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答弁本文情報

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平成十三年十一月六日受領
答弁第一四号

  内閣衆質一五三第一四号
  平成十三年十一月六日
内閣総理大臣臨時代理
国務大臣 福田康夫
       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員長妻昭君提出携帯電話の電波が人間の脳に与える影響に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員長妻昭君提出携帯電話の電波が人間の脳に与える影響に関する質問に対する答弁書



一について

 電気通信技術審議会は、平成九年四月、それまでの研究結果及び国際非電離放射線防護委員会(以下「ICNIRP」という。)の検討状況等を踏まえ、電波が人体に好ましくない影響を及ぼさないよう、携帯電話端末等の局所比吸収率(以下「局所SAR」という。)の一般環境における基準値を毎キログラム当たり二ワットとすべきである旨の答申を行っている。
 また、これまでに我が国を始め世界各国で動物実験等を含む多くの電波の安全性評価に関する研究が実施されており、これらの研究においては毎キログラム当たり二ワットの強さの電波が人体に好ましくない影響を及ぼすとの科学的な証拠は示されていない。
 政府としては、これらのことから、局所SARの一般環境における基準値として毎キログラム当たり二ワット(以下「本件基準値」という。)を採用したものである。
 なお、本件基準値は、ICNIRPにより平成十年四月に発表された時間変化する電界、磁界及び電磁界へのばく露制限のためのガイドライン(以下「国際ガイドライン」という。)に定められている局所SARの一般環境における基準値(以下「国際ガイドラインの基準値」という。)と同一であり、世界保健機関(以下「WHO」という。)は、平成十二年六月に「ICNIRPにより作成された国際ガイドラインは、これまでに判明している全ての電波による危険に対して防護できるよう、かなり安全な値になっている」との見解を示している。また、本件基準値と同一の基準値は、欧州委員会に加盟する国を始め多くの国で採用されている。

二について

 電波による人体への影響としては、人体が非常に強い電波にばく露された場合に、ばく露された部位に温度上昇が生ずるという熱作用等が知られている。
 局所SARがどの程度の数値になると人体に好ましくない影響を及ぼすかについては、電波がばく露された部位により影響が異なるため一概には言えないが、例えば、血流がなく熱拡散が生じにくいため最も熱作用を受けやすいと考えられる器官である眼球について、国際ガイドラインにおいて、局所SARで毎キログラム当たり百三十八ワット相当となる電波を二時間又は三時間ばく露すると白内障が生ずることが報告されている。

三から五までについて

 一についてで述べたとおり、本件基準値は、科学的根拠に基づくものであり、また国際ガイドラインに従ったものであるから、現時点において本件基準値を変更する必要はないものと考えている。また、WHOは、平成十二年六月、国際ガイドラインの基準値を遵守すべきとする旨の勧告を行っている。
 なお、我が国としては、今後も電波の安全性評価に関する研究等を継続し、本件基準値の根拠となる科学的データの信頼性向上を図るとともに、WHO及びICNIRPが推進している国際的な基準値の調和に関する活動に積極的に貢献していく所存である。

六について

 本件基準値の採用は、平成九年四月の電気通信技術審議会答申を踏まえ、科学的根拠に基づくものであり、御質問にあるような「現行携帯電話の販売に影響を与えないこと」について考慮したという事実はない。



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