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答弁本文情報

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平成十五年一月二十八日受領
答弁第五二号

  内閣衆質一五五第五二号
  平成十五年一月二十八日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員中村哲治君提出我が国における条約難民の認定体制に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員中村哲治君提出我が国における条約難民の認定体制に関する質問に対する答弁書



一について

 難民の地位に関する条約(昭和五十六年条約第二十一号。以下「難民条約」という。)の解釈については、条約法に関するウィーン条約(昭和五十六年条約第十六号)第三十一条に規定されるとおり、前文及び附属書を含む条約文等の文脈によりかつその趣旨及び目的に照らして与えられる用語の通常の意味に従い、誠実に行っている。
 また、御指摘の「最終文書」とは、「難民及び無国籍者の地位に関する国際連合全権会議の最終文書」を指すものと解されるところ、同文書は、同会議において難民条約が採択されたこと及びそれに至るまでの経緯等について述べるとともに各国政府等に対し一定の勧告を行っており、同文書が、難民条約の解釈に当たり参考となることはあり得ると考えている。

二について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号。以下「入管法」という。)第六十一条の二の「難民である旨の認定」とは、その申請を行った外国人が難民条約第一条又は難民の地位に関する議定書(昭和五十七年条約第一号。以下「議定書」という。)第一条の規定により難民条約の適用を受ける難民の要件を具備していることを資料に基づき有権的に確定する行為であり、自由裁量によりこれを行っているわけではない。

三及び四について

 御指摘の文書の御指摘の部分は、国際連合難民高等弁務官(以下「UNHCR」という。)において、難民保護の趣旨及びUNHCRの役割等を一般論として述べたものであり、必ずしも政府の見解と矛盾するものではないと考えるが、個別具体の事案における難民の認定について述べると、衆議院議員中村哲治君提出我が国における条約難民の認定体制に関する質問に対する答弁書(平成十四年八月二十七日内閣衆質一五四第一九五号)一についてで答弁したとおり、UNHCRが難民の認定を行った者について入管法上の難民の認定が行われるとは必ずしもいえず、その理由は、UNHCRが行う難民の認定(当該認定の目的には、当該難民認定申請者が所在する国による庇護までは要請しないが、迫害が予想される国への送還を防止する必要は認められる難民的状態に置かれた者をも認定してUNHCRの任務を遂行するという要素もあると考えられる。)と難民条約締約国による難民の認定とではその目的及び対象を異にするからである。

五について

 お尋ねの判断理由を開示することについては、仮に御指摘のような限定を加えたとしても、開示により、当該判断の基礎となった情報が明らかとなり、関係機関等当該情報の入手先との信頼関係が損なわれて今後の情報収集に多大な支障を来すことになりかねないこと等から適当でないと考える。

六について

 難民の認定に関する事務を法務省が所掌することとされているのは、我が国が難民条約及び議定書を締結するに当たり、これらの実施に伴う難民の認定は政府として統一的に行うものとした上で、難民の認定の対象とするのは「本邦にある外国人」であり、難民の認定に関する事務は出入国管理行政上の諸手続と接点を有していることから、出入国管理行政に関する事務を所掌する同省において難民の認定に関する事務を所掌することが適当であるとして関係省庁の意見も一致し、難民の地位に関する条約等への加入に伴う出入国管理令その他関係法律の整備に関する法律(昭和五十六年法律第八十六号)において、その旨の法務省設置法(昭和二十二年法律第百九十三号)の改正が行われたことによる。
 法務省においては、これまで難民の認定に関する事務について豊富な情報と経験が蓄積されていること、難民の認定について専門的に事実の調査を行う難民調査官等が置かれていること等から難民の認定に関する事務を同省において行うことには合理性があり、新たに内閣府に独立した機関を設置する必要はないものと考える。

七について

 法務省においては、入管法第六十一条の二第三項に基づき、難民の認定をしないときは、当該外国人に対し、理由を付した書面をもってその旨を通知している。また、難民認定手続の透明性を一層高めるため、本年一月から、難民の認定をしない旨の通知を行う際には、より具体的な理由を付記することとしたところである。
 しかしながら、判断の前提としたすべての資料を当該外国人に開示することについては、これらに含まれる情報が明らかになることにより、関係機関等当該情報の入手先との信頼関係が損なわれて今後の情報収集に多大な支障を来すことになりかねないこと及び第三者のプライバシーを侵害するおそれがあることから適当でないと考える。

八について

 難民認定申請者から事情を聴取する場合には、可能な限り当該申請者の求める言語の通訳人を付することとしており、地方入国管理局においては、当該申請者が日常的に使用している言語の通訳人の確保に努め、このうち公平で中立的な立場にある適切な者を選んで通訳人としている。
 難民調査官が当該申請者の供述を録取した調書を作成するに当たっては、出入国管理及び難民認定法施行規則(昭和五十六年法務省令第五十四号)第五十七条の規定により、その録取した内容を申請者である供述人に通訳人を介して読み聞かせ、誤りがないことを十分に確認させた上で署名をさせることにより、適正に供述の録取を実施し、調書の正確性を担保していることから、御指摘のような方法を採るまでの必要性はないものと考える。



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