平成十三年に報告があったせん之素こう嚢に関する七件の肝機能障害症例については、医療機関及び薬局から医薬品等の使用によると疑われる副作用等（医薬品等の使用との因果関係が明確でないものを含む。）に関する情報を収集する制度である「医薬品等安全性情報報告制度」を通じて、医療機関から厚生労働省に報告があったところである。当該報告を受けた厚生労働省の課は医薬局安全対策課であり、当時の同課の課長は黒川達夫であり、当時の同局の局長は宮島彰である。

　平成十三年に報告があった七件の肝機能障害症例の概要は、別表第二のとおりである。

　せん之素こう嚢による肝機能障害症例の可能性については、平成十三年に肝機能障害症例の報告があった時点で製品に記載されている成分に関して専門家に照会したところ、肝機能障害の原因と考えられる成分はないとの回答があり、また、製品に記載されている成分以外にも甲状腺を乾燥させ、破砕した甲状腺末が含まれていることは判明していたが、甲状腺末が肝機能障害の原因となるという知見はなかった。このため、せん之素こう嚢と肝機能障害との因果関係について確証を得るまでには至らず、これらの症例を公表しなかったものである。

　御指摘の時点において、せん之素こう嚢の成分分析等は実施していない。

　一般に、ある製品を原因とする健康被害が発生する場合には長期間継続して発生することが多いが、平成十三年におけるせん之素こう嚢に関する症例の報告は短期間（同年七月から同年十一月まで）で途絶えている。また、肝機能障害は飲食、輸血、血液製剤の使用、薬物の乱用、性行為等を介したウィルス感染、アルコール、医薬品、自己免疫疾患、胆道疾患など様々な要因によって生ずることが知られており、同年に報告があった症例には他の医薬品を併用しているもの、飲酒しているもの、せん之素こう嚢を対象とするリンパ球刺激試験が陰性であるもの等があり、肝機能障害の原因としてせん之素こう嚢以外の要因が疑われたことから、せん之素こう嚢の成分分析等を実施しなかったものであり、当時の対応として問題はなかったものと考えている。

　本年六月以降、個人輸入された中国製ダイエット食品の摂取後に発生した健康被害についての医療機関からの情報提供が相次いだため、健康被害の拡大防止の観点からその製品名を公表することとしたものである。なお、これらの情報提供に係る事例において実際に摂取されていた中国製ダイエット食品を入手し、成分分析を行っているが、現時点では肝機能障害の原因は判明していない。

　せん之素こう嚢に肝機能障害を引き起こす成分が含まれているか否かは現時点でも明らかではないが、平成十三年当時とは異なり、現在は複数の中国製ダイエット食品に関連して死亡例及び生体肝移植手術例を含む重篤な肝機能障害が発生するという異常な事態となっており、また、他の中国製ダイエット食品による健康被害の拡大も懸念されることから、個々の中国製ダイエット食品と肝機能障害との因果関係について確証を得ていないものの、消費者等に対して警告を発する必要があると判断し、本年七月十二日、同年に入ってから報告があった複数の中国製ダイエット食品による五件の肝機能障害症例（死亡例等の重篤な症例を含む。）とともにせん之素こう嚢と御芝堂減肥こう嚢の名称を公表し、併せて平成十三年のせん之素こう嚢による七件の肝機能障害症例も公表したものである。なお、肝機能障害等の症状が出ている人に対しては、医療機関、保健所等への相談を勧めるとともに、保健所等を通じて健康被害の把握を行うこととしている。