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平成十五年三月十一日受領
答弁第二九号

  内閣衆質一五五第二九号
  平成十五年三月十一日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員原陽子君提出独立行政法人水資源機構に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員原陽子君提出独立行政法人水資源機構に関する質問に対する答弁書



1について

 独立行政法人水資源機構(以下「水資源機構」という。)の業務運営の効率化については、独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二十九条第一項により主務大臣が指示する目標(以下「中期目標」という。)に基づいて同法第三十条第一項により水資源機構が作成する当該中期目標を達成するための計画(以下「中期計画」という。)において定められる「業務運営の効率化に関する目標を達成するためとるべき措置」を実現することによりその具体化が図られることとなる。その際、独立行政法人評価委員会において各事業年度及び中期目標の期間に係る業務運営の効率化等の業務の実績に関して評価を行うことにより、その実効性が確保されることとなると考えている。また、業務運営の効率化による具体的な費用削減の内容については、中期計画が具体化される中で明らかになっていくものと考えている。
 なお、平成十五年度政府予算案を基に水資源開発公団(以下「公団」という。)が算出した公団及び水資源機構に係る事業費(一般勘定に係るものに限る。)は、約三千百六十億円であり、平成十四年度とほぼ同額となっている。

2について

 国家公務員及び特殊法人の職員の再就職後の状況は、公務を離れた個人に関する情報であり、一般に政府が把握すべき立場にないことから、お尋ねの事項すべてについてお答えすることは困難である。
 なお、国家公務員を指定職以上で退職した者のうち公団の役員に就いているものの状況については、「特殊法人のディスクロージャーについて」(平成七年十二月十九日閣議決定)に基づき、既に公表されているところであり、その役職名及びそれぞれの平均在職期間の平成十四年十二月三十一日現在の状況(以下「現況」という。)は、別表第一のとおりである。また、公団の退職者で株式会社水の友(現在の株式会社アクアテルス)の役員に就いているものの状況については、「特殊法人等整理合理化計画」(平成十三年十二月十九日閣議決定)及び「公務員制度改革大綱」(平成十三年十二月二十五日閣議決定)に基づき、既に公表されているところであり、その役職名及びそれぞれの平均在職期間の現況は、別表第二のとおりである。
 国家公務員の公団への再就職及び公団の職員の民間企業等への再就職は、現在も、それぞれの職員の能力等に基づいて適正に行われているものと考えており、このことは、公団が水資源機構に移行した後においても同様であると考えている。

3の(一)及び(二)について

 公団が実施している九のダム建設事業について、現時点において、「特殊法人等整理合理化計画」において示された「利水者が負担金を前払いする方式」の導入が決定された事業はなく、したがって、お尋ねの「前払い方式の導入の仕方」についても決まっていないと承知している。今後、同計画において「コスト意識を高める観点から、新たに利水者が負担金を前払いする方式を導入し、可能な限りその活用に努める」こととされていることを踏まえ、同方式の導入に関して、その導入の時期を含めて、公団がダム建設事業に参加する利水者と共に検討することとなると承知している。

3の(三)について

 公団の事業には、地方公共団体、利水者等の多数の関係者が費用負担を前提として主体的に参加しており、公団がそれらの間の複雑な利害調整や合意形成を行うことによって、一元的かつ効率的な事業の実施が可能となるものと考えている。公団が水資源機構に移行した後においても基本的にこの仕組みは変わらないものの、主務大臣の関与縮減に伴う組織運営上の裁量及び自律性の拡大、独立行政法人評価委員会による業務運営の効率化等の業務の実績に関する評価等により、従来にも増して事業の効率的な執行及び透明性が確保されるものと考えている。

3の(四)について

 主務大臣の関与縮減に伴う組織運営上の裁量及び自律性の拡大、独立行政法人評価委員会による業務運営の効率化等の業務の実績に関する評価等を指している。

4の(一)について

 「木曽川水系における水資源開発基本計画」(平成五年三月二十六日閣議決定。以下「基本計画」という。)の策定に当たっては、岐阜県内の木曽川水系に水道用水の供給を依存する地域全体についての水道用水の需要予測を行ったものであり、お尋ねの十四市町の水道事業ごとの個々の需要予測は行っていない。
 岐阜県を通じて調査したところ、徳山ダムが完成した場合のお尋ねの十四市町それぞれの利水予定量は、現時点においてはいずれの市町においても未定であり、したがって、十四市町それぞれの利水予定量の根拠となる資料も存在しないとのことであった。
 お尋ねの十四市町の水道事業における平成十三年度の水需要実績及びその水源は、別表第三のとおりである。
 基本計画の策定に当たって、徳山ダムから工業用水の供給を受けることを予定されている地域の工業用水の水需要予測について、岐阜県から説明を受けたことを示す記録は残されていない。

4の(二)について

 基本計画は、水資源開発促進法(昭和三十六年法律第二百十七号)に基づき、木曽川水系における平成十二年度までを目途とする水の用途別の需要の見通し及び供給の目標、この供給の目標を達成するため必要な施設の建設に関する基本的な事項等を定めたものである。
 一方、平成六年に岐阜県が策定した「岐阜県水資源長期需給計画」(以下「県計画」という。)は、同年に策定された「岐阜県第五次総合計画」と整合をとりながら、平成二十二年を目標年次として、岐阜県内の水需要と水資源の開発可能量を予測して、岐阜県全域の水需給の見通しと課題を示したものである。
 基本計画において供給の目標を達成するため必要な施設とされた水資源開発施設は、県計画において平成二十二年における水の供給量を確保するための施設の一部として位置付けられている。

4の(三)について

 国土交通省においては、「渇水」について、河川の管理を行うに当たり、降雨が少ないこと等により河川の流量が減少し、河川からの取水を平常どおり継続するとダムの貯水が枯渇すると想定される場合等に、取水量を減ずるいわゆる取水制限を行う等、利水者が平常時と同様の取水を行うことができない状態を指すものとして使用している。
 また、平成十四年十一月二十七日付けで原陽子衆議院議員に提出した「木曽川水系における取水制限の状況」(以下「取水制限に関する提出資料」という。)において記載したお尋ねの「四十七回の取水制限」は、ダムごとに区分して示したものであり、期間が重複するものを一回の渇水として数えると合計二十九回となることから、通常、木曽川水系の渇水について、過去三十年間に約三十回の渇水が発生したとの表現を用いているものである。

4の(四)について

 お尋ねの「揖斐川での取水制限四回」とは、取水制限に関する提出資料中の揖斐川における四回の取水制限のことを指すものと思われるが、4の(三)についてで述べたとおり、これらはいずれも渇水の状態にあったものと考えている。
 岐阜県によれば、揖斐川における個別の取水制限に伴う「農業被害額」は不明であるとのことである。
 なお、農業用水の取水制限による農作物被害の発生を防ぐため、土地改良区、個々の農家等において、渇水情報の周知徹底、地区ごとに順次給水する輪番かんがいの実施等の取組が行われており、農業用水の取水制限が必ずしも農作物被害につながるものではない。

4の(五)について

 お尋ねの取水制限について被害状況の調査を行ったところ、水道用水、工業用水及び農業用水の取水制限に伴う被害状況は、それぞれ別表第四から別表第六までのとおりである。

4の(六)について

 木曽川水系においては、基本計画を踏まえ、従来から水資源の総合的な開発を図るとともに、ダム等を水源として取水することが可能となる水量(以下「開発水量」という。)の利水者間の転用を含め利用の合理化に努めることとしているところである。
 御指摘の「東から西へ渇水対策のために相互融通する」との趣旨が必ずしも明らかではないが、これまでに、木曽川水系においては、岩屋ダムによる開発水量のうち、岐阜県の工業用水毎秒〇・八立方メートルを同県の水道用水として、三重県の工業用水毎秒二立方メートルを愛知県地域の水道用水として、また、長良川河口堰による開発水量のうち、三重県の工業用水毎秒二立方メートルを愛知県の工業用水として、それぞれ転用した実績があり、今後とも、基本計画の趣旨を踏まえ、水資源の利用の合理化に努めることとしている。

4の(七)について

 御指摘の「緊急な渇水対策」の趣旨が必ずしも明らかではないが、揖斐川から木曽川への導水については、利水者である関係県市等の意見を踏まえて検討してまいりたい。

4の(八)について

 木曽川水系における渇水時の緊急対策としては、関係利水者、河川管理者等により構成される木曽川水系緊急水利調整協議会において調整を行い、一時的な水融通を実施してきており、4の(六)についてで述べたとおり、今後とも、基本計画の趣旨を踏まえ、水資源の利用の合理化に努めることとしている。

4の(九)について

 御指摘の「二十五市町村」とは、「揖斐川流域住民の生命と生活を守る市町村連合」(以下「市町村連合」という。)に参加している大垣市等の二十五の市町村(以下「二十五市町村」という。)のことを指すものと思われるが、徳山ダム建設事業の推進については、二十五市町村の他に、利水者である岐阜県及び愛知県から要望がなされている。
 また、関係地方公共団体等で構成される「岐阜県木曽三川改修工事促進期成同盟会」、「岐阜県水防協会」、「岐阜県河川協会」及び「木曽三川下流改修工事促進期成同盟会」からも要望がなされている。

5の(一)について

 二十五市町村が参加する市町村連合は、揖斐川流域全体の治水安全度の向上を図るために「揖斐川改修、徳山ダム建設、横山ダム再開発等の促進を、強力かつ積極的に推進する」ことを目的としており、このような目的に沿って、二十五市町村から徳山ダム建設事業の推進についての要望がなされているものと認識している。
 また、徳山ダムは、揖斐川において百年に一回発生する規模の洪水(以下「計画規模の洪水」という。)を安全に流下させるため、その洪水調節により、下流河川の水位の低下を図るものであるところ、計画規模の洪水のピーク時に揖斐川の基準地点である万石(以下「万石地点」という。)において最大約一・四メートルの水位を低下させるという治水効果を有するものと試算している。過去に起きた洪水について同様に計算すると、例えば、昭和五十年八月に発生した洪水では約〇・五メートル、平成十年十月に発生した洪水では約〇・六メートル、それぞれ水位を低下させる効果があったものと試算している。
 なお、徳山ダムによる洪水調節が行われた場合に過去に起きた洪水による被害をどの程度減ずる効果があったものと考えられるかについては、一般的にダムの治水効果を示すに当たってこのような試算は必ずしも必要な事項とはされていないこと、洪水のあった時点における揖斐川の本川及び支川、流域等の状況が必ずしも明らかではないこと等により、その試算は行っていない。

5の(二)及び(三)について

 5の(一)についてで述べたとおり、御指摘の町村については、市町村連合の目的に沿って、徳山ダム建設事業の推進についての要望がなされているものと聴いている。

5の(四)について

 お尋ねは、平成十四年十一月二十七日付けで原陽子衆議院議員に提出した「十二回の大きな洪水と被害のあった地域」(以下「洪水と被害に関する提出資料」という。)に関するものと思われるが、洪水と被害に関する提出資料中のお尋ねの「昭和三十四年八月に起きた二名の死者・行方不明の被害」の部分は、昭和四十年に岐阜県が作成した「昭和三十四・三十五・三十六年連年災害復興誌」(以下「連年災害復興誌」という。)に基づき作成したものであるところ、連年災害復興誌においては、「不破郡垂井町岩手菩堤で一名が菩堤川に転落、行方不明となり捜索に当たった(八・十三死体発見)」、「養老郡上石津村和田地内の牧田川で、増水のため仮橋とともに流された行方不明者一名の捜索に当たった」と記載されている。
 また、連年災害復興誌によれば、お尋ねの被害のあった市町村ごとの被害状況は、別表第七のとおりである。

5の(五)について

 お尋ねは、洪水と被害に関する提出資料に関するものと思われるが、洪水と被害に関する提出資料中のお尋ねの「昭和三十四年九月に起きた二十九名の死者・行方不明の被害」の部分は、連年災害復興誌に基づき作成したものであるところ、連年災害復興誌においては、海津町において二名の死者及び三名の行方不明、南濃町において一名の死者及び一名の行方不明、養老町において一名の死者、上石津村において二名の死者、輪之内町において一名の死者、春日村において一名の死者及び一名の行方不明、久瀬村において一名の死者、坂内村において二名の死者及び十一名の行方不明、本巣村において一名の死者並びに巣南村において一名の死者である旨が記載されているが、これらの原因については記載されていない。
 また、連年災害復興誌によれば、お尋ねの被害のあった市町村ごとの被害状況は、別表第八のとおりである。

5の(六)について

 お尋ねは、洪水と被害に関する提出資料に関するものと思われるが、洪水と被害に関する提出資料中のお尋ねの「昭和三十五年八月に岐阜県下で起きたとされる洪水」の際の被害状況の部分は、連年災害復興誌に基づき作成したものであるところ、お尋ねの「死者・行方不明者や浸水家屋数、場所などが記録されていない」理由は、連年災害復興誌に当該事項に関する記載がないためである。

5の(七)について

 お尋ねは、洪水と被害に関する提出資料に関するものと思われるが、洪水と被害に関する提出資料中のお尋ねの「昭和三十六年九月に起きた一名の死者・行方不明の被害」の部分は、連年災害復興誌に基づき作成したものであるところ、連年災害復興誌においては、大垣市において一名の死者である旨が記載されているが、その原因については記載されていない。
 また、連年災害復興誌によれば、お尋ねの被害のあった市町村ごとの被害状況は、別表第九のとおりである。

5の(八)について

 お尋ねは、洪水と被害に関する提出資料に関するものと思われるが、洪水と被害に関する提出資料中のお尋ねの「昭和四十年九月に起きた一名の死者・行方不明の被害」の部分は、平成五年に岐阜県及び岐阜地方気象台が作成した「岐阜県災異誌」(以下「災異誌」という。)に基づき作成したものであるところ、災異誌においては、県下で一名の死者・行方不明である旨が記載されている。
 お尋ねの「どの町のどのような場所で、どのような原因で発生したどのような被害か」については、昭和四十一年に岐阜県が作成した「昭和四十年消防防災年報」においては、徳山村において「徳山小学校の裏手の山に土砂崩れが起り同小学校が押し潰された」ことにより一名が死亡した旨が記載されている。
 また、お尋ねの「被害があった自治体名が記録されていない」理由は、災異誌に当該事項に関する記載がないためである。
 なお、「被害実態がわからないままで、徳山ダムの治水機能に何を期待するのか」との趣旨が必ずしも明らかではないが、徳山ダムの治水効果は、5の(一)についてで述べたとおりである。

5の(九)について

 お尋ねは、洪水と被害に関する提出資料に関するものと思われるが、洪水と被害に関する提出資料中のお尋ねの「昭和四十七年九月に起きた一名の死者・行方不明の被害」の部分は、災異誌に基づき作成したものであるところ、災異誌においては、県下で一名の死者・行方不明である旨が記載されている。
 お尋ねの「どの町のどのような場所で、どのような原因で発生したどのような被害か」については、昭和四十八年に岐阜県が作成した「昭和四十七年消防防災年報」においては、「加茂郡白川町において死者一人」と記載されているが、その原因については記載されていない。
 また、お尋ねの「被害があった自治体名が記録されていない」理由は、災異誌に当該事項に関する記載がないためである。
 なお、「被害実態がわからないままで、徳山ダムの治水機能に何を期待するのか」との趣旨が必ずしも明らかではないが、徳山ダムの治水効果は、5の(一)についてで述べたとおりである。

5の(十)について

 お尋ねは、洪水と被害に関する提出資料に関するものと思われるが、洪水と被害に関する提出資料中のお尋ねの「昭和五十年八月に起きた洪水」の際の被害状況の部分は、災異誌に基づき作成したものであるところ、お尋ねの「被害があった自治体名が記録されていない」理由は、災異誌に当該事項に関する記載がないためである。
 なお、「被害実態がわからないままで、徳山ダムの治水機能に何を期待するのか」との趣旨が必ずしも明らかではないが、徳山ダムの治水効果は、5の(一)についてで述べたとおりである。

5の(十一)について

 お尋ねは、洪水と被害に関する提出資料に関するものと思われるが、洪水と被害に関する提出資料中のお尋ねの「昭和五十一年九月に起きた一名の死者・行方不明の被害」の部分は、昭和五十三年に建設省中部地方建設局木曽川上流工事事務所が作成した「昭和五十一年九・十二豪雨被害状況調査資料」に基づき作成したものであるところ、同資料においては、安八町において一名の死者である旨が記載されている。
 お尋ねの「どのような原因で発生したどのような被害か」については、昭和五十二年に岐阜県が作成した「昭和五十一年九・十二豪雨災害誌」においては、当該被害について、「安八町では増水により危険となった長良川の堤防補強のため水防協力中の地元区長が決壊とともに濁流にさらわれ」と記載されている。
 また、昭和五十三年に建設省河川局が作成した「昭和五十一年水害統計」(以下「昭和五十一年水害統計」という。)によれば、お尋ねの被害のあった市町村ごとの被害状況は、別表第十のとおりである。

5の(十二)について

 お尋ねは、洪水と被害に関する提出資料に関するものと思われるが、洪水と被害に関する提出資料中のお尋ねの「平成元年九月に起きた一名の死者・行方不明の被害」の部分は、平成二年に岐阜県が作成した「平成元年九・七豪雨災害九・二十豪雨災害(台風二十二号)災害誌」に基づき作成したものであるところ、同資料においては、根尾村において一名の死者である旨が記載されているが、その原因については記載されていない。

5の(十三)について

 お尋ねは、洪水と被害に関する提出資料に関するものと思われるが、洪水と被害に関する提出資料中のお尋ねの「平成二年九月に起きた一名の死者・行方不明の被害」の部分は、災異誌に基づき作成したものであるところ、災異誌においては、県下で一名の死者・行方不明である旨が記載されている。
 お尋ねの「どの町のどのような場所で、どのような原因で発生したどのような被害か」については、平成三年に岐阜県が作成した「平成二年消防防災年報」においては、岐阜市において死者が一名である旨が記載されているが、その原因については記載されていない。
 また、平成四年に建設省河川局が作成した「平成二年水害統計」によれば、お尋ねの被害のあった市町村ごとの被害状況は、別表第十一のとおりである。

5の(十四)について

 お尋ねは、洪水と被害に関する提出資料に関するものと思われるが、洪水と被害に関する提出資料中のお尋ねの「平成十年十月に起きたとされる洪水により唯一被害を受けた公共土木施設」の部分は、平成十二年に建設省河川局が作成した「平成十年水害統計」に基づき作成したものであるところ、同資料においては、その原因については記載されておらず、また、お尋ねの被害のあった町村ごとの被害状況は、別表第十二のとおりである。

5の(十五)について

 お尋ねは、洪水と被害に関する提出資料に関するものと思われるが、洪水と被害に関する提出資料中のお尋ねの「平成十四年七月に起きたとされる自治体での被害状況」の部分は、平成十四年七月十六日に国土交通省中部地方整備局が作成した「台風六号に関する状況報告」に基づき作成したものであるところ、同資料によれば、お尋ねの被害のあった市町村ごとの被害状況は、別表第十三のとおりである。

5の(十六)について

 お尋ねの「昭和五十一年九月の豪雨」の際の「浸水の水位と面積」については、平成三年に建設省河川局が作成した「全国浸水実績図[U]北陸・中部・近畿編」によれば、大垣市上面地先の湛水深は一・二三メートルとなっており、また、昭和五十一年に大垣市が作成した「大垣市九・十二豪雨災害概況図」によれば、大垣市において浸水が確認された地域の総面積は約四千九百ヘクタールとなっている。
 当該豪雨の際の万石地点の水位を警戒水位を超えた期間について時間ごとに示すと、別表第十四のとおりであり、また、当該豪雨の際に徳山ダムによる洪水調節が行われたと仮定した場合の万石地点の水位を試算すると、別表第十五のとおりである。
 当該豪雨の際に、「仮に徳山ダムが存在したら」大垣市域における「浸水の水位と面積はどの程度縮小された」かについては、5の(一)についてで述べたとおり、試算を行っていない。
 「その後の排水施設の整備により当時と同じ状況であれば、一部地域(大垣市荒崎地区のような)を除いて浸水被害はないという説明を受けている者が居る」との御指摘については、国土交通省がそのような説明を行った事実はないが、大垣市の治水対策を行う上で、排水施設の整備だけで浸水被害を完全に防ぐことは困難であり、揖斐川本川及び支川の河川改修を進めるとともに、徳山ダムの建設により揖斐川本川及び支川の水位を低下させ、揖斐川全体についての治水安全度の向上を図ることが必要不可欠であると考えている。

5の(十七)について

 御指摘の「昭和五十一年九月の豪雨」の際に安八町及び墨俣町で発生した被害については、昭和五十一年水害統計においては、「水害原因」として破堤である旨が記載されており、長良川の堤防の決壊が原因であったと考えられる。

5の(十八)について

 平成十四年七月の台風第六号に伴う降雨の実績値に基づいて、その時点において想定される徳山ダムの貯水量を踏まえ、徳山ダムの洪水調節による洪水のピーク時における揖斐川の水位の低下の効果を計算すると、万石地点において約〇・四三メートルと試算される。
 なお、徳山ダムについて、計画規模の洪水について同様の効果を計算すると、5の(一)についてで述べたとおり、万石地点において最大約一・四メートルの水位が低下すると試算していることから、御指摘のとおり「最大一メートル四十センチの揖斐川の水位を下げられる」と答弁したものである。

5の(十九)について

 5の(十八)についてで述べたとおり、徳山ダムが完成していれば、その洪水調節により揖斐川本川での洪水のピーク時における水位を低下させる効果があったものと考えており、これに伴い揖斐川の支川である牧田川、杭瀬川、大谷川等においても水位が低下したものと考えられる。
 大谷川右岸の洗堰(以下「洗堰」という。)は、その近傍の堤防より約一・二メートル低いことから、右に述べたような水位の低下により、越流が完全に防止されるものではないが、越流する水量の減少には効果があったものと考えている。

5の(二十)について

 御指摘の趣旨が必ずしも明らかではないが、揖斐川の支川である相川、大谷川等の岐阜県が管理する区間については、岐阜県において上下流の治水安全度のバランスを考慮しながら昭和三十一年度に中小河川改修事業として河川改修に着手し順次実施してきているところ、当該区間の堤防の補強、洗堰のかさ上げ等の事業については、岐阜県において、洗堰のかさ上げまでを実施する第一期計画及び洗堰を解消する第二期計画を示し、地域の合意形成を図りながら、区間内の均衡が保たれた治水対策となるよう、段階的な河川改修の中に洗堰のかさ上げ等を位置付け、事業の推進に努めているところであると承知している。一方、徳山ダムの建設は、昭和四十年四月に建設大臣が策定した木曽川水系工事実施基本計画(以下「工事実施基本計画」という。)に基づき実施されているものであり、「洗堰問題の解決を「徳山ダム完成以降」に引き延ばしてきた」との御指摘は、当たらないものと考えている。

5の(二十一)について

 「流域の豪雨による過去の被害実態と、徳山ダムによる防災効果にはズレがある」との御指摘の趣旨が必ずしも明らかではないが、揖斐川全体について治水安全度の向上を図るため、工事実施基本計画に基づき、徳山ダム等のダム建設と揖斐川の河川改修との適切な役割分担の下で、計画的な治水対策を実施することとしている。
 したがって、「ダムを推進するだけで終始し、防災のための、より直接的かつ効率的な対策をおろそかにしてきたのではないか」との御指摘は当たらないと考えている。

5の(二十二)について

 お尋ねの「危険区域の指定や警告、移転などの防災対策」が具体的に何を指すのかが必ずしも明らかではないが、揖斐川流域市町村では、次の対策が講じられていると承知している。
 揖斐川町、大野町、池田町及び坂内村については急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和四十四年法律第五十七号)第三条の急傾斜地崩壊危険区域内に、糸貫町については同区域に準ずる区域内に、それぞれ建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第三十九条の規定に基づき岐阜県知事が災害危険区域を指定している。
 また、大垣市、南濃町、養老町、上石津町、垂井町、関ヶ原町、揖斐川町、谷汲村、大野町、池田町、春日村、久瀬村、藤橋村、坂内村、本巣町、糸貫町及び根尾村については、岐阜県が土砂災害危険区域図を作成するとともに、当該市町村が同区域図を住民に配布し、防災意識の普及及び土石流等の情報の提供に努めている。

6の(一)について

 小石原川ダムを利用して流水を水道の用に供することを予定している者(以下「利水参加予定者」という。)から平成十年度以降に行われた小石原川ダム建設事業の推進に関する要請の時期及び形式については、平成十四年十二月一日現在の状況を調査した限りでは、別表第十六のとおりである。

6の(二)について

 利水参加予定者は、小石原川ダムを水源として、日量五万六千百六十立方メートルの水道用水を新規に取水する予定であると承知している。また、工業用水及び農業用水については、小石原川ダムから新規に取水する予定はないと承知している。

6の(三)について

 利水参加予定者の小石原川ダム建設事業に要する費用の負担額は現時点では決まっておらず、今後、公団において利水参加予定者の意見を聴くとともにその同意を得た上で確定されることとなるものと承知している。

6の(四)及び(五)について

 利水参加予定者の小石原川ダム建設事業に要する費用の負担の方法は現時点では決まっておらず、今後、公団において利水参加予定者と共に検討することとなると承知している。

6の(六)について

 お尋ねの事項については、福岡県を通じて調査した限りでは、別表第十七のとおりである。また、お尋ねの水需要予測又は利水予定量の根拠となった資料等は、福岡県からの照会に対し利水参加予定者が回答した文書である。

6の(七)について

 お尋ねの渇水の定義については、4の(三)についてで述べたものと同じである。また、過去三十年間に渇水に伴って利水参加予定者が実施した取水制限の状況については、平成十五年一月一日現在で調査した限りでは、別表第十八のとおりである。

7の(一)について

 御指摘のとおり、長良川河口堰の未使用の工業用水については、愛知県が策定した「愛知2010計画(第七次愛知県地方計画)」及び三重県が策定した「水資源総合利用の基本方向」(以下「愛知県地方計画等」という。)を踏まえ、中部国際空港の開港や高速交通網の整備等による企業立地を含めた各県の産業振興に伴う工業用水需要量の増加や、現在地下水に依存している工業用水の水源の転換等の理由から、中部圏地域の将来の発展のために必要とされているものと考えている。

7の(二)について

 お尋ねの中部国際空港における上水道使用量及び工業用水使用量は、中部国際空港株式会社によれば、上水道使用量については中部国際空港の開港直後の年度である平成十七年度において年間約百万立方メートルと予測しているとのことであり、工業用水については現在のところ使用は予定していないとのことである。
 また、中部国際空港株式会社によれば、中部国際空港に水道用水を供給するために必要な施設等の事業費は、中部国際空港株式会社が負担しているとのことである。

7の(三)について

 お尋ねの関西国際空港における上水道使用量及び工業用水使用量は、関西国際空港株式会社によれば、上水道使用量については平成十三年度実績で年間約百三十二万立方メートルであるとのことであり、工業用水については使用されていないとのことである。
 また、関西国際空港に水道用水を供給している導水管等の工事費用の額は、工事を実施した泉佐野市によれば、総額で約三十九億円であり、このうち関西国際空港に水道用水を供給するために必要な施設の事業費である約十九億円は、関西国際空港株式会社が負担しているとのことである。

7の(四)について

 平沼経済産業大臣は、愛知県地方計画等に記載されている第二東名高速道路、第二名神高速道路等の高速交通網を指して「高速交通網」と答弁したものである。

7の(五)について

 お尋ねは、愛知県地方計画等の内容に関するものであるところ、企業立地の実現可能性については、一義的にはその策定主体である愛知県及び三重県が責任を持つものと考えている。

7の(六)について

 お尋ねは、愛知県地方計画等の内容に関するものであるところ、その策定主体である愛知県及び三重県によれば、愛知県の尾張地域並びに三重県の北勢及び中勢地域であるとのことである。

7の(七)について

 お尋ねは、愛知県地方計画等の内容に関するものであるところ、その策定主体である愛知県及び三重県によれば、「企業立地に伴う工業用水需要量」として、要因別の算出は行っていないとのことである。

7の(八)について

 お尋ねは、愛知県地方計画等の内容に関するものであるところ、その策定主体である愛知県及び三重県によれば、中部国際空港の開港や高速道路網の整備等に伴う具体的な立地産業を想定して工業用水需要量を積み上げたものではないことから、「工業用水が必要な産業」について、その具体的な業種は特定できないとのことである。

7の(九)について

 御指摘の「未利用だった料金」とは、長良川河口堰の建設負担金及び管理負担金のうち未使用の工業用水に係るものを指すと考えられるが、当該負担分を負担している愛知県及び三重県によれば、その負担分については、基本的には、今後の需要動向に応じて工業用水道を整備した上でその利用者である企業が負担する工業用水料金から回収する考えであるとのことである。


別表第一 公団の役員に就いている者の役職名及びそれぞれの平均在職期間


別表第二 株式会社水の友の役員に就いている者の役職名及びそれぞれの平均在職期間


別表第三 14市町の水道事業における平成13年度の水需要実績及びその水源


別表第四 木曽川水系における水道用水の取水制限に伴う被害状況 1/14


別表第四 木曽川水系における水道用水の取水制限に伴う被害状況 2/14


別表第四 木曽川水系における水道用水の取水制限に伴う被害状況 3/14


別表第四 木曽川水系における水道用水の取水制限に伴う被害状況 4/14


別表第四 木曽川水系における水道用水の取水制限に伴う被害状況 5/14


別表第四 木曽川水系における水道用水の取水制限に伴う被害状況 6/14


別表第四 木曽川水系における水道用水の取水制限に伴う被害状況 7/14


別表第四 木曽川水系における水道用水の取水制限に伴う被害状況 8/14


別表第四 木曽川水系における水道用水の取水制限に伴う被害状況 9/14


別表第四 木曽川水系における水道用水の取水制限に伴う被害状況 10/14


別表第四 木曽川水系における水道用水の取水制限に伴う被害状況 11/14


別表第四 木曽川水系における水道用水の取水制限に伴う被害状況 12/14


別表第四 木曽川水系における水道用水の取水制限に伴う被害状況 13/14


別表第四 木曽川水系における水道用水の取水制限に伴う被害状況 14/14


別表第五 木曽川水系における工業用水の取水制限に伴う被害状況 1/5


別表第五 木曽川水系における工業用水の取水制限に伴う被害状況 2/5


別表第五 木曽川水系における工業用水の取水制限に伴う被害状況 3/5


別表第五 木曽川水系における工業用水の取水制限に伴う被害状況 4/5


別表第五 木曽川水系における工業用水の取水制限に伴う被害状況 5/5


別表第六 木曽川水系における農業用水の取水制限に伴う被害状況 1/3


別表第六 木曽川水系における農業用水の取水制限に伴う被害状況 2/3


別表第六 木曽川水系における農業用水の取水制限に伴う被害状況 3/3


別表第七 昭和34年8月の洪水の際に被害のあった市町村ごとの被害状況


別表第八 昭和34年9月の洪水の際に被害のあった市町村ごとの被害状況


別表第九 昭和36年9月の洪水の際に被害のあった市町村ごとの被害状況


別表第十 昭和51年9月の洪水の際に被害のあった市町村ごとの被害状況 1/2


別表第十 昭和51年9月の洪水の際に被害のあった市町村ごとの被害状況 2/2


別表第十一 平成2年9月の洪水の際に被害のあった市町村ごとの被害状況 1/2


別表第十一 平成2年9月の洪水の際に被害のあった市町村ごとの被害状況 2/2


別表第十二 平成10年10月の洪水の際に被害のあった町村ごとの被害状況


別表第十三 平成14年7月の洪水の際に被害のあった市町村ごとの被害状況


別表第十四 昭和51年9月の豪雨の際の万石地点の時間ごとの水位


別表第十五 昭和51年9月の豪雨の際に徳山ダムによる洪水調節が行われたと仮定した場合の万石地点の時間ごとの水位 


別表第十六 利水参加予定者からの小石原川ダム建設事業の推進に関する要請の時期及び形式(平成10年度以降) 1/3


別表第十六 利水参加予定者からの小石原川ダム建設事業の推進に関する要請の時期及び形式(平成10年度以降) 2/3


別表第十六 利水参加予定者からの小石原川ダム建設事業の推進に関する要請の時期及び形式(平成10年度以降) 3/3


別表第十七 利水参加予定者を構成する市町等ごとの新規利水予定量及び水需要実績


別表第十八 利水参加予定者が実施した取水制限の状況 1/2


別表第十八 利水参加予定者が実施した取水制限の状況 2/2


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