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平成十六年四月二十日受領
答弁第六九号

  内閣衆質一五九第六九号
  平成十六年四月二十日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員辻惠君提出「行政事件訴訟法の一部を改正する法律案」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員辻惠君提出「行政事件訴訟法の一部を改正する法律案」に関する質問に対する答弁書



一について

 御指摘の「行政国家現象」あるいは「行政権の肥大化」の趣旨は必ずしも明らかではないが、近年、行政需要が増大し行政作用が多様化しており、これに伴い、行政による国民の利益調整が一層複雑多様化し、それとともに行政の果たすべき役割にも変化が生じていることを踏まえ、行政を簡素かつ効率的なものとするとともに、その総合性、機動性及び透明性の向上を図る必要性と行政に対するチェックの仕組みの重要性が増大しているものと認識しているところである。
 このような状況の下における施策ないし対応としては、行政改革を始めとする社会経済の構造改革を進め、明確なルールと自己責任原則に貫かれた事後チェック・救済型社会への転換を図り、より自由かつ公正な社会を実現していくことが必要であり、そのためにその基礎となる司法の機能を充実強化していくことが重要であるとの考えから、現在、司法制度改革を進めているところである。このように、司法の果たすべき役割が一層重要となることを踏まえると、行政訴訟制度についても、司法と行政の役割分担の在り方を踏まえつつ、国民の権利利益のより実効的な救済手続の整備を図る観点からこれを充実強化することが必要であると考えている。
 また、今後の我が国の在り方を考える上においては、国は国が行うべきことに専心し、「地方にできることは地方に」という地方分権の原則の下に、国と地方を通ずる行政の構造改革を進めることが重要である。そのためには、地方公共団体の自由度が高まるように国の関与の縮小を図るとともに、地方公共団体がその組織及び運営の合理化を図ることができるよう適切な助言をしていくことが必要であると考えている。
 以上に述べたところは、お尋ねの内閣総理大臣及び各大臣においても同様に考えている。

二について

 行政訴訟制度は、司法権の行使を通じて、抑制と均衡の仕組みの中で行政作用の適法性を審査し、国民の権利利益の救済を確保するという重要な役割を有している。そして、近年においては、行政需要の増大と行政作用の多様化に伴い、行政による国民の利益調整が一層複雑化するなどの変化が生じており、その中で司法の果たすべき役割が一層重要となると考えられることから、司法と行政の役割分担の在り方を踏まえつつ、行政に対する司法審査の機能を強化する必要があると考える。
 行政訴訟制度の機能の現状については、単に申立件数や勝訴率等の数字のみによってその実効性に対する評価を導き出すことは困難であるが、行政訴訟制度は、右に述べたとおり国民の権利利益の救済手続として重要な役割を有するものであり、その実効性をより高めるため、国民の権利利益の救済範囲の拡大を図り、審理の充実及び促進を図るとともに、これをより利用しやすく、分かりやすくするための仕組みを整備し、さらに、本案判決前における仮の救済の制度の整備を図ること等が必要である。そこで、そのような観点から、行政事件訴訟法の一部を改正する法律案(以下「法案」という。)を提出しているところである。

三の@について

 行政に対する司法審査の機能は、司法権の行使を通じて、抑制と均衡の仕組みの中で行政作用の適法性を審査し、国民の権利利益の救済を確保するものであり、このような行政に対する司法審査の機能を強化して国民の権利利益のより実効的な救済手続の整備を図る観点から、義務付けの訴え及び差止めの訴えを抗告訴訟の新たな類型として法定することが必要であり、また、当事者訴訟の一類型として公法上の法律関係に関する確認の訴えがあることを明らかにしてその活用を図ることも必要である。そこで、これらの事項を規定した法案を提出しているところである。

三のAについて

 御指摘の「法的に保護された利益圏内の利害を有すると主張する余地のある者」の趣旨は必ずしも明らかではないが、国民の権利利益のより実効的な救済手続の整備を図る観点から、取消訴訟における原告適格の要件としての「法律上の利益」の有無についての適切な判断が担保されることが必要であり、このためには、処分又は裁決の相手方以外の第三者について「法律上の利益」の有無を判断するに当たっては、当該処分又は裁決の根拠法令の規定の文言のみによることなく、個々の事案に応じて、当該根拠法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質等を適切に考慮することが必要である。そこで、このような事項を規定した法案を提出しているところである。

三のBについて

 行政立法、行政計画、行政指導等のそれ自体としては抗告訴訟の対象とはならない行政の行為を契機として争いが生じた公法上の法律関係に関し確認の利益が認められる場合については、現行の行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)においても、当事者訴訟として確認の訴えが可能であるが、その活用を図るため、「公法上の法律関係に関する確認の訴え」を当事者訴訟の一類型として明記する改正を行う法案を提出しているところである。

三のCについて

 執行停止制度は、これまでも重要な役割を果たしており、裁判所において適切に運用が行われているものと承知しているが、更に個々の事案ごとの事情に即した執行停止についての適切な判断が確保されるようにするためには、損害の性質のみならず、損害の程度並びに処分の内容及び性質が適切に考慮されることが担保されるようにする必要がある。そこで、執行停止の要件について、「回復の困難な損害」の要件を「重大な損害」に改めた上で、裁判所がこの「重大な損害」を生ずるか否かを判断するに当たっては、損害の回復の困難の程度を考慮するとともに、損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案すべきものと定める法案を提出しているところである。
 行政事件訴訟法においてお尋ねの執行停止原則を採用することについては、単に訴訟手続上の問題にとどまらず、処分の効力自体にかかわる問題であると考えられるところ、公益や第三者に及ぼす影響、取消訴訟等の提起のみによって行政の執行を当然に停止することによる弊害などを総合的に勘案すると、これを採用することは考えていない。

四の@及びAについて

 原告適格についての法案による改正の趣旨は、個々の具体的な事案において、「法律上の利益」の有無について、当該処分の根拠法令の文言のみによることなく、根拠法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するとともに、根拠法令の趣旨及び目的を考慮するに当たり、これと目的を共通にする関係法令の趣旨及び目的をも参酌し、また、当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するに当たり、当該処分が根拠法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質等をも勘案して適切に判断されることを確保しようとするものであり、これにより、原告適格が実質的に広く認められることになるものと考えている。
 具体的にいかなる場合に原告適格が拡大されることになるのか、また、御指摘の事案について原告適格が認められることになるのかのお尋ねについては、個々の事案に応じて裁判所が判断すべきことであり、答弁を差し控えたい。

四のB及びCについて

 執行停止の要件についての法案による改正の趣旨は、三のCについてで述べたとおりであり、これにより、損害の回復の困難の程度が著しいとまでは認められない場合であっても、具体的な処分の内容及び性質をも勘案した上で、損害の程度を勘案して「重大な損害」を生ずると認められるときは、執行停止を認めることができることになるものと考える。
 具体的にいかなる場合に執行停止要件がどの程度緩和されることになるのか、また、御指摘の事案について執行停止が認められることになるのかのお尋ねについては、個々の事案に応じて裁判所が判断すべきことであり、答弁を差し控えたい。



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