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平成十五年五月二十日受領
答弁第四八号

  内閣衆質一五六第四八号
  平成十五年五月二十日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員北川れん子君提出沸騰水型原子力発電所の炉心シュラウド交換作業における労働者の被曝状況および再循環系配管の交換作業・点検作業における労働者の被曝状況に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員北川れん子君提出沸騰水型原子力発電所の炉心シュラウド交換作業における労働者の被曝状況および再循環系配管の交換作業・点検作業における労働者の被曝状況に関する質問に対する答弁書



一の(一)について

 お尋ねの「結果報告」とは、電離放射線障害防止規則(昭和四十七年労働省令第四十一号。以下「電離則」という。)第五十八条の規定に基づき事業者から所轄労働基準監督署長に提出された電離放射線健康診断結果報告書のことであり、また、「検討した」機関とは、平成九年に旧労働省労働基準局長の私的検討会として設置された「国際放射線防護委員会(ICRP)千九百九十年勧告(Pub.六十)の電離則等への取入れに関する検討会」(以下「検討会」という。)のことである。

一の(二)について

 労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)第六十六条第二項及び電離則第五十六条の規定に基づく健康診断(以下「電離放射線健康診断」という。)については、原則として六か月以内ごとに一回行うこととしているが、同条第一項第四号及び第五号に規定する眼及び皮膚の検査については、眼及び皮膚が局所的に被ばくする可能性が高いことから、以前は三か月以内ごとに一回行うこととしていた。しかしながら、近年の放射線業務従事者の被ばく線量の大幅な減少に伴い、眼及び皮膚に影響が生じるおそれがある程度の被ばくの可能性が極めて低くなってきたことなどから、検討会において、眼及び皮膚の検査の頻度を六か月以内ごとに一回とすることが適当である旨の報告がなされたことを踏まえ、眼及び皮膚の検査についても六か月以内ごとに一回行うこととしたところである。
 なお、国際放射線防護委員会(以下「ICRP」という。)の千九百九十年勧告においては、眼及び皮膚の検査の頻度についての記述は無い。

一の(三)及び(四)について

 電離則第五十六条第一項第二号から第五号までに規定する血液、眼及び皮膚の検査(以下「血液等の検査」という。)については、放射線業務従事者の年間の実効被ばく線量がICRPの千九百八十五年パリ会議の声明等において、入院等特殊な状況下での公衆の年実効線量限度とされている五ミリシーベルトを超えない場合、身体への影響の可能性が極めて低いと考えられることなどから、検討会において「過去一年間に受けた実効線量が五ミリシーベルト(管理区域の設定基準)を超えず、かつ、その後一年間に受ける実効線量が五ミリシーベルトを超えるおそれのない者に対しては、医師が必要と認めた場合に限り全部又は一部を実施することとすることが適当である」との報告がなされたことを踏まえ、一年間に受ける実効線量が五ミリシーベルトを超えることのない労働者については、定期の健康診断において、原則として、血液、眼及び皮膚の検査は省略できることとしたところである。
 他方、一年間に受ける実効線量が五ミリシーベルトを超えることのない者を含め、放射線業務に常時従事し、管理区域に立ち入るすべての労働者については、六か月以内ごとに一回、医師により、同項第一号に規定する「被ばく歴の有無(被ばく歴を有する者については、作業の場所、内容及び期間、放射線障害の有無、自覚症状の有無その他放射線による被ばくに関する事項)の調査及びその評価」(以下「被ばく歴の調査等」という。)が行われており、その結果、医師が必要と判断した者には血液等の検査が適切に実施されることになるため、労働者の安全と健康の確保という観点から特段の問題を生ずることはないものと考えている。

一の(五)について

 お尋ねの「調査票や問診票のようなもの」は作成していない。
 また、「電離放射線障害防止規則第五十六条に規定する健康診断における被ばく歴の有無の調査の調査・評価項目及び健康診断の項目の省略等の可否について」(平成十三年六月二十二日付け基発第五百六十八号厚生労働省労働基準局長通知。以下「平成十三年通知」という。)の第1の2の(2)のイに掲げる事項についての労働者からの聴取については、被ばく歴の調査等の一環として医師が実施し、聴取した事項のうち当該医師が必要と判断したものは、電離則第五十七条に規定する電離放射線健康診断個人票に記録されることとなる。

一の(六)について

 昭和六十三年に電離則第五十六条を改正し、一定の場合に電離放射線健康診断を実施する医師の判断により血液等の検査を省略することができることとした際、昭和六十二年に旧労働省労働基準局長の私的検討会として設置された「電離放射線障害防止規則改正案第五十六条に規定する健康診断項目の省略の可否についての検討委員会」(以下「検討委員会」という。)において、多量の放射線の被ばくが長期的に人体に影響を与える可能性等を考慮して、業務上一年間に二百五十ミリシーベルト以上の実効線量を受けたことのある者及び業務上一年間に百ミリシーベルト以上の実効線量を受けて一定期間を経過していない者(以下「特定被ばく者」という。)については、血液等の検査を省略しないことが適切である旨の報告がなされたことを踏まえ、「電離放射線障害防止規則第五十六条に規定する健康診断の項目の省略の可否について」(昭和六十四年一月一日付け基発第三号労働省労働基準局長通知)において特定被ばく者に対する血液等の検査を省略することは適当でない旨を通達し、平成十三年、同条の改正後も、かかる通達が変更されないことを徹底するため、平成十三年通知において、同様の内容を通達したところである。お尋ねの「二五〇ミリシーベルト以上、一〇〇ミリシーベルト以上」については、ICRPの千九百七十七年勧告において緊急作業に係る実効線量の限度を百ミリシーベルトとすべきとされていたこと、学術研究の成果としてリンパ球の減少等の血液変化が現れるしきい値が五百ミリシーベルトである旨の報告がなされていたことなどを踏まえ、医学的見地等から総合的に検討を行った結果、労働者の安全と健康の確保という観点から問題のない値として報告されたものである。

一の(七)について

 一の(三)及び(四)についてで述べたとおり、電離放射線健康診断においては、六か月以内ごとに一回、放射線業務に常時従事し、管理区域に立ち入るすべての労働者に対する被ばく歴の調査等が行われており、また、血液等の検査についても医師の判断に基づき適切に実施されていると考えられることから労働者の安全と健康の確保という観点から特段の問題を生ずることはないものと考えている。

一の(八)について

 お尋ねの「問診票のようなもの」及び「省略の可否を評価するための基準のようなもの」は、作成していない。

二の(一)について

 お尋ねの「シュラウド取替作業」とは、シュラウドの取替え及びこれに伴い実施される他の炉内構造物の取替えに係る一連の作業を指すものと考えるが、東京電力株式会社、日本原子力発電株式会社及び中国電力株式会社から提出された電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号。以下「電事法」という。)第五十四条の規定に基づく定期検査の結果を取りまとめた報告書(以下「定期検査報告書」という。)によれば、「シュラウド取替作業」が行われた定期検査における定期検査全体に係る放射線業務従事者の総被ばく線量及び「シュラウド取替作業」に係る放射線業務従事者の総被ばく線量は別表第一のとおりであり、定期検査全体に係る被ばく線量ごとの人数分布は別表第二のとおりである。

二の(二)、(三)及び(五)から(七)までについて

 お尋ねの「作業環境」、「作業件名ごとの個人最大線量と総被曝線量」、「炉内の空間中の放射性物質の濃度とその測定方法、頻度」、「内部被曝防止対策」及び「化学除染にともなう廃樹脂の放射能汚染の程度」については、承知していない。

二の(四)について

 定期検査報告書によれば、お尋ねの炉内での作業における外部被ばく低減対策としては、原子炉圧力容器内壁等の化学除染、原子炉圧力容器内壁への遮へいの取付け、作業時の仮設遮へいの設置等が講じられている。

三について

 「シュラウド取替作業」で発生した放射性廃棄物の保管場所については、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号)第三十七条の規定に基づき国が認可した保安規定において、サイトバンカに保管し、又は容器に封入して必要に応じ放射線を遮へいした上で固体廃棄物貯蔵庫に保管すべき旨が定められている。また、当該放射性廃棄物の種類、状態、容器及び保管量については、承知していない。

四の(一)について

 再循環系配管の交換作業については、配管の強度又は性能に影響を及ぼすもののみが電事法第四十八条第一項に基づく工事計画の届出の対象とされているため、その実施を原子力安全・保安院が把握している当該届出がなされた再循環系配管の交換作業についてお答えすると、定期検査報告書(中部電力株式会社から提出された報告書を含む。)によれば、当該交換作業が行われた定期検査における定期検査全体に係る放射線業務従事者の総被ばく線量及び再循環系配管の交換作業に係る放射線業務従事者の総被ばく線量は別表第三のとおりであり、定期検査全体に係る被ばく線量ごとの人数分布は別表第四及び別表第五のとおりである。
 また、お尋ねの「作業環境」については、承知していない。

四の(二)について

 再循環系配管の点検作業に係る「労働者の被曝状況」及び「作業環境」については、承知していない。


別表第一


別表第二


別表第三 1/2


別表第三 2/2


別表第四


別表第五 1/2


別表第五 2/2


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