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平成十六年六月二十九日受領
答弁第八二号

  内閣衆質一五九第八二号
  平成十六年六月二十九日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員若井康彦君提出都市鉄道の経営等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員若井康彦君提出都市鉄道の経営等に関する質問に対する答弁書



一について

 いわゆる第三セクターは、独立した事業主体であり、その経営は、本来、当該第三セクターの自助努力によって行われるべきであると考えている。しかしながら、地下鉄等の都市鉄道事業を行う第三セクターは、巨額な初期投資に伴い資本費負担が相当重いこと等を踏まえ、その設立、運営に関し地方公共団体が主導的な立場に立っていると認められる出資比率が五十パーセント以上の第三セクターについては、政府においても、当該地方公共団体の支援に対して所要の地方財政措置を講じることとしたところである。

二及び三について

 千葉ニュータウンへの入居人口の伸び悩み等のため厳しい経営を余儀なくされている北総開発鉄道株式会社(以下「北総開発鉄道」という。)に対する支援策については、従来から、千葉県、住宅・都市整備公団(平成十一年十月一日以降は都市基盤整備公団。以下通じて「住都公団」という。)、京成電鉄株式会社(以下「京成電鉄」という。)及び北総開発鉄道といった関係者間の調整により、出資、融資等の措置が講じられてきたところであるが、政府においては、平成十三年三月から、北総開発鉄道が有する日本鉄道建設公団(平成十五年十月一日以降は独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構。以下通じて「鉄道公団」という。)に対する債務について、返済猶予期間を設けるとともに、償還期間を十年間延長する措置を講じたところである。

四について

 御指摘の償還期間の延長については、平成十二年八月に出された運輸政策審議会答申「中長期的な鉄道整備の基本方針及び鉄道整備の円滑化方策について〜新世紀の鉄道整備の具体化に向けて〜」(以下「本答申」という。)において、地方公共団体又はこれに準ずる第三セクターが行う都市鉄道の整備に当たって鉄道事業の収支採算性を見込む上で前提となる償還期間を、「現行の「三十年」から「四十年」程度に延長することが適当」であるとの提言がなされており、本答申が出された以降に整備が行われる事業については、本答申の考え方を基に実施されているところであるが、北総・公団線(京成高砂・印旛日本医大間。三十二・三キロメートル)については、本答申が出される前に整備が完了している。

五について

 本答申において、「地方公共団体が主導して鉄道整備を行うにあたり第三セクター方式を採用する場合には、(中略)第三セクターに対する出資比率を五十パーセント以上とするなどにより、経営に関する主導的な地位を地方公共団体が確保することが必要である。」との提言がなされているところであり、政府としても、鉄道整備を行うに当たり第三セクター方式を採用しようとする地方公共団体に対しては、経営に関する主導的な地位を地方公共団体が確保するよう求めることとしている。
 また、御指摘の京成高砂・成田空港間(五十一・四キロメートル)は、京成電鉄が、整備目的や整備主体等の異なる四路線を使用して、東京から成田空港へのアクセス鉄道を運行するものであるが、空港アクセス鉄道の整備については、既設の鉄道施設の有効活用や利用者の利便の向上等の諸状況を総合的に勘案し、最も適切な整備・運行主体を確立することが適当であると認識している。

六について

 御指摘の「事業認可」とは、日本鉄道建設公団法(昭和三十九年法律第三号)第二十三条第二項の譲渡価額の認可のことを指すものと解されるが、譲渡価額は、日本鉄道建設公団法施行令(昭和三十九年政令第二十三号)第九条第一項において、当該鉄道施設又は軌道施設の建設又は大改良に要した費用のうち鉄道公団が負担した額とされており、平成三年三月に、当該規定にのっとって、適切に譲渡価格の認可がなされたものである。
 また、右に述べた譲渡価格の認可に際しては、政府において、「何らかの条件」を付けることはしていない。

七について

 お尋ねの第三セクター方式などによる都市鉄道(以下「三セク都市鉄道」という。)については、開業後、輸送実績が予測を下回る例も見受けられるところであるが、これらについては、沿線地域の開発が当初予定より進まないこと等によるものと考えられる。そのことが、鉄道整備に要した費用の回収の遅れの原因となり、経営を圧迫することとなることもあることから、このような実情も踏まえ、政府としては、鉄道事業法(昭和六十一年法律第九十二号。以下「法」という。)に基づく許可等の処分に際しては、鉄道事業者に対し、沿線開発等の見通しについて慎重に判断し、過去の鉄道の事例等を十分に踏まえてより精度の高い需要予測を行うよう指導しているところである。また、運賃については、鉄道事業者が良質な鉄道輸送サービスを安定的に供給していくためには、経営基盤の安定化を図る必要があるという観点からその水準が設定されているものである。
 なお、三セク都市鉄道については、地域の公共交通機関として重要な役割を担っており、政府としてはこれまでも経営基盤の強化を図るため、所要の財政措置を講じてきたところであるが、第三セクターの経営悪化が地方公共団体の財政運営に大きな影響を与える懸念があると認識しており、今後とも三セク都市鉄道の経営の健全化の促進と、地方公共団体の健全な財政運営の確保に努めてまいる所存である。

八について

 御指摘の平成六年六月二十八日付け覚書(以下「本覚書」という。)は、千葉県、住都公団、京成電鉄及び北総開発鉄道の間で北総開発鉄道に対する支援策として取りまとめられたものであり、当該支援策の検討に当たっては、政府においてもその経過を把握していたところである。また、運賃改定に関しては、本覚書において、「北総開発鉄道株式会社は、平成六年度中に運賃改定を行い、それ以降概ね三年ごとに十パーセントを目途に運賃の改定を行う。」と記述されていると承知している。
 本覚書が結ばれた当時、運賃改定については、法第十六条第一項の規定に基づき運輸大臣(当時)の認可を受けることとされており、同条第二項において、当該認可は、能率的な経営の下における適正な原価を償い、かつ、適正な利潤を含むものであること等の基準によってこれをしなければならないと定められていた。したがって、本覚書に運賃改定に関する記述があったとしても、運輸大臣(当時)としては、その内容にかかわらず、鉄道事業者からの申請に基づき当該基準に適合しているかを審査した上で運賃改定の認可をするものであり、本覚書に運賃改定に関する記述がされていることが法第十六条の規定に抵触するのではないかとの御指摘は当たらない。
 また、お尋ねの北総開発鉄道による二回の運賃改定についても、北総開発鉄道からの申請に基づき当該基準に適合しているかを審査した上で認可したところである。

九について

 お尋ねの京成電鉄から北総開発鉄道に支払われる線路使用料については、法第十五条第一項の規定に基づき国土交通大臣の認可を受けなければならないところ、線路使用料その他の使用条件については、同条第三項において、鉄道事業の適正な運営の確保に支障を及ぼすおそれがあると認める場合を除き、当該認可をしなければならないこととされており、今後、北総開発鉄道から認可申請が行われたときには、当該基準に基づき判断することとなる。

十について

 都市基盤整備公団(以下「都市公団」という。)と千葉ニュータウン鉄道株式会社(以下「千葉ニュー鉄道」という。)との間における第三種鉄道事業の譲渡及び譲受に際しては、都市公団が有している第三種鉄道事業に係る権利義務は、千葉ニュー鉄道に対して包括的に承継されることとされており、線路使用料その他の使用条件についてもそのまま千葉ニュー鉄道に承継されることとなる。線路使用料その他の使用条件は、九についてで述べたとおり、法第十五条第三項において、鉄道事業の適正な運営の確保に支障を及ぼすおそれがあると認める場合を除き、これを認可しなければならないとされており、一義的には当事者間の契約に基づき決定されるものであることから、お尋ねの施設使用料を安くすることについては、千葉ニュー鉄道と北総開発鉄道との間で自主的に判断されるべきものであると考えている。
 また、鉄道事業者は、法第十六条第三項の規定に基づき、同条第一項の認可を受けた運賃の上限の範囲内であれば、あらかじめ届出を行うことにより自由に運賃を設定することができることから、お尋ねの通学定期旅客運賃の引下げについては、基本的には北総開発鉄道が自主的に判断すべきものであると考えている。



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