衆議院

メインへスキップ



答弁本文情報

経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成十五年五月二十七日受領
答弁第七八号

  内閣衆質一五六第七八号
  平成十五年五月二十七日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員長妻昭君提出生命保険の予定利率の破綻前引き下げに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員長妻昭君提出生命保険の予定利率の破綻前引き下げに関する質問に対する答弁書



一及び二について

 最近における保険業を取り巻く厳しい経済社会情勢の変化に対応し、保険業の継続が困難となる蓋然性のある保険会社について、保険契約者等の保護の観点から、契約条件の変更を可能とする手続等の整備を内容とする保険業法の一部を改正する法律案(以下「改正案」という。)を五月二十三日に閣議決定し、国会に提出したところである。

三及び四について

 契約条件の変更によって変更される保険金、返戻金その他の給付金の計算の基礎となる予定利率については、改正案では、保険契約者等の保護の見地から保険会社の資産の運用の状況その他の事情を勘案し引下げの下限となる率を政令で定めることとされている。政令の内容について確定的なことを申し上げることは困難であるが、現時点では、平成十三年度における生命保険会社の平均運用利回りその他の事情を勘案すれば、当該率としては、三パーセントが一つの適当な水準と考えられる。

五及び六について

 「金融機関等の更生手続の特例等に関する法律」における更生手続に比べ、改正案において可能となる契約条件の変更の手続(以下「契約条件変更手続」という。)は、早期に手続を開始することができ、保険契約者等の保護に資するものと考えられる。また、更生手続とは異なり、契約条件変更手続においては、責任準備金の削減を行えないこと、予定利率の下限があることといった契約条件の限度が定められている。

七について

 御指摘の試算は、予定利率、責任準備金等について一定の前提を置いて、二つのケースにつき機械的に行ったものであり、両者を単純に比較することは適当ではないと考える。
 契約条件変更手続は、保険契約者等の保護の観点から行われるものであり、基本的には保険契約者の利益に資するものと考えている。

八について

 終身保険の予定利率別契約者数は、複数件の保険契約に加入している保険契約者が存在することもあり、把握が困難であるが、契約件数については、全社合計で終身保険一千百十四万八千件のうち、予定利率三パーセント以上の契約が大宗を占める平成七年度以前の件数が五百二十九万二千件、三パーセント未満の契約が大宗を占める平成八年度以降の件数が五百八十五万六千件となっている。

九について

 終身保険の予定利率別契約高については、個別の予定利率別契約高を把握していないが、全社合計で終身保険八十五兆一千十億円のうち、予定利率三パーセント以上の契約が大宗を占める平成七年度以前の契約に係る金額が五十二兆一千百六十億円、三パーセント未満の契約が大宗を占める平成八年度以降の契約に係る金額が三十二兆九千八百五十億円となっている。

十について

 生命保険会社各社は、多種多様な保険契約を保有していること等から、保険金の減少額の総額を予想することは困難である。

十一及び十四について

 契約条件変更手続を行う場合の情報開示に関しては、改正案では、保険契約者に対する通知等において、契約条件の変更がやむを得ない理由を示す書類、契約条件の変更後の業務及び財産の状況の予測を示す書類等を添付することが義務付けられており、保険会社において保険契約者の理解を得るために必要な情報開示が行われるものと考えている。
 また、基金や劣後債務の取扱い、経営責任については、契約条件変更手続において、保険会社・保険契約者の間の手続の中で適切に対応されるべき問題であると考えられ、改正案では、保険契約者に対する通知等において、基金等の債務の取扱いに関する事項を示す書類、経営責任に関する事項を示す書類の添付が義務付けられている。

十二について

 契約条件変更手続は、個々の保険会社について行われるものであり、その業務又は財産の状況に照らしてその保険業の継続が困難となる蓋然性があり、保険契約者等の保護のため契約条件の変更がやむを得ない理由があるかについて、個々の保険会社ごとに判断を行うこととなる。

十三について

 保険会社の経営の健全性の確保に当たっては、まずは保険会社が経営努力を行うべきものであり、さらに、必要があれば、監督当局が経営改善努力を促すことが基本と考えている。その上で、契約条件の変更を行わなければ将来において保険業の継続が困難となる蓋然性がある場合に、保険会社が契約条件変更手続を行うことができることとしたところである。



経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.