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平成十三年七月三十一日受領
答弁第一一三号

  内閣衆質一五一第一一三号
  平成十三年七月三十一日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員小沢和秋君外一名提出有明海再生のための諫早湾干拓事業中止と早期水門開放に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員小沢和秋君外一名提出有明海再生のための諫早湾干拓事業中止と早期水門開放に関する質問に対する答弁書



(一)について

 国営諫早湾土地改良事業(以下「本事業」という。)については、農林水産省に設置された有識者及び漁業者から構成される有明海ノリ不作等対策関係調査検討委員会(以下「委員会」という。)において平成十三年三月二十七日に取りまとめられた「有明海ノリ不作等対策関係調査検討委員会(第一〜三回)の委員長まとめ」(以下「委員長まとめ」という。)を踏まえ、当面、干拓地の前面堤防工事等調整池の水質に悪影響を与える可能性のある工事は実施しないが、それ以外の工事は引き続き実施する方針である。
 引き続き工事を実施することとしている天狗鼻堤防及び中央干拓地西工区の工事は、陸上での工事であって基本的には調整池の水質に影響を及ぼす可能性はないが、万一の調整池の水質への悪影響を防ぐため、今後ともその施工に伴う排水の水質を監視しつつ、必要に応じ適正な処理を行うこととしている。また、同様に引き続き実施することとしている水中での工事である承水路掘削工事は、今後とも掘削土とともに濁りもポンプにより吸い込みつつ掘削するポンプ浚渫船等により行うこととしている。このように、これらの工事は、調整池の水質への悪影響を防ぐための対策を講じつつ実施することとしており、堤防外の環境に悪影響を与えるとは考えていない。

(二)について

 本事業の実施に際して、関係する漁業協同組合等との間で漁業補償契約等を締結する際に、当該漁業協同組合等に対し、コンクリートの使用や施工に伴う排水処理の方法を定めた施工計画の案を説明している。
 また、本事業においてコンクリートやセメント材を使用する工事については、必要に応じ適正な排水の処理を行う等その施工に伴う排水に係る水質対策を講じているほか、潮受堤防の内外で水質、底質、水生生物等の調査項目から成る環境モニタリング等を実施し、環境の変化を監視しつつ、工事を実施してきたところである。これまでの環境モニタリングの結果によると、平成四年度の本事業の本格着工の前後で、周辺海域の水質において明確な変化は認められていない。

(三)について

 農林水産省九州農政局(以下「九州農政局」という。)が平成十三年七月二日に調整池及び本明川等の流入河川において二酸化珪素濃度を測定したところ、調整池内では一リットル当たり一九・〇〜一九・七ミリグラムであり、本明川の下流では一リットル当たり二六・四ミリグラム、調整池に流入する他の七河川の下流では一リットル当たり一六・四〜三八・四ミリグラムであった。したがって、調整池の二酸化珪素濃度は、基本的には本明川等の流入河川の二酸化珪素濃度を反映したものと考えており、本事業の工事に用いられるセメントから大量の二酸化珪素が溶出しているとは判断していない。なお、セメントは水と反応して難溶性の物質となるが、九州農政局が調整池の懸濁物質を分析したところ、その組成は、諫早湾に元来あるガタ土に極めて近く、セメントとは異なるものであった。

(四)について

 御指摘の太田扶桑男氏の実験結果の詳細については、承知していない。
 なお、(三)についてで述べたとおり、本事業の工事に用いられるセメントから調整池へ大量の二酸化珪素が溶出しているとは判断していないが、いずれにしても、ノリ不作等の原因を究明すべく、現在、調査を行っているところである。
 また、周辺環境の保全の観点から、調整池の水質の向上は重要であると考えており、地元市町が行う窒素やリンの高度処理機能を備えた生活排水処理施設の整備等を支援するとともに、本明川の河口付近での河川水の礫間浄化、水生植物の植栽等の水質保全対策を行っているところである。

(五)について

 漁業共済において、有明海の平成十二年度のノリ養殖に係る損失につき支払った共済金等については、別表一のとおりである。
 また、有明海でノリ養殖を行っている漁家一戸当たりの負債額は、別表二のとおりであるが、お尋ねの県別の一人当たりの負債額及び今回のノリ不作に伴う新たな負債額については、把握していない。
 次期の有明海のノリ養殖に係る対策については、漁業共済制度において、大規模な不作に対応した新てん補方式の試験的実施等を内容とする臨時特例的な措置を講ずるとともに、水産基盤整備事業等により地元自冶体等が行う覆砂やたい積物の除去等漁場環境の改善を図るための対策を支援していく考えである。

(六)について

 九州農政局は、昭和六十二年七月二十日に長崎県の十一の漁業協同組合との間で、本事業に起因し漁業補償契約書締結時に予測し得なかった新たな被害が生じた場合に、誠意をもって協議し解決するよう努める旨の「確認書」を、また、同年九月二十六日に佐賀県有明海漁業協同組合連合会、福岡県有明海漁業協同組合連合会及び熊本県漁業協同組合連合会との間で、本事業に起因し有明海水産業に予測し得なかった新たな被害又は支障が万一生じた場合に、誠意をもって協議し解決するよう努める旨の「諫早湾干拓事業に関する確認書」を取り交わしている。
 現在、有明海の環境悪化の現状把握と原因解明のための調査を行っているところであり、今回のノリ不作等の原因が本事業に起因するかどうかは、現時点では判明しておらず、農林水産省においては、まずは、予断を持たずに調査を推進することが重要と考えている。

(七)について

 御指摘の第四回の委員会における農林水産省の提案は、開門調査の方法として、排水門における海水の流入出速度を排水門周辺の環境に急激な影響を与えないような、また、構造物の安全に影響のない範囲とし、本事業の防災機能にできるだけ影響を与えないよう調整池の水位を標高マイナス一メートル以下に保つものであるが、これは、委員長まとめを踏まえつつ、できるだけ早期に開門調査に着手できるように、そのために必要な最小限の対策を早急に行い、できる範囲で海水を出入りさせる案として提案したものである。
 なお、御指摘のように調整池内に外海と同じ水位まで海水を流入させることは、高潮時には背後地に浸水被害を及ぼすおそれを、また、大雨時には潮位によっては、河川、排水路等からの排水に支障を来すおそれを生じさせること等から、本事業で発揮されるべき防災機能を損なわしめることとなる。
 また、本事業については、潮受堤防で諫早湾の一部を締め切り、内部堤防との間に調整池を設けることによって高潮の防止と洪水時の円滑な排水を可能とする干拓方式によることが、既存堤防の強化や排水ポンプの整備等を行うことと比較し、防災機能の点で有効かつ効率的であると判断して実施しているものであり、既に防災機能を発揮させ、地元から高い評価を得ている中で、事業内容を御指摘のような既存堤防の強化等に切り替えることは適切ではないと考えられる。

(八)及び(九)について

 有明海の状況については、委員長まとめを受け、ノリ不作等の原因を究明すべく調査を行っているところである。
 本事業については、地元の要望に沿って、防災機能の強化と優良農地の造成を目的に着実に実施してきたところであり、今後とも、周辺環境にも十分配慮しつつ、適切に対応してまいりたい。


別表一 共済金の支払状況


別表二 有明海のノリ養殖漁家の負債額



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