答弁本文情報
平成十五年八月二十六日受領答弁第一四九号
内閣衆質一五六第一四九号
平成十五年八月二十六日
衆議院議長 綿貫民輔 殿
衆議院議員今野東君提出中国人強制連行・強制労働に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員今野東君提出中国人強制連行・強制労働に関する質問に対する答弁書
一について
いわゆる中国人強制連行問題については、たとえ戦争下という異常な状況の中とはいえ、当時多くの中国人の方々が半強制的な形で来日し、厳しい労務につき、その中で多くの苦難を与えられたことは極めて遺憾であったと考えている。
こうした考えは、平成六年六月二十二日の参議院外務委員会において、柿澤外務大臣(当時)が述べているほか、種々の機会に表明してきているところであり、今後とも、歴史の事実を謙虚に受け止め、近隣諸国との信頼関係を一層強化するために引き続き努力していきたいと考えている。
なお、いわゆる中国人強制連行問題も含め、先の大戦に係る日中間の請求権の問題は、昭和四十七年の日中共同声明発出後、存在しておらず、このような認識は、中国側も同様であると承知している。
お尋ねの「外務省報告書」は「華人労務者就労事情調査報告書」(昭和二十一年三月一日外務省管理局作成)を指すと思われるが、外務省は、その原本を保有していない。なお、外務省は民間団体からその写しを入手し、調査を行った結果、これが昭和二十一年当時外務省が作成したものであることは間違いない事実であると判断するに至ったため、平成六年六月二十三日から、外交史料館において一般の閲覧に付しているところである。
お尋ねの「事業場報告書」は、外務省が保有する「華人労務者事業場別就労調査報告書」と題する文書を指すと思われるが、この文書が歴史的文書として価値が高いと認められることも踏まえ、国民への情報提供の観点から、本年七月十八日から、外交史料館において一般の閲覧に付しているところである。
本邦から出国する際に持参することができた金額を超える金額の通貨の保管業務については、現在は、税関が行っているが、お尋ねの点については、調査した限りでは、事実関係を正確に把握することができる記録が見当たらないことから、お答えすることは困難である。ただし、現在、税関が保有している資料の中に華人労務者からの寄託である旨が記録され、その識別ができるものがあることから、当該記録により識別できるものについて把握したところによると、その人数及び金額は、それぞれ二百七十二人、四十五万五百六十九円四十一銭となっている。
供託所においては、供託者の別、被供託者の国籍の別又は供託の原因となった具体的な事由の別に供託事件の管理をしていないことから、お尋ねの点について、お答えすることは困難である。