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平成十五年一月二十八日受領
答弁第四三号

  内閣衆質一五五第四三号
  平成十五年一月二十八日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員北川れん子君提出内閣府企画による小冊子及びビデオ「ハンセン病を知っていますか?」並びに「人権教育・啓発に関する基本計画」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員北川れん子君提出内閣府企画による小冊子及びビデオ「ハンセン病を知っていますか?」並びに「人権教育・啓発に関する基本計画」に関する質問に対する答弁書



一及び二について

 御指摘の小冊子(以下「小冊子」という。)及び御指摘のビデオ(以下「ビデオ」という。)(以下「小冊子等」と総称する。)は、国民がハンセン病という病気そのものに対する正しい知識を持つことが重要であると考え、ハンセン病という病気の医学的又は医学を中心とした歴史的な側面について説明するために制作した啓発資料であることから、国の隔離政策の誤り、ハンセン病患者及び元患者(以下「ハンセン病患者等」という。)に対する差別や偏見の内容及び政府による謝罪の内容については記述していない。
 政府としては、国の隔離政策の誤りによってハンセン病患者等に苦難と苦痛を与えたことに対して謝罪してきたが、その旨を国民に広報することも、ハンセン病に対する差別や偏見を解消し、ハンセン病患者等の名誉の回復を図るために重要なことであると認識しており、政府広報等により、広く国民に広報しているところである。

三について

 御指摘の「重大な法律上の問題点がある」という記述は、平成十三年五月十一日熊本地方裁判所判決(「らい予防法」違憲国家賠償請求事件)に対して示した当事者としての政府の見解を記述したものである。その具体的な内容としては、同月二十五日に発表した政府声明(以下「政府声明」という。)の中で示した国家賠償法(昭和二十二年法律第百二十五号)及び民法(明治二十九年法律第八十九号)の解釈にかかわる法律上の問題点を指すものであるが、このような専門的な法律論の紹介は、小冊子の趣旨であるハンセン病という病気の医学的又は医学を中心とした歴史的な側面についての説明とは性格を異にすることから、簡潔な記述にとどめたところである。
 また、政府声明、同日付けの「ハンセン病問題の早期かつ全面的解決に向けての内閣総理大臣談話」等は、政府としては、本来であれば上級審の判断を仰ぐこととせざるを得ないような国政の基本的な在り方にかかわるいくつかの重大な法律上の問題点があるものの、ハンセン病患者等が既に高齢に達していること等を総合的に考え、控訴しないこととした旨を述べているものであり、国の隔離政策の誤りを正当化しようとするものではなく、御指摘のような意図を持つものでもない。

四について

 ハンセン病に関する正しい知識の普及を図っていくためには、啓発資料の趣旨や目的に応じて、構成や記述等の内容を適切に選択していくべきものと考えており、御指摘の項目については、小冊子等のハンセン病という病気そのものに関する説明を行うという趣旨に合致しないと判断し、記述しなかったものである。
 また、小冊子の年表で「一九三一年の法制定(法改正)」及び「癩予防協会」について記述しなかったことについては、特に意図があるわけではない。

五について

 ハンセン病の感染経路について、小冊子等においては、「極めて感染力が弱く、もし感染しても発病しないケースがほとんどです。」等として、その病原菌の感染力が極めて弱いことを説明しており、医学的に非常に問題がある等の御指摘は当たらないものと考えている。
 また、小冊子中の「病の王者」という表現については、ハンセン病が「人類史上、もっとも古い病気の一つであることと、これだけ地球規模で研究が進められているにもかかわらず、いまだハンセン病についてのすべてのメカニズムが解明されていない」ことを踏まえて使用されたものであると理解しており、削除する必要はないと考えている。

六について

 御指摘の「当時」という表現は、我が国に限らず、他の国においてもハンセン病患者等を隔離する方法が採られた時期が過去にあったことから、そうした時期を指したものであると理解しており、御指摘のような我が国における特定の時期を指したものではないと考えている。
 また、御指摘の「我が国の隔離政策を正当化する趣旨のものではない」という答弁については、らい予防法(昭和二十八年法律第二百十四号)とこれに基づく隔離政策を継続したことが、ハンセン病患者等に苦難と苦痛を与えたことに対して、政府として、深く反省し、謝罪するという考え方に立って行ったものである。

七について

 「ハンセン病問題に関する検証会議」の議事録については、同会議の運営要綱において「原則公開する」と定められており、厚生労働省からの委託を受けて同会議の運営に当たっている財団法人日弁連法務研究財団のホームページ(http://www.jlf.or.jp/work/hansen.shtml)上で、委員名簿と共に公開されている。

八について

 御指摘の答弁は、「現在では、(略)こうした薬を一定期間服用すれば、ハンセン病は外来治療でも治癒する病気となったのです。」というビデオにおける説明が「ハンセン病治療は、当初から外来治療が可能であり」という日本らい学会の見解と矛盾するのではないかという御質問にお答えしたものである。
 当該答弁は、ハンセン病の外来治療の可能性を否定したものではなく、有効な治療薬が普及する前においては、外来か入院かを問わず、ハンセン病の効果的な治療方法が存在しなかったという一般的な認識を述べたものであり、右の日本らい学会の見解と矛盾するものではないと考えている。
 また、政府として、「外来治療ができない病気の患者は全て隔離されてしかるべき」というような認識は有しておらず、ハンセン病患者等に対する国の隔離政策は、一般の入院とは異なり、感染予防の観点から採られたものであると認識している。
 なお、政府としては、国の隔離政策の誤りによってハンセン病患者等に苦難と苦痛を与えたことに対して深く反省し、謝罪するとともに、政府広報等により、広く国民に対してその旨を広報しているところである。

九について

 遺伝性疾患の患者等に対する差別が許されてはならないことは、政府としても十分に認識している。
 他方で、ハンセン病患者等に対する差別や偏見はハンセン病に対する誤った知識に基づく誤解が原因の一つとなっており、ハンセン病が遺伝病であるという誤解は古くからあることから、このような誤解を解消していくことも、ハンセン病に関する正しい知識の普及の一環として必要なものであると考えている。

十について

 小冊子等は、国民がハンセン病という病気そのものに対する正しい知識を持つことが重要であると考え、ハンセン病という病気の医学的又は医学を中心とした歴史的な側面について説明するために制作した啓発資料である。ハンセン病が極めて感染力の弱い感染症であることを繰り返し説明することは、行政官を含めた国民にハンセン病に関する正しい知識の普及を図り、ハンセン病患者等に対する差別や偏見を無くしていくために必要であると考えている。小冊子等において現在の年間新規患者数が数例である等の実態も示しながらハンセン病について説明することは、御指摘のように「差別偏見を拡大・再生産する」ことにはならないと考えている。

十一について

 お尋ねの資料館運営費については、平成十四年度は、前年度から約千二百万円増額し、四千七百五十二万三千円を計上している。その内訳は、学芸員三名分の人件費として千七百三十七万九千円、図書の購入、展示物の修繕等に要する事業費として百五十四万九千円、パンフレットの作成等に要する事務費として六百四十五万八千円、電気使用料等の維持管理費として二千二百十三万七千円となっている。
 なお、平成十四年度から学芸員を一名体制から三名体制とするための予算措置を講じているところである。

十二について

 「ハンセン病問題に取り組んだ代表的な人物」としては、これまでのハンセン病の長い歴史の中で、ハンセン病患者等の診療や救済に取り組み、その時代において大きな影響を与えた者を取り上げたところであり、光田健輔氏もこのような観点から紹介したものである。ハンセン病患者等は、診療等を行う立場ではないことから、ここでは取り上げなかったものであるが、政府として、ハンセン病患者等がハンセン病問題に取り組んでこられたことを否定する意図はない。

十三について

 ビデオは、国民がハンセン病という病気そのものに対する正しい知識を持つことが重要であると考え、ハンセン病という病気の医学的又は医学を中心とした歴史的な側面について説明するために制作した啓発資料である。ビデオでらい予防法の内容、施行の実態及び廃止理由について説明しなかったのは、ハンセン病という病気の医学的又は医学を中心とした歴史的な側面について説明するというビデオ制作の趣旨に合致しないと判断したためである。

十四について

 小冊子等については、国民にハンセン病という病気そのものに対する正しい知識の普及を図るという目的にかんがみ、その内容に問題があるとは考えておらず、回収する必要はないと考えている。
 政府としては、国の隔離政策の誤りによって、ハンセン病患者等に苦難と苦痛を与えたことに対して深く反省し、謝罪するとともに、政府広報等により、広く国民にその旨を広報しているところである。

十五について

 御指摘の「人権教育・啓発に関する基本計画(中間取りまとめ)」(以下「中間取りまとめ」という。)は、人権教育及び人権啓発の推進に関する法律(平成十二年法律第百四十七号)第七条に基づく国の基本計画の策定に当たり、いわゆるパブリック・コメント手続を実施するため、法務省及び文部科学省において作成されたものである。
 中間取りまとめ中の御指摘の記述は、ハンセン病について、発病した患者の外見上の特徴から特殊な病気として扱われてきたこと及び施設入所を強制する隔離政策が採られてきたことを、それぞれ、事実として説明したものであり、隔離政策の理由又は目的が発病した患者の外見上の特徴から特殊な病気として扱われたことにあるとの見解を述べたものではなく、「「外見上の特徴から」隔離したという考え」に基づくものでもない。
 また、当該記述の中で「古くから」及び「従来」という言葉を使用したことが、御指摘のように「強制隔離政策が明治期以前にもあったかのような間違った印象」又は「隔離が自然経過で行われてきたかのような印象」を与えるとは考えておらず、説明を改める必要はないと考えている。
 政府としては、国の隔離政策の誤りによって、ハンセン病患者等に苦難と苦痛を与えたことに対して深く反省し、謝罪するとともに、政府広報等により、広く国民にその旨を広報しているところである。

十六について

 御指摘の「中学生向きの啓発パンフレット」については、「ハンセン病問題対策協議会における確認事項」(平成十三年十二月二十五日)に基づき、ハンセン病患者等の意向が反映されるよう、現在、ハンセン病患者等の御意見を伺いながら、作成に当たっているところである。



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