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平成十五年一月二十一日受領
答弁第三四号

  内閣衆質一五五第三四号
  平成十五年一月二十一日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員川田悦子君提出土地区画整理事業に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員川田悦子君提出土地区画整理事業に関する質問に対する答弁書



一の1について

 御指摘の昭和六年に施行認可の公告があった事業については、戦後の経済社会の混乱の中で資金不足が生じたこと、施行地区内の土地について土地所有権確認請求訴訟が提起され、その解決に時間を要したこと等により、事業が長期化したものと承知している。
 なお、当該事業は、御指摘のとおり旧憲法下において開始されたものであるが、現行憲法の施行後は、その趣旨にのっとって施行されるべきことは当然である。

一の2及び三の1について

 地方公共団体施行の土地区画整理事業については、事業実施の前提として都市計画の決定が必要であるところ、都市計画の決定に際しては、都市計画法(昭和四十三年法律第百号)において、公聴会の開催、都市計画の案の縦覧、関係市町村の住民及び利害関係人による意見書の提出等の手続が定められており、また、土地区画整理法(昭和二十九年法律第百十九号)において、事業計画又は換地計画の決定に際して、事業計画又は換地計画の縦覧、利害関係者による意見書の提出等の手続が定められており、事業の立ち上げ段階から事業の実施段階までの各段階において、住民の意見が十分に反映される仕組みとなっている。
 もとより、土地区画整理事業は、施行地区内の住民、企業等の権利者全員がかかわる事業であることから、当該住民、企業等が事業の内容や効果を十分に把握した上で、自ら主体的にまちづくりに取り組み、事業の推進が図られることが望ましいと考えている。

二について

 御指摘の三十年以上を経ても事業が終了していない地区の中には、仮換地の指定や建築物等の移転等に伴う損失補償についての関係権利者との合意形成の難航によるほか、換地処分がなされた後の清算金の徴収に長期間を要すること等により事業が長期化している事例もあるものと認識している。
 このように、事業の長期化の理由は個々の事業により異なるものであり、「土地区画整理事業そのものが破綻しており、運用に耐えないものになっている」との御指摘は当たらないと考えている。

三の2について

 都道府県都市計画審議会の委員については、都道府県都市計画審議会及び市町村都市計画審議会の組織及び運営の基準を定める政令(昭和四十四年政令第十一号。以下「審議会令」という。)第二条第一項において、学識経験のある者、市町村長を代表する者、都道府県の議会の議員及び市町村の議会の議長を代表する者につき、都道府県知事が任命するものとされており、住民代表である都道府県の議会の議員等から任命されることで、住民の意見は間接的に反映されているところである。
 また、より住民に近い立場にある市町村都市計画審議会の委員については、審議会令第三条第一項において、学識経験のある者及び市町村の議会の議員につき、市町村長が任命するものとされており、住民代表である市町村の議会の議員から任命されることで、住民の意見は間接的に反映されているほか、同条第二項により、当該市町村の住民を委員に任命することができることとされており、住民の意見を直接反映することもできることとなっている。
 国としては、都道府県都市計画審議会及び市町村都市計画審議会の委員の任命は、都道府県知事及び市町村長によって、審議会令に基づき適切に行われていると認識している。
 事業評価監視委員会の委員については、行政機関が行う政策の評価に関する法律(平成十三年法律第八十六号)第三条第二項第二号において、評価の客観的かつ厳格な実施を確保するため、学識経験を有する者の知見の活用を図ることとしている趣旨を踏まえ、「国土交通省所管公共事業の再評価実施要領」(平成十三年七月六日付け国土交通事務次官通達。以下「再評価実施要領」という。)において、学識経験者等の第三者を任命することとするほか、当該委員会においては、地元情勢の変化等を再評価の視点として審議を行い、事業実施者に対し意見の具申を行うものとしている。
 国としては、事業評価監視委員会の委員の任命は、再評価の客観性及びその厳格な実施の確保の観点から、適切に行われていると認識している。

四について

 公共事業に関する諸法律においては、それぞれの事業の性格や住民の権利関係に与える影響の大きさ等に応じ、事業計画の縦覧や公聴会の開催等の規定が設けられているところであり、現行の法制度においても、これらの規定の適切な運用により、説明責任の向上が図られるものと考えている。

五の1について

 再評価実施要領によれば、再評価の実施主体の長は、再評価の実施に当たり第三者の意見を求める諮問機関として、事業評価監視委員会を設置することとされており、事業評価監視委員会から意見の具申があったときは、これを最大限尊重し、対応を図ることとされている。土地区画整理事業についても、引き続き再評価実施要領に基づき、事業評価監視委員会の意見を最大限尊重し、適切に評価を行ってまいりたい。

五の2について

 国土交通省所管の公共事業に関しては、再評価実施要領に基づき、事業採択後五年が経過した時点で未着工の事業、事業採択後十年が経過した時点で継続中の事業、再評価実施後一定期間が経過している事業等について、事業の継続に当たり必要に応じその見直しを行うほか、事業の継続が適当と認められない場合には事業を中止するものとしているところである。土地区画整理事業についても、引き続き再評価実施要領に基づき、適切に評価を行ってまいりたい。

六について

 土地区画整理法第九十八条第一項においては、「施行者は、換地処分を行う前において、土地の区画形質の変更若しくは公共施設の新設若しくは変更に係る工事のため必要がある場合又は換地計画に基づき換地処分を行うため必要がある場合においては、施行地区内の宅地について仮換地を指定することができる」こととされており、いずれの場合においても仮換地を指定することができることとされていることから、御指摘のように地方公共団体の現在の運用状況が土地区画整理法の趣旨を逸脱したものであるとは解されない。
 なお、御指摘の「判例概説・土地区画整理法」の記載は、大阪地方裁判所昭和五十四年二月二十一日判決(行集三十巻二号二百五十五頁)を引用したものであり、当該判決の内容は、土地区画整理事業に関する質問に対する答弁書(平成十四年八月二十七日内閣衆質一五四第一五八号)八についてで引用した最高裁判所昭和六十年十二月十七日第三小法廷判決によって否定されているものである。



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