答弁本文情報
平成十五年五月二十三日受領答弁第六九号
内閣衆質一五六第六九号
平成十五年五月二十三日
衆議院議長 綿貫民輔 殿
衆議院議員金田誠一君提出米復興人道援助局の国際法上の地位に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員金田誠一君提出米復興人道援助局の国際法上の地位に関する質問に対する答弁書
一について
アメリカ合衆国(以下「米国」という。)のブッシュ大統領は、本年四月十五日(米国東部時間)、イラク共和国(以下「イラク」という。)の状況に関して演説を行い、イラクにおいては、サダム・フセイン政権は存在しない、独裁者の集中された権力は終了した旨述べたと承知している。
「この紛争は国際法上終了しているのか。」とのお尋ねにおける「この紛争」が、具体的にどのようなものを想定しているのか明らかではなく、政府として事実関係の詳細を把握し得る立場にないことから、確定的にお答えすることは困難であるが、仮に、お尋ねの「この紛争」が、サダム・フセイン政権がイラクを実効的に支配していることを前提として、同政権に代表されるイラクと米国等の間で、意見を異にし、互いに自己の意見を主張して譲らず、対立している状況を意味するのであれば、サダム・フセイン政権は、既に事実上崩壊したことから、事実の問題として、右のような意味における「この紛争」は、基本的に終了したものと考える。
国際連合安全保障理事会の決議第千四百七十二号の前文において、「ジュネーヴ第四条約(戦時における文民の保護に関する千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ条約)の第五十五条の規定の下で、占領国は、利用することができるすべての手段をもって、住民の食糧及び医療品の供給を確保する義務を負うこと、特に、占領国は、占領地域の資源が不充分である場合には、必要な食糧、医療品その他の物品を輸入しなければならないことに留意し」と述べられているところ、米国復興人道支援局は、イラクのサダム・フセイン政権が事実上崩壊した状況下で、国際法に従って米国等が行う民生を回復し維持する活動等を円滑に実施するための機関であり、イラクの新たな政権が発足するまでの間、イラク国内における米国の民生部門の活動を総括すること等を予定していると承知している。