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平成十三年七月三十一日受領
答弁第一三三号

  内閣衆質一五一第一三三号
  平成十三年七月三十一日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員首藤信彦君提出ケニア共和国ソンドゥ・ミリウ水力発電事業に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員首藤信彦君提出ケニア共和国ソンドゥ・ミリウ水力発電事業に関する再質問に対する答弁書



一について

 平成十三年六月二十五日の参議院決算委員会において田中外務大臣が御指摘のように「本件の見直しには慎重な態度で臨むべき」との発言をした事実はない。同委員会における田中外務大臣の発言は、同月十六日から二十日までの間に実施された外務省担当課長による現地調査の結果を紹介しつつ、ソンドゥ・ミリウ水力発電計画(以下「本件計画」という。)に対する追加の円借款供与について引き続き検討していきたい旨述べたものであり、今後の対応としてはケニア共和国(以下「ケニア」という。)側の行う環境社会対策及び同年七月六日に開かれる住民対話集会での議論を注視する必要があるとしていたそれまでの政府の方針と異なるものではないと考えている。

二について

 御指摘の報道等が何を指すのか必ずしも明らかでないが、青木盛久ケニア駐箚特命全権大使(以下「青木大使」という。)は、本件計画へのケニアにおける関心が高いことから、種々の機会をとらえてケニアの報道関係者等に対して、本件計画に関する我が国国内における論議の状況と問題意識を国会の議事録等の関連資料を踏まえて紹介したり、環境社会面の諸問題につき在ケニア日本国大使館がケニア側に対して行った申入れの内容を説明したりしているところ、青木大使のこのような言動は、環境社会面につきケニア側の適切な対応を促していくとの我が国政府の方針を踏まえてのものである。

三の(1)について

 外務省担当課長らによる現地調査は、本件計画の事業実施地域及びその近郊において、現地の視察、地域住民及び青年海外協力隊員からの聞き取り調査、非政府組織(以下「NGO」という。)との面談等を行い、さらに、ナイロビ市内において、ケニア政府関係者等との意見交換、NGO及び報道関係者との面談等を行ったものである。

三の(2)について

 地域住民からの聞き取り調査は、本件計画の実施に問題があるとの立場の人々を含め、可能な限り多くの人々から十分に意見を聴取できるよう配慮して、本件計画の事業実施地域内の十か所の地点において、付近の住民に参集してもらい、質問票を配布し、本件計画並びに事業実施機関、事業実施業者、地域住民、NGO及び有識者から構成される本件計画に関する技術委員会(以下「技術委員会」という。)の在り方に関して意見を記入してもらう等の方法で行った。この聞き取り調査の結果、回答のあった約二百六十人中本件計画の中止を求める者は皆無であり、約三分の二の者が環境社会面の問題に対処しつつ事業を継続すべきとの意見であり、約三分の一の者が特に条件を付することなく事業を実施すべきとの意見であった。

三の(3)及び(7)について

 NGO関係者との面談は、ナイロビ市内において二回(平成十三年六月十六日及び十七日)、本件計画の事業実施地域内において一回(同月十八日)行ったが、これらに参加した関係者は、アフリカウォーターネットワーク、気候ネットワークアフリカ、エコニュース、ニャカチ地区開発委員会及びソンドゥ・ミリウ地区モニタリング委員会に所属する者であった。面談においては、NGO側から、本件計画の実施が雇用の創出や貧困削減につながること、技術委員会において活動を続けるためには資金の補助があると有り難いこと等が述べられた。
 また、平成十三年六月十六日にナイロビ市内で行ったNGO関係者との面談において、NGO側から我が方へ文書が提出された。同文書においては、NGO側として本件計画を支持することを明確にしつつ、本件計画の実施に際して配慮されるべき点として、事前の関連調査において言及されている本件計画以外の地域開発計画についても実施すべきではないか、技術委員会の運営を改善すべきではないか、本件計画の実施に係る資金使途について第三者による監査が行われるべきではないか等が指摘されていた。これに対して我が方からは、本件計画以外の地域開発計画については、事前の関連調査において言及されているとしても、その実施については本件計画とは別途に検討されるべき問題であること、NGO側も技術委員会に出席し討議に参加する中でその運営の改善について具体案を提起していくべきであること、円借款により実施される本件計画においては、契約企業が行う仕事の出来高等についての対価の支払請求に関し、契約発注元である事業実施機関が当該支払請求の内容を精査し、国際協力銀行がその結果を確認した上で、事業実施機関から契約企業に支払われる仕組みとなっており、第三者による監査が必要であるとは考えられないこと等を説明した。

三の(4)について

 青年海外協力隊員からの聞き取り調査については、キスム市内で、本件計画の事業実施地域に赴いたことのある者一人から行った。同人の職種等を明らかにすると、同人がだれであるかが特定されてしまうところ、右調査は公表を前提とした聞き取り調査ではなかったので、職種等については答弁を差し控えたい。

三の(5)及び(6)について

 平成十三年六月十九日に行ったオディンガエネルギー大臣、オドヨ外務副大臣等との意見交換においては、我が方からは、地域住民から聞き取り調査を行ったところ圧倒的多数の者が事業の継続、実施を支持していたこと、NGO関係者との面談を行ったところ、本件計画について最も批判的な問題提起を行っていたNGOも自分たちは本件計画の熱烈な支持者であると言明し、環境社会面の問題に対処しつつ事業を実施すべきとの考え方を示したこと等を説明した。さらに、環境社会面の問題への対処には技術委員会が果たす役割が極めて大きいとの認識を示すとともに、一部に身の安全への危惧からNGOが自由に意見を述べることに支障があるとの指摘があることにも言及しつつ、技術委員会が環境社会問題への対処のための機関として、その有効性、中立性が維持及び確保されるよう要請を行った。これに対し、オディンガエネルギー大臣及びオドヨ外務副大臣は、ケニア政府は本件計画を成功に導く決意を固めており、技術委員会を設置したのは、本件計画により生じる問題点を整理し、対策を講ずるためであり、ケニア側としても技術委員会を重視しており、また、本件計画は一地区のためのものではなく、大多数の国民がその実施に賛成している国家的計画である旨述べた。なお、これら意見交換の内容につき、両当事者間で合意するような議事録は作成していない。

四について

 国際協力銀行の環境社会調査団が本件計画による環境社会面への影響、住民移転計画等の実施状況等について行った御指摘の現地調査においては、ほこり対策等につき改善すべき点はあるものの、全体として本件計画による深刻な環境社会面への影響は確認されなかったと承知している。さらに、河川維持流量について、最新の状況を確認するため事業実施機関が追加調査を実施する予定であること、本件計画の実施により住居移転等の影響を受ける住民への補償について、事業実施機関から地域住民に対して事前説明が行われ、適切な方法で算出された補償金がほぼ支払われていることが確認されたと承知している。なお、国際協力銀行は、対外的に公開することを前提とした報告書は作成していないと承知している。
 国際協力銀行は、ほこり対策について散水間隔の短縮及び道路舗装等の措置を必要に応じて実施すること、本件計画による住居移転後の住民の生活状況について技術委員会での議論も踏まえつつモニタリングを実施していくべきであることを事業実施機関に申し入れ、同意を得たものと承知している。

五について

 平成十三年六月七日に行われた技術委員会においては、補償・移転、雇用・経済機会均等、環境及び健康・安全の四つの分科会の報告を踏まえた報告書の草案が配布され、これに基づいて討議がなされたと承知している。配布された文書は、公表を前提としない草案段階のものであることから、当日すべて回収され、技術委員会での討議を反映させた修正案につき同年七月四日の技術委員会において再確認が行われた後、同月六日の住民対話集会に最終的な報告書として提出され、同集会での採択の後に公表されたものと承知している。同報告書は、本件計画に係る補償・移転、雇用・経済機会均等、環境及び健康・安全の分野における調査結果、勧告を取りまとめたものとなっている。
 事業実施機関は、右報告書で指摘されている問題点を取りまとめ、今後対策を行っていくものと承知している。また、右住民対話集会において、技術委員会に対し右報告書における勧告の実施状況のモニタリングを行い必要に応じて助言を行う権限を与えることのほか、今後とも住民対話集会及び技術委員会を定期的に開催することが決議されたと承知している。
 お尋ねの予算措置が何を指すのか必ずしも明らかでないが、技術委員会の構成員は無償でその任務に当たっており、技術委員会及び住民対話集会の必要経費は事業実施機関が負担している。また、資金的な手当てを含む問題解決のための具体的な対応については、今後、技術委員会の討議を踏まえ、ケニア側で検討されるものと承知している。

六の(1)について

 御指摘の環境影響調査書は、平成三年に作成された環境影響評価書を踏まえ、特に社会面について追加的調査を行ったものと承知している。この調査書では、主として、住民の移転や一部の土地の収用に伴う住民の生活への影響、ソンドゥ川の渡し船事業への影響、発電所建設予定地近辺の中学校の移転及び本件計画の実施に関係する工事に伴う排水による水質汚濁等が予見されるとしている。
 右調査書に指摘されたこれらの事項について、住民の移転や一部の土地の収用に伴う住民の生活への影響及びソンドゥ川の渡し船事業への影響に対しては、補償方法及び補償内容等についての関係住民との協議及び交渉を経て、その補償手続はほぼ終了していると承知している。また、住民の移転後の生活状況については、技術委員会での議論を踏まえ、事業実施機関においてモニタリング及び評価を実施することとされているものと承知している。さらに、発電所建設予定地近辺の中学校については、既に移転済みであり、本件計画の実施に関係する工事に伴う排水及び工事関係者から発生する雑廃水についても、事業実施業者が適切に処理を行っていると承知している。

六の(2)及び(3)について

 本件計画による発電所が完成し、導水路にソンドゥ川の水を転流する際には、転流に伴うソンドゥ川の流量の減少による生態系等への影響に配慮し、乾季においても必要な河川維持流量を確保することとなっていると承知している。
 御指摘の水供給プロジェクトは、我が国の支援によって実施されているものではないが、本件計画の事業実施地域に対して当該プロジェクトの計画どおりの水供給が行われていない状況にあり、この問題の改善等を含めて技術委員会の場で議論されていると承知している。また、当該プロジェクトの進ちょく状況、社会環境の変化等を考慮し、必要に応じ、事業実施機関において河川維持流量の見直しが行われることになっていると承知しており、我が国としても、適切な対応を促していくこととしている。
 事業実施機関と地域住民との間にはお尋ねのような契約関係は存在しないが、本件計画は、河川維持流量の確保を前提として行われるものであり、我が国としても、この点に関する今後の技術委員会の検討結果が適切に実行に移されていくような体制が整備されることが重要である旨ケニア側に申入れを行っている。

六の(4)について

 平成十三年六月十九日に我が国の現地調査団がオディンガエネルギー大臣と本件計画について意見交換を行った際、青木大使から、本件計画の事業実施地域の持続的な発展のための支援を行う用意がある旨応答した経緯があるが、青木大使その他の我が国政府関係者が学校や保健施設の建設等の具体的な支援について述べた事実はない。

六の(5)について

 御指摘のマウ森林については、自然環境保護等のため、ケニアの国内法に基づき、同国の環境天然資源省森林局によって適切に管理されているものと承知している。

七の(1)及び(2)について

 御指摘の「債務持続性分析」がどのようなものを指すのか必ずしも明らかでないが、一般にある国の将来の債務持続可能性を予測するに当たっては、当該国のマクロ経済動向や輸出入の推移、その前提になる世界経済等の動向等、様々な不確定要因を総合的に勘案することとしているが、その際、国際通貨基金や世界銀行といった政府や国際協力銀行以外の機関等が行った当該国の経済に関する分析等をも参考としている。ケニアの債務持続可能性に関しても同様であり、今後も引き続き慎重に推移を見守る必要はあるが、我が国としては、ケニア側が国際通貨基金と経済の安定化を図るため貧困削減成長措置を実施することに合意していること、平成十二年十一月にパリで開催されたケニア政府代表者と関係債権国政府の代表者との間の協議において、債権国側がケニアに対し債務削減に至らない条件での債務繰延べに合意したこと、ケニア側がこれまで累次にわたり債務削減を求めない方針を明確に示していること等を踏まえて検討することとしている。なお、ケニアの債務持続可能性について調査報告書として取りまとめたものは無い。

七の(3)について

 御指摘の「事業効果の実行可能性分析」が何を指すのか必ずしも明らかでないが、外務省においては、本件計画を含む政府開発援助(以下「ODA」という。)の効果的かつ効率的な実施、ODAの質の向上、国民に対するODAの実態や成果の情報提供等の観点から、ODAに対して公平かつ客観的な評価をすることが重要であると考えている。このため、ODAの評価については、有識者、コンサルタント、国際専門家、NGO等の第三者によるものも実施してきており、その割合は年々増加している。今後とも、第三者による評価を充実させ、より公平かつ客観的な評価を行っていく考えである。

八について

 現在、本件計画の第二期分として第一期分の残りの土木工事(放水路、発電所、変電所等の整備)及び発電機等の調達に対し追加の円借款を供与することを検討中であるが、その具体的規模はいまだ確定していない。なお、この第二期分については、ケニア側が、既に第一期分の工事が進ちょく中であり、工事の円滑な実施の確保の観点から第二期分の準備を進める必要があること、第二期分の円借款について平成十一年九月に日本側から事前通報がなされていること等から、第二期分に対する円借款の実現可能性につき相当程度の見通しが得られたとの判断の下に、自らの責任により、平成十二年一月に入札手続を開始し、同年四月に受注企業を決定し、同年六月に国際協力銀行に対し入札評価結果に係る同意申請を提出したと承知している。国際協力銀行は、第二期分の供与については現在政府において検討中であるため、この入札評価結果に係る同意については、第二期分の供与についての結論が出た段階で対応を判断することとなる旨ケニア側に伝達していると承知している。
 特別環境金利は、円借款案件が水力発電事業であることから直ちに適用されるものではなく、個別具体的な計画の内容に即して、地球環境問題対策及び公害対策に資するものに適用することとされている。本件計画は、再生可能なエネルギーである水力を用いるため、火力発電所の運転に伴う化石燃料の消費及び発電に伴う温室効果ガスの発生を抑制する効果が期待されること、流れ込み式水力発電であること等環境への負荷が大きくないことから、地球環境問題対策に資する案件として特別環境金利の適用対象となると判断したものである。



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