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平成十四年二月五日受領
答弁第二九号

  内閣衆質一五三第二九号
  平成十四年二月五日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員金田誠一君提出小泉政権におけるテロリズムに対する認識に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員金田誠一君提出小泉政権におけるテロリズムに対する認識に関する再質問に対する答弁書



一の1について

 種々の情報を総合的に勘案すれば、オサマ・ビン・ラーデンの率いるアル・カイダが、お尋ねのアメリカ合衆国(以下「米国」という。)における「同時多発テロ」(以下「今回のテロ攻撃」という。)に関与しているとの米国の説明は、政府として十分説得力のあるものと判断している。
 政府としては、オサマ・ビン・ラーデンが、例えば、平成十一年一月十一日発行の米国の雑誌タイムに掲載された記事において、記者の質問に答える形で、「マホメットが生誕しコーランが彼に啓示を与えた地の至る所で異教徒がうろついている。(中略)イスラム教徒は怒っている。米国人は、自分達が行う不正義に対するイスラム世界からの反発を覚悟すべきである。(中略)米国に対する攻撃は宗教上の義務であり、(中略)イスラム教徒はいわゆる超大国米国の伝説を終わらせることができると確信している。」と述べ、今回のテロ攻撃についても、平成十三年十月八日にアル・ジャズィーラ衛星放送によって放映されたビデオ・テープの映像において、「我々が我々の地及びパレスチナにおいて安全と安心を感じることがない限り、米国は夢を見ることはなく、米国に住む者は安全と安心を享受することはないと偉大なる神に誓う。」と述べるなど、かねてから米国の対イスラム諸国政策を強く批判する見解を表明してきていると承知している。このことから、政府としては、オサマ・ビン・ラーデンが右のような見解を含む独自の主義主張を有しており、今回のテロ攻撃は、そのような主義主張に基づき行われたものであって、テロリズムに当たると考えている。

一の2について

 平成十三年十一月二十七日に提出した御指摘の答弁書の引用部分は、平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法(平成十三年法律第百十三号)第一条にいう「テロ攻撃によってもたらされている脅威」の意味を述べたものであり、同答弁書提出時における政府の認識を述べたものではない。

二の1について

 一般国際法上、ある国家が自衛権を行使するための要件は、国家又は国民に対する外部からの急迫不正の侵害があること、これを排除するのに他に適当な手段がないこと、必要最小限度の実力の行使であることと一般的に考えられており、国際連合憲章(以下「国連憲章」という。)第五十一条は、この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない旨規定している。

二の2について

 例えば、国際連合安全保障理事会決議第千三百七十三号において、安全保障理事会は、国連憲章第七章の下に行動して、すべての国はテロリズムを行う者への資金提供の防止等をしなければならないこと等を決定する一方、国連憲章にいう「個別的又は集団的自衛の固有の権利」について改めて言及しており、その意味で、この決議は今回のテロ攻撃に対応して米国等が個別的又は集団的自衛権を行使し得ることを確認したものと考えられる。

三について

 お尋ねの「陸戦ノ場合ニ於ケル中立国及中立人ノ権利義務ニ関スル条約」(明治四十五年条約第五号)及び「海戦ノ場合ニ於ケル中立国ノ権利義務ニ関スル条約」(明治四十五年条約第十二号)は、現在も有効であり、例えば、「記名国ニ非サル諸国」がお尋ねの両条約に「加盟」する場合や「締約国」がお尋ねの両条約を「廃棄」する場合は、両条約の関係規定(前者の条約については第二十二条及び第二十四条、後者の条約については第三十条及び第三十二条)に基づいて手続等が行われることとなる。
 しかしながら、これらの条約は、国際法上一般に戦争が違法とされていなかった時代に作成されたもので、戦争が違法化された国連憲章の下では、戦争が違法でないことを前提とした「中立国」という概念は用いられなくなっており、現在では、お尋ねの両条約における中立国に係る規定がそのまま適用されるものではないと考えている。一般論として言えば、戦争犠牲者の保護といった国際人道法の基本原則に係る規定等については、一定の状況の下では、基本的にこれらに従った取扱いがされるべきものと考えるが、その他の規定については、確定的にお答えすることは困難である。



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