章の規定が適用される。

一〇について

 情報通信技術(IT)戦略本部個人情報保護法制化専門委員会が取りまとめた「個人情報保護基本法制に関する大綱」は、政府が個人情報保護に関する基本法制を立案するに当たって、その骨格となる事項の趣旨についてまとめたものである。
 法案は、同大綱において示された趣旨の下に立案されており、御指摘の趣旨は、法律の目的について規定した法案第一条及び基本原則の性格について規定した法案第三条に盛り込まれている。

一一について

 水防法(昭和二十四年法律第百九十三号)第十条第一項や気象業務法(昭和二十七年法律第百六十五号)第十一条に規定する「放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関」についても、法案第五十五条第一項第一号に規定する「放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関」と同様に、報道を業として行う者をいうものと解されている。
 なお、水防法第十条第一項は、気象等の状況により洪水又は高潮のおそれがあると認められる場合に、これを一般に周知させるために協力を求める対象としての報道機関を定めたものであり、気象業務法第十一条は、気象、地象、地動、地球磁気、地球電気及び水象の観測の成果並びに気象、地象及び水象に関する情報を直ちに発表することが公衆の利便を増進すると認める場合に、これを公衆に周知させるために協力を求める対象としての報道機関を定めたものである。他方、法案第五十五条第一項第一号は、個人情報の適正な取扱いの確保を通じて個人の権利利益の保護を図るに当たって報道の自由に配慮するため、法案第五章の規定の適用を除外する対象としての報道機関を定めたものであって、水防法や気象業務法の規定とはその趣旨・目的を異にする。したがって、各規定が適用される場合において、具体的に対象となる報道機関の範囲が異なることはあり得る。

一二について

 宗教法人法(昭和二十六年法律第百二十六号)第二条において「宗教団体」とは、「宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的」とする団体をいうものとされ、また、政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)第三条において「政治団体」とは、「政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対することを本来の目的とする団体」、「特定の公職の候補者を推薦し、支持し、又はこれに反対することを本来の目的とする団体」等をいうものとされている。このため、宗教団体の行う宗教活動とは「宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成すること」を指し、政治団体の行う政治活動とは「政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、若しくはこれに反対すること、又は特定の公職の候補者を推薦し、支持し、若しくはこれに反対すること」を指すこととなり、一般的に用いられている意味での「宗教活動」及び「政治活動」の範囲よりも狭く解されることとなるおそれがあることから、「これに付随する活動を含む。」と規定することにより、一般的に用いられている意味での「宗教活動」及び「政治活動」が適用除外の対象となることを確認的に規定しているものである。
 他方、法案第五十五条第一項に規定する「報道」及び「学術研究」については、これまで法令上、特段の定義を置かず、一般的な概念として用いられてきているところであり、法案第五十五条第一項においても同様に一般的に用いられている意味で「報道」及び「学術研究」と規定しているところであることから、あえて確認的な規定を置く必要はない。
 なお、「これに付随する活動」の具体的事例としては、宗教団体による霊園の経営や他宗派にわたる人々に対する葬儀の運営、政治団体による各種団体の組織や活動に対する支援等が想定される。



経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.